「I’m Free」が好きだ。

 わたしが「ミュージカル」に求めるモノが、ここに凝縮されている。

 ってことで、『フットルース』のこの場面について前日欄でえんえん書いた。
 レン@キムくんがすごすぎること、かっこよすぎることも書いた。

 この場面が、好き過ぎる。

 毎回、若者たちの鬨の声に、涙を流している。


 それとは、別に。

 ここのムーア牧師@まっつが、好きだ。

 いやもお、震えがくるぐらい。
 好きすぎて、やばい。

 自由への闘いを誓う少年たち。
 子どもたちの希望を、勇気を、踏みにじるかのように高見に登場するムーア。
 絶対権力。「神」に等しい男。

 ライトの当たり方がまた、ひどくてね。
 とことんまで彼を、「非人間的」に映しているの。

 傷ゆえに心を閉ざしたムーアは、ある意味「化物」になっている。
 他者との関わりを拒絶し、誰も理解しようとせず、過去と後悔だけに凝り固まり、攻撃することで自分を守り続けている……そんなムーアは、すでに「人間」じゃない。
 別のナニかだ。
 なにかおそろしい……かなしい、モノに変貌している。

 それが表れた場面だ。

 非人間的なライト。
「我々は正しき道を歩まねばならない」
 正義を説きながら、彼こそがとてつもなく歪んでいる。

 この、不細工に映るライト照らされ、顔立ち変わって見えるよなー、てなまっつさんがねえ……めちゃくちゃカッコイイの!!

 冷酷さ半端ねえ。
 こわさ半端ねえ。
 これぞラスボス……!!

 梅芸の最初の方、喉を痛めていたときのムーアさんが、すげー痛々しい人になっていて萌え狂った。
 ラスボスとして冷酷に振る舞っているのに、壊れてしまいそうに哀しい人に見えた。
「我々は正しき道を歩まねばならない」……その台詞が、悲鳴に聞こえた。
 誰か彼を助けて。
 このままでは、彼は壊れてしまう。狂ってしまう。

 なんてのは、ほんとそのときだけで。
 喉の調子が良くなると、さらに強大なラスボスさんとして花開いていった(笑)。
 こ・わ~~。
 めちゃくちゃこわいー。
 強くて固くてこわすぎるよこの人!!

 歪みは見えるけれど、強くこわいところで安定した。や、とってもラスボスらしくね。

 その強いこわい人がまた、格好いいんだ。
 喉がアレだったときとはまた、チガウ歪みや痛さも垣間見えてね。

 回数観るうちに、どんどんわたしはクリアになっていった。
 考えるのではなく、感じるようになった、というか。
 ただもお、まっつを見る、それだけになった。

 考えない。
 ただ、彼をカッコイイと思う。

 響く、歌声。

 他のコーラスはほんとに「音」になり、ムーアの歌声だけがクリアに聞こえる。
 彼に同調し、彼しか見えなくなる。

 その、快感。

「正しき道を示さなければ」
 と歌う、その歌声だけがわたしを満たす。まっすぐな矢となり、突き刺さる。

 まっつの声が聞こえなくなるのと入れ違うように、キムくんの声が盛り上がってくるのも好き。
 ふたりの、相容れない存在が、歌声にも表れている。

 キムくんが歌っているのは、「I’m Free」だ。彼も、子どもたちもみんな一貫してその曲を歌っている。
 だから曲のラストに「I’m Free!!」と叫ぶのは正しい。

「導いて 主よ」
 と歌うまっつ、まったく別の歌を歌っているムーアまでもが、最後に「I’m Free!!」と叫ぶ。

 そう、これは正義の聖戦。
 子どもたちも、大人たちも、どちらも正しい。

 客観的にどうこうじゃない、どちらも自分たちこそが「正しい」と思っている。

 だから彼らはラストに叫ぶんだ。
 「神様に聞こえるように」、声を上げて。

 大人たちも、ムーアも。

 わたし、このラストの「I’m Free!!」が好きで。

 ムーア牧師が叫ぶ、「I’m Free!」が好き過ぎる。

 冷徹な権力者、おそろしいラスボスが、拳を握って宣言するんだ。「I’m Free!」

 独裁者の叫び。

 うおおお、かっけーーっ!!

 理屈じゃない。
 ただもお、アタマ悪く、ハクハクしてる。
 かっこいいかっこいいかっこいい。
 まっつかっこいい。
 ……それしか考えてない(笑)。

 2幕の教会の、レンとの会話とか、翌朝のミサの演説とか、彼の演技力のすごさに感動するところはちゃんとある。
 ラストシーンのヴァイ@きゃびいとのラヴシーンや、まっつが歌うラヴソングと、ときめきまくるところはちゃんとある。

 それとは別に、ただもお、格好良さに打ちのめされる。
 口から心臓が飛び出るんじゃないかってくらい、ドキドキする。

 「ミュージカル」としての演出のすごさだろうよ。
 レンたち学生たちの歌とダンスの流れ、大好きなんだもの。血湧き肉躍るんだもの。
 その「ミュージカル」としての力、わたしがもっとも好む演出・表現の中の一部として、ムーアさんが好み過ぎるの。

 彼の歪みがどうとか、悲しさがとか、理屈はいいです、その辺考えるのも好みだし大好きだけど、とりあえず見ているときは置いておきます、ただもお、かっこいいっす。
 ここのムーアさん、見ていたい。
 ただもおエンドレスで、見ていたい。

 こんなに好きでいいのか?!
 ってくらい、好きだわー。

 ライト変だから、顔も変に映ってるんだけどねー(笑)。
 「きれいに映す」ことを考えていない画面にされてるんだけどねー。

 それでも、すげーかっこいいのー。
 アタマ悪いのー、それしかコトバ、出てこないのー。

 ムーアさんの「I’m Free!」が好き。
 あの握り拳が好き。
 眉間の縦皺が好き。


 1幕ラスト、泣きすぎで毎回大変っす(笑)。
 キムくんたち若者に泣かされ、ムーアさんが格好良すぎて泣かされ。

 消耗する。

 しあわせ。

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