『フットルース』博多座版を観て、梅芸とチガウ!!と感動した、実はいちばんの箇所は。

 レンのエアー矢を仕舞うタイミング。

 ここを変えるか……!(笑)

 ダンバー夫妻も交えてポーカーをしているムーア夫妻。
 そこへ、アリエルがレンをつれて帰ってきた……という、あの場面。

レン「僕が来たら部屋が空っぽになっちゃいましたね」
牧師「素晴らしい才能だね(棒読み)」
レン「ありがとうございます!」
牧師「誉めたわけではないよ」

レン「グサッ! (エアー矢が胸に刺さる)」
レン「ううう……(エアー矢に苦しむ)」
レン「くうっ(エアー矢を抜く)」
レン「うわあああ~~!!(エアー矢を握り、牧師に突撃)」

牧師「…………(終始、冷たい目)」

レン「…………じゃ(回れ右して、逃げ帰る)」

 この作品中最大のコント場面(笑)にて、梅芸と博多で変化が!!

 梅芸では、ムーア牧師@まっつにエアー矢を突きつけ、牧師様に冷たい目でスルーされたあと、レン@キムはくるっと背を向けて「じゃ!」と逃げ帰る、その逃げ帰るときについでっぽく矢を仕舞っていたの。
 くるりと逃げ帰る最中にやっているので、わかりにくかった。言われてはじめて「たしかに仕舞ってる」と気づくぐらい。

 それが博多では。

レン「うわあああ~~!!(エアー矢を握り、牧師に突撃)」

牧師「…………(終始、冷たい目)」

レン「…………(すごすごとエアー矢を仕舞う)」
レン「……じゃ!(回れ右して、逃げ帰る)」

 無視されたあと、まず矢を仕舞って、それから「じゃ!」とやっているので、矢の行方がよくわかる!!

 よりによってココを工夫して、よりわかりやすくする、って、その努力の方向性に、全力でウケた。

 なんつー無駄なところを、きめ細かく変更して来るのか……!!
 すげえ。タカラジェンヌすげえ!!(笑)


 ついでにいうと、このあとのレンのアドリブ台詞も好きです。
 これは博多だから梅芸だからではなく、その場限り、その回限りのことなんだろうけど、余計なひとことを言って場を凍らせ、捨て身のギャグもダダすべりして、立つ瀬のないレン。
 そんな彼が、その場を逃げ出してひとりになったときに、地団駄踏んで後悔するところが、すごく好き。

 そこはアドリブらしくて、毎回てきとーにチガウこと言ってる。
 多いのが「またやっちゃったよ……!」とかかなー。「なんであんなこと……」とか。

 いちばん萌えなのが、「なんで俺は……っ!!」など、レンの一人称「俺」ですわ。

 レンの一人称は、「僕」。

 優等生ではない、という描き方をしているのに、レンの一人称は「僕」なの。
 ねえこれって、キムくんへのアテ書きよね?
 レンってキャラ設定だけみれば、「俺」キャラだと思うんだ。なのにわざわざ「僕」なのは、輝かしいヲタクオンナ小柳タンの感性ゆえ!だと思っている。

 レンは「俺」キャラでも、キムは「僕」キャラ。
 だから、キムが演じるレンは「僕」。

 レンは「僕」でいいと思う! キムくんの王子さまフェイスとヴォイスで「僕」は鉄板!!

 だけど、そんなレンがつい「俺」と言ってしまう瞬間。
 大失敗をして取り乱す、地団駄踏んであうあうしている瞬間だけ、「俺」と言う……それが萌えなの!!

 キムくんが意識してやっているとは、特に思わない。
 「レン」として生きていたら、つい出ちゃうんだろう。「俺」って言葉が。

 普段「僕」でも、時と場合によって「俺」になることって、あるよねえ?

 その本人も無意識の瞬間の男っぽさにときめくの!!
 うわーん、レン好きだーー。

 何回か、「俺」を聞いたの。あああ、ときめく。


 レンが「小僧」でないことが、すごくうれしい。
 ウィラード@コマが「アリエルはいろんな人とキスしたことがある」とものすごく大事件のように打ち明けるときに、「それだけかよ」と笑って流してしまうところや、「アリエルは君が好きなんじゃないかな」と言われても、「なんで?」とふつーに返してしまえるところ。

 純情チェリーボーイなら、「キス」だけで大問題なんだろうし(ウィラードたちボーモント高校トリオにとっては大いにこだわるところ!)、気になる女の子が「好きなんじゃないか」と言われたら、真っ赤になって取り乱すんだろう(ウィラードは「ラスティを好きなんだろ」と言われ、取り乱す)。
 だけどレンはすべてにおいて、平常心。
 キスごときなんとも思わないし、そんなことで女の子の価値を下げない。
 女の子からの好意の有無で、舞い上がったり取り乱したりしない。

 レンは、子どもぢゃない。
 シカゴにいたときに、なにかと経験を積んでいるんだろう。
 それが特別なことではなく、彼がタラシだったとかワルだったということではなく、それが自然であったということなんだろう。
 ふつーに女の子とつきあって、恋したり別れたり、していたんだろう。

 レンがふつーで、そして男らしいことに、いちいちときめく。


 博多座で4回観劇し、4回ともいろーんな席で観た。
 そのうち1回が、前方席の右端で。

 まっつファン的に今回は下手席がベスト、牧師様の萌え表情は下手からでないと見えないことが多々あるので、前方上手端はうれしい席ぢゃないっす。
 ここの牧師様が見たいのに!! ってときに、彼の背中しか見えない悲しさよ……とほほ。

 しかし。
 前方上手端ってさあ、レンくんビュー特等席だよね。

 クライマックスの、牧師様を口説くレンくんを真正面から見られる。(かわりに牧師様はろくに見えない・笑)

 そして、なにより。

 翌朝の、「解き放たれた想い」を語る牧師様を見つめるレンが、よく見える。

 この場面、レンくんは下手側に、客席に背を向けるカタチで立ってるからさー。
 彼は舞台センター奥にいる牧師様を見つめているわけだからさー。

 上手端からでないと、レンの顔が見えない。
 真ん中より下手側なら後ろ姿、上手寄りでなんとか横顔。

 上手最端にて、はじめて顔がほぼ全部見えた。

 その、レンの表情ってば。

 ものすごく「男らしい」貌をしていた。

 大人の男の顔だった。
 教会でダダ泣きしていた少年ではなく。

 ずきゅん。

 ……ちょ。
 撃ち抜かれましたがな。

 なななななんて貌で、ムーア牧師を見つめているのよおおおおっ。

 んでもって、ムーア牧師はやわらかい、預けきった瞳をレンに向けるし。
 ちょ……っ、ちょっ、おまいら……!!

 いろいろいろいろ、うろたえました。
 萌え死ぬかと。

 力関係、逆転している。
 教会では一応、少年と大人だったのに。息子と父だったのに。

 朝のお説教では、大人の男とヒロインになってる……!! 見守る強いモノと、その庇護の中で安心して翼を広げるモノになってる……!!


 面白いなあ、『フットルース』。
 面白いなあ、キムとまっつ。

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