雪組全国ツアー『ベルサイユのばら-オスカルとアンドレ編-』で、公演内容以外で思ったことあれこれ。

 実はわたし、みゆちゃんが「トップ娘役!」という扱いで全ツの真ん中にいることに、驚きました。

 や、わかってたはずなんだけど、やっぱ実際に目にしたら、びっくりする。
 今まで見慣れていた「雪組」の画面に、「知らない人がいる!」ってのが。

 そして、その「知らない人」が華やかに歌う後ろにかしずいて、雪組の姫だったあんりちゃんがモブとしてコーラスしているのを見ると、複雑な気持ちになる。

 わたしはみゆちゃんの芝居力を買っていて、彼女がトップ娘役であることに異論はないっていうか、歓迎してる。ちぎくんともお似合いだと思っている。
 反対に、あんりちゃんはめちゃくちゃかわいいと思ってるけれど、その実力ではトップ娘役がきびしいことも、わかっている。
 純粋に観客の立場でいうと、みゆちゃんの芝居にお金を出したいと思う。

 それでも、複雑というか、寂しいと思う。
 モブのひとりとして笑顔で歌うあんりちゃんを見て切なくなるし、がんばってくれと思う。

 勝手なもんですよ。ただのファンなんてもん。

 これが新しい雪組なんだなあ。次代の雪組の姿なんだなあ。
 『天使のはしご』と『REON!!』を観て、そのあからさまさに複雑な気持ちになった……ことを、改めてまた、思い出した。
 「これからの星組」にはいない人、いても中心から逸れる人だけで『天使のはしご』を上演、「これからの星組」を担う人だけで『REON!!』をやった……劇団、わかりやすすぎだー、ちょっとは隠せよ~~、と。……あの頃すずみんはまだ、退団発表してなかったんだけどなあ。
 それと同じ複雑さっていうか(笑)。

 不満があるわけではなく、ただ、寂しいなと思う。

 タカラヅカは、世代交代することで続いてきた劇団だ。フェアリーたちは、いつか卒業していく。また、卒業しないとしても、在団中の立場、立ち位置も永久のモノではなく、時勢によって変わっていく。
 そういう劇団であることを知った上で、愛してきた。
 仕方ないことだと知っている。

 知っていることと、寂しさや切なさを感じることは、別。

 新しい時代、新しい雪組にエールを送る。こころから、幸あれと願う。
 それと同時に、寂しくもある。切なくもある。
 「次代」を感じるこの場に、わたしのいちばん好きな人がいないことや、「時代が移る」こと自体が。

 あー、切ない。あー、ずきずきする。


 ところで今回の全ツ、いろいろ劇団ががんばってるんですが、それって「100周年仕様」ってやつ?

 梅芸入場時に、キャストの紹介カード的なものをもらったんだ。
 気合いの入った印刷の、二つ折りカード。
 主演のちぎともの直筆メッセージとサイン、そして「全ツ開催地出身者」の写真と役・出身地紹介、サインが印刷されたもの。
 「梅田芸術劇場メインホール」と記されたこのカードには、ちぎ、ひーこ、イリヤ、あだちゅう、あんり、つくしの6名が載っている。
 そして裏面には、次の大劇場公演と、本拠地宝塚ウェルカム!的な宣伝。
 これって会場ごとに別の生徒紹介が載ったカードが配られるの? 全ツを追っかけてコンプした人だけが、出演者全員分のカードをGETできるってか?

 そして、もうひとつ。
 梅芸ロビーで、「出演者からのビデオメッセージ」てのが、流れていた。
 素顔で自己紹介して、どの役をやっているかなどを、ひとりずつ語る。
 ちぎともみゆだけじゃない、大ちゃんやきんぐ、翔くんも。時間切れで全部は見られなかったんだけど、咲ちゃんまでぐらいはメンバーに入ってる? 休憩時間に途切れ途切れに見ただけだから、わたしが見てないだけで他の人も出てたかも。

 スカステ映像を流してるんじゃナイよね? オリジナルだよね?


 なんつーか、劇団、必死だな。と、思った……。

 地方出身者を紹介するカードといい、ビデオメッセージといい、「この全ツで、ファンを増やすぜ!!」という気合いが見えすぎてて、こわい。
 「知らない世界の、一過性の娯楽」がたまたま地元の劇場にやって来た、で終わらせるのではなく、地元の生徒がいることをアピールし、「あなたが生活している場所と陸続きの、永続的な娯楽ですよ」と教える。
 ただなんとなく「きれいねー」と眺めて終わり、にするのではなく、ビデオメッセージを流し、「生身のスター」に興味を持ってもらう。
 すべてすべて、「次は本拠地宝塚へ来てね!」「タカラヅカにお金を使ってね!」という宣伝。

 全ツはファンサービスではなく、営業巡業なんだ……。
 そう教えられたようで、「うわー」と思った。

 ……てなところに、初日のちぎくんの挨拶ですよ。
「全国各地でひとりでも多くの方々が『またタカラヅカを観たい!』と思っていただけるような舞台を……」

 劇団から、相当檄を飛ばされてるんだろうな。「全国回って、客を増やしてこい!」って。
 しかも今回の全ツは九州メイン、ちぎくんの地元へも行くし、主演メンバーも九州出身者で固めてあるし……地元で客引いてこい、と網を渡されての巡業っすか……。

 こわい。劇団が本気すぎて、こわい。

 てゆーかさ。

 前からやれよ。

 100周年にかこつけて、今さらあわてて客引きするなよー、前からやってろ。
 劇団はほんと、客増やす気あんのか、てな商売態度だったもんなー。まともに宣伝もしないしさー。

 これくらい、やるべきだと思う。
 せっかく全ツで、各地へ行くんだもん。もっともっとタカラヅカを知って欲しい、好きになって欲しい。
 タカラヅカが俄然おもしろくなるのは、「スター」の見分けがつくようになったときから。
 もっともっと、「スター」を宣伝するべきだよ。
 「うちの地方出身者が、あの華やかな舞台にいるの?!」でもいいし、「素顔でメッセージを話している姿が気になった、舞台ではどこに出いたのかしら、探したいわ」でもいい。とっかかりは、なんでもいいんだ。

 もっともっと、興味を持って欲しい。好きになって欲しい。
 だから劇団、本気を出せ。がんばれ。
 ちぎともみゆ他、雪組の魅力をいっぱい宣伝して、たくさんのお客を大劇場に連れて帰ってくれ~。

 これからの、タカラヅカのために。

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