雪組公演は、初日と翌日連続で観る。
 それがここ数年の習慣だった。

 正確には、「まっつのいる公演は」だったんだよね。
 まっつは初日と2回目とで演技変わるから、それを見逃すなってことで(笑)。
 また、わたしは目もアタマも残念な人なので、1回観ただけだといろいろ見逃すし、理解も出来ない。続けて2回観てはじめて整理出来る、と。

 昔は初日を観たら次は日にちを空けて……と思ってたんだけど、それじゃどうも自分的に収まりが悪くて、2回続けて観たらすとんと納得して、そうかコレだったのかと開眼、以来続けて観ることにした。

 これはまっつ限定だったんだけど、まっつがいた雪組をそうやって観てきたから、まっつがいなくなっても雪組は2回続けて観る。
 習慣ですな。

 他組・他の公演では1回観るだけだったり、複数観るにしろ初日と楽前だったりするのに。
 雪組は、続けて2回観なきゃ収まらない。

 特に今回はウエクミだし。
 てゆーかわたし、ウエクミ作品続けて観たかったの。今までは他組だったから観られなかったけど、今回は雪組! 晴れて連続観劇できる!
 きゃっほーい。


 ……なんだけど、正直、初日を観た段階ではテンション上がらなかったなあ。
 続けて観るのはしんどいなあ。と、そんな感想。

 「2回目は最初から泣けるだろうね」と『星逢』を観た友人たちが口を揃えて言うように、このテの作品には「結末を知って観る」楽しみがある。
 ラストシーンの子どもたちに泣けたのと同じ現象が、次に観たときは冒頭の櫓を作る子どもたちの場面から起こるわけだ。
 ラストのちびっこたち再びで泣けたのだから、きっと幕開きから泣けて泣けて仕方ないんだろうなあ。
 そう思い、そう思うことに、疲れを感じる。

 年取ったわねえ。
 最初から「泣ける」とわかってると、腰が重くなる(笑)。

 でも、チケット取ってあるから行くわよ、2日目。
 泣くわよ、泣いてやるわよ。
 そう構えて観劇し。

 あまり、泣けなかった。

 てっきり、最初の子役場面から泣けると思ったのに。
 そのへん、ぜんぜん。

 結局泣けるのは、初日と同じ、ラストの泉@みゆちゃんと晴興@ちぎくんのラブシーンからだ。

 周囲の人は早くから泣いてたし、もちろん最初の子役登場からぶわーっと泣く人たちもいたけど。
 2回目だから、結末を知っているから、という意味で泣けることがないというか。
 や、もともと涙もろいので、あちこち泣くけど、自分的に涙が出るぐらいは「泣いた」にカウントしてなくてだな、「泣いた」と思えるのは泉の「どうしてこんなになってもまだ、あなたを好きなんでしょう」あたりからだ。
 他の泣きポイントも大抵泉だしな。子役の泉がぼろぼろになって水泥棒に向かっていくとことか、「星逢は今日だから田んぼは大丈夫だ」と紀之介@ちぎくんに言われて泣き出すとことか、瞳きらきらで星を見ているとことか、紀之介を見ているとことか……とにかく泉がかわいくていじらしくて、初見から泉絡みは泣ける。
 そして、2回目も初見と同じところで同じように泣けるから、これはもう「ストーリー云々」より、みゆちゃんなんじゃないかなあ?
 咲妃みゆが泣くと、世界が泣く。……そんな感じで、お泉ちゃんに感情移入して見てるんですが。
 んで、泉を視点としていると、彼女はブレることなくずーーっと「紀之介」なので、ラストの小太刀を抱きしめて上がる櫓、まで一本すーっとつながっていて、カタルシスがどーんと来る。

 そしてたぶん……泉を視点にしていると、ラストの「子役再び」で幕が下りるのは「蛇足」なのかもしれない。
 彼女の物語には、「星があんまりきれいだから泣ける」と子どもたちに語る「エピローグ」がある。
 エピローグのあとにもひとつエピローグを付けるから、「蛇足」になる。

 泉ではなく、紀之介の物語なら子役場面がエピローグでいいんだけど……うーん? いいのか?
 やっぱりあざとさを感じる……?
 泣けるけれど、ナニかチガウ、引っかかる……?

 うーん、なんかわたし今回、泣きツボが違うのかなあ?
 幕開きから泣けないのは何故だ。


 そして、「自組でウエクミだと何度でも好きなだけリピート出来てうれしい」と思っていたのに、続けて2回見たら、なんだか、納得してしまった。

 おなかいっぱい。
 もういいや。

 初見時は、「これ、どうするつもりなんだろう?」と思っていた。
 こんな道具立てと展開で、どうまとめるつもりなんだ、と。
 2回目は、結末がわかっているので、ドリルの答え合わせをしているキモチだった。
 ここがこうだから、こうなるんだ。ああ、ここはあそこへ帰着するのか。
 植爺作品とかにある生理的嫌悪感、否定感もなく、論理も倫理もめちゃくちゃの地球外生命体みたいな人間外の感性と知性で作られた破壊作ではなく、正しく機能した端正な物語だから、数式を解く感じで整理していけるのな。

 で、答え合わせをしたら、おなかいっぱい。飢饉だなんだと言ってる芝居に対してアレですが、観ている側は、よく出来た作品ゆえに飢餓感持ってリピートする必然性に欠ける。
 足りない部分を埋める作業がない。
 必要なことは過不足なく舞台の上にある。
 1回で十分だし、2回観たらそれこそレポート書けるくらい情報が詰まってるから、それでもう大丈夫っすよ。

 という気分になってなー。
 リピート意欲がしゅるしゅるっとなくなったのなー。
 これは意外だった。

 わたしが組ファンでなければ、2回続けて観たらもう満足だなあ。
 組ファンだからまた観に行くけど。作品というより、生徒を観たくて。

 すごくいい作品で、この作品を今の雪組で観られて良かった、ウエクミありがとう!!
 心からそう思う。

 でも、わたしが期待していた「鬼リピートするわよう、わくわく!」というキモチは、盛大に肩すかしをくらった。


 ……のよ。
 この段階では。

 問題は、次の観劇時からだ。←

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