笹持って踊ろう。輪になって踊ろう。@心中・恋の大和路
2014年3月25日 タカラヅカ「なあなあ、八右衛門~。ちょっと相談したいことあんねやけどぉ」
「金なら貸さんで」
「うわ即答。てゆーか、誰も金貸せとは言うてへんやん。失礼なやっちゃ。そうやのーて、真面目な相談や」
「お前が語尾のばしてすり寄ってくるときは、ろくなことがないからな。で、なんや」
「私には、どんな変装が似合うと思う?」
「変装?」
「宿衆には掟があってな、禁を破って逃げた者を追うときは、それぞれ変装することになってんねん」
「…………なんで変装…………」
「なんでっていうても、しゃーないやん。そういう掟なんやから。藤屋さんは古手買、丸十さんは傀儡師になるそうや。嶋屋さんなんか、飴屋に変装するために日々飴細工の稽古しとるで」
「仕事せえよ、飛脚屋……」
「働くのは飛脚たちで、私ら主人は店におるだけやからな~、暇もあるわけで。な、私にはナニが似合うやろ~~」
「女装でもすれば?(棒読み)」
「あかんあかん、女装はすでに、もず屋さんがやっとる」
「やっとるんかい」
「しかも、伊勢屋さんと夫婦設定やで」
「……なんでそこまで……」
「んー? やっぱ伊勢屋さんがオトコマエやからとちがうか? 体格良くて美丈夫!って感じやろ。伊勢屋さんと並んだら、もず屋さんもおなごに見えるっちゅーか」
「いや、根本からおかしいから! なんで変装? なんで女装? なんで夫婦設定?!」
「掟やし」
「それがおかしいから!」
「そんな大きな声出さんでも。……まあとりあえず、変装するなら、紫頭巾かなー」
「なんで紫? めっちゃ目立つがな」
「そんじゃ白にするか。それから、顔を隠すためにむしろをこう顔の周りに立てて」
「めっちゃ目立つがな」
「えー? そっかなぁ?」
「根本からおかしいから!!」
~~~
「私も大和へ向かいます。道で会いましても、どうか 知 ら ん 顔 で通してください」
後日、掟を破って逃亡した忠兵衛を追う際、八右衛門は断固として、宿衆と同行することは拒絶したという。
「ぜっったい、声掛けないでくださいよ、他人のふりでお願いしますよ、同類だと思われたくないっ!!」
…………まあ、無理もないか。
☆
『心中・恋の大和路』の、宿衆が素敵過ぎる件。
飛脚問屋ユニオンのおじさま方。みな、店を背負った「仕事できます」なダンディたち。
他人のお金を扱う商売だから、信用第一。互いに協力し合い、また牽制・監視し合う、筋金入りの古狸たち。
この宿衆6人組が、めちゃくちゃ素晴らしいの。
16年前、コウちゃん主演時は、この宿衆の素晴らしさがわたしにはわかってなかった。
というのも、キャストのバランスが極端すぎた。
リーダーの藤屋さんが、なんと専科の汝鳥サマ。サブリーダーの丸十さんもまた、専科のおじさま。そして、他のメンバーは新公学年の小僧っこたち。
汝鳥さんの存在感だけが飛び抜けていて、他の子たちはモブに見えた。2幕では歌の見せ場があるとしても、「何故君が歌うの??」と場違い感が大きかった。
や、わたしには、そう思えた。
汝鳥さんが大きすぎて、「宿衆=専科の役」「宿衆=脇の渋い役」という刷り込みがあった。
んで、専科さんの役だから、スターにきゃあきゃあ言うような心弾む役ではない、的な思い込みがあった。ほんと、汝鳥さんしか記憶にないんだもん。ちょー渋いおじいさまと、モブ(だから下級生ばかり)の男たち、としか。
ちがうやん!!
宿衆、べつにおじいさんとちがうやん!! めっちゃストライクの色男たちやん!!(笑)
藤屋@がおりは、いー感じにおっさんだ。
ナニゴトにも動じない、大人の男。寡黙なリーダー。
なに考えてんのかわかんなくて、最後まで「いい人」か「敵」かとまどう。汝鳥さんだと、厳格なだけでほんとはいい人、と思えるんだけど、がおりのこの黒さはなんなんだ(笑)。
サブの丸十@りーしゃは、ちょっとちょっと、いいの?!てなイケメン旦那。煙管が似合うよちょっと!!
なんか「イイこと言いたい人」で、「亀の首に灸を据える」「類は友を呼ぶ」など、どーでもいいところでナニかしら口を挟んでくれるので、キャラがわかってからは、いちいち楽しい。
基本小物で、大物っぽく振る舞おうとしてスベってる感じが、大変愛しいです。いるいる、こーゆーナンバー2、組織にいるよねー(笑)。
んで、実行部隊長が、嶋屋@あすくん。凄腕の武闘派って感じ? 忠兵衛@えりたんの不貞を調べたり、丸十さんが勇み足踏むのを遮ったり、凄みの利いたキャラです。
八右衛門@まっつに対しての切り捨て方も、冷酷っぽくて素敵。
もっとも激情家なのが、角屋@朝風くんっすか? 憤りは激しく、でも、亀屋のご隠居さん@五峰さんを心配して咄嗟に動いたり、優しい人だよね。
純粋な分、心の跳ね返りも大きいのかも。
残るふたり、伊勢屋@タジィともず屋@ザッキーは、今んとこキャラがいまいちわかってません。伊勢屋さんは比較的穏やかな人に見えるけど……。
ともかく、6人とも色男。
無意味に二枚目。それがもう、すっげー「タカラヅカ」感(笑)。
汝鳥さんとその他大勢、ではなく、がおりを中心としたユニット。役者としての力関係が拮抗しているので、全員の「顔」がちゃんと見える。モブではなくて。
んでこの6人は、物語上の登場人物であるだけでなく、コロスも務めている。
『心中・恋の大和路』の黒天使、と呼ばれてるんでしたっけ? わかるわかる、たしかに黒天使!!
オープニングの飛脚、そして道頓堀の歌舞伎男たち、要所の笹ダンス。
歌舞伎場面、最初に観たとき盛大にツボった。
登場した彼らが、全員、タジィの顔をしている。
や、歌舞伎のお面を付けてるわけなんだけど、わたしには「央雅くんマスク?!」と一瞬びびった。
仮面を付けて主人公を翻弄するダンス、ってよくあるけど、仮面の男たちが名札付きって、新しい。つか、優しい(笑)。
「仮面のせいで、誰が誰かわからないわ!!」てなライトファンが、ちゃんとお気に入りの生徒をオペラで追えるのよ? 名前入りの提灯持って踊るから。
そしてなんつっても、変装して大和路へGO!!が、面白すぎる……!!
なんで? なんで変装する必要があるの??
しかも、サングラスにトレンチコート張りにあり得ない、嘘くさい変装ばかり。
んなことしても、忠兵衛は宿衆の顔を知ってるんだから、意味ナイよね?
や、同僚たちがコスプレして人集めて歌い踊ってたら、目を合わせずに逃げるだろふつう。見なかったことにしよう、となるだろう。逆効果だって。
それでも、ショー場面として楽しい角屋さんや嶋屋さんは、いいよ。芸達者ぶりを披露する藤屋さんも、「美貌を真正面から眺めてね!」の丸十さんもいい。
見せ場のない伊勢屋さんともず屋さんの立場は? てゆーかもず屋、女装かよ?(笑) なんで女装する必要があるんだ。
新口村で忠兵衛たちを追い詰め、「邪魔をすれば斬る!」と刀を抜く宿衆。
…………問屋の旦那衆が、「我ら隠密!!」てなノリでびしっとポーズ。
しかも、愉快なコスプレ姿で。
本業となんの関係もナイ、隠し芸大会のあとっすよ。
や、そこを突っ込んじゃいけないことはわかってる。「ミュージカルって、台詞の途中でいきなり歌い出すから変」というのがナンセンスなのと同じ。それはわかってる。
わかってるけど……愉快よね。
だって、ちょーシリアスシーンだっつーのに、もず屋さん、女装してるし。
いちばん影薄い人が、ひそかにいちばんとんでもないコスプレしてる、だけど完全スルーされている……って、コントとして完璧じゃね?
誰か突っ込んでやれよ、女装だよ女装!! プログラムにも「もず屋(巡礼女)」って書いてあるんだよ。スルーすんなよ、その方がいたたまれないだろう!……と、もず屋さんは内心思ってるかもしんないじゃん。
宿衆6が、素敵過ぎる。
こんなにオイシイ役だったのか。
この6人でスピンオフ希望っす。みんなみんな、愛しすぎる。
「金なら貸さんで」
「うわ即答。てゆーか、誰も金貸せとは言うてへんやん。失礼なやっちゃ。そうやのーて、真面目な相談や」
「お前が語尾のばしてすり寄ってくるときは、ろくなことがないからな。で、なんや」
「私には、どんな変装が似合うと思う?」
「変装?」
「宿衆には掟があってな、禁を破って逃げた者を追うときは、それぞれ変装することになってんねん」
「…………なんで変装…………」
「なんでっていうても、しゃーないやん。そういう掟なんやから。藤屋さんは古手買、丸十さんは傀儡師になるそうや。嶋屋さんなんか、飴屋に変装するために日々飴細工の稽古しとるで」
「仕事せえよ、飛脚屋……」
「働くのは飛脚たちで、私ら主人は店におるだけやからな~、暇もあるわけで。な、私にはナニが似合うやろ~~」
「女装でもすれば?(棒読み)」
「あかんあかん、女装はすでに、もず屋さんがやっとる」
「やっとるんかい」
「しかも、伊勢屋さんと夫婦設定やで」
「……なんでそこまで……」
「んー? やっぱ伊勢屋さんがオトコマエやからとちがうか? 体格良くて美丈夫!って感じやろ。伊勢屋さんと並んだら、もず屋さんもおなごに見えるっちゅーか」
「いや、根本からおかしいから! なんで変装? なんで女装? なんで夫婦設定?!」
「掟やし」
「それがおかしいから!」
「そんな大きな声出さんでも。……まあとりあえず、変装するなら、紫頭巾かなー」
「なんで紫? めっちゃ目立つがな」
「そんじゃ白にするか。それから、顔を隠すためにむしろをこう顔の周りに立てて」
「めっちゃ目立つがな」
「えー? そっかなぁ?」
「根本からおかしいから!!」
~~~
「私も大和へ向かいます。道で会いましても、どうか 知 ら ん 顔 で通してください」
後日、掟を破って逃亡した忠兵衛を追う際、八右衛門は断固として、宿衆と同行することは拒絶したという。
「ぜっったい、声掛けないでくださいよ、他人のふりでお願いしますよ、同類だと思われたくないっ!!」
…………まあ、無理もないか。
☆
『心中・恋の大和路』の、宿衆が素敵過ぎる件。
飛脚問屋ユニオンのおじさま方。みな、店を背負った「仕事できます」なダンディたち。
他人のお金を扱う商売だから、信用第一。互いに協力し合い、また牽制・監視し合う、筋金入りの古狸たち。
この宿衆6人組が、めちゃくちゃ素晴らしいの。
16年前、コウちゃん主演時は、この宿衆の素晴らしさがわたしにはわかってなかった。
というのも、キャストのバランスが極端すぎた。
リーダーの藤屋さんが、なんと専科の汝鳥サマ。サブリーダーの丸十さんもまた、専科のおじさま。そして、他のメンバーは新公学年の小僧っこたち。
汝鳥さんの存在感だけが飛び抜けていて、他の子たちはモブに見えた。2幕では歌の見せ場があるとしても、「何故君が歌うの??」と場違い感が大きかった。
や、わたしには、そう思えた。
汝鳥さんが大きすぎて、「宿衆=専科の役」「宿衆=脇の渋い役」という刷り込みがあった。
んで、専科さんの役だから、スターにきゃあきゃあ言うような心弾む役ではない、的な思い込みがあった。ほんと、汝鳥さんしか記憶にないんだもん。ちょー渋いおじいさまと、モブ(だから下級生ばかり)の男たち、としか。
ちがうやん!!
宿衆、べつにおじいさんとちがうやん!! めっちゃストライクの色男たちやん!!(笑)
藤屋@がおりは、いー感じにおっさんだ。
ナニゴトにも動じない、大人の男。寡黙なリーダー。
なに考えてんのかわかんなくて、最後まで「いい人」か「敵」かとまどう。汝鳥さんだと、厳格なだけでほんとはいい人、と思えるんだけど、がおりのこの黒さはなんなんだ(笑)。
サブの丸十@りーしゃは、ちょっとちょっと、いいの?!てなイケメン旦那。煙管が似合うよちょっと!!
なんか「イイこと言いたい人」で、「亀の首に灸を据える」「類は友を呼ぶ」など、どーでもいいところでナニかしら口を挟んでくれるので、キャラがわかってからは、いちいち楽しい。
基本小物で、大物っぽく振る舞おうとしてスベってる感じが、大変愛しいです。いるいる、こーゆーナンバー2、組織にいるよねー(笑)。
んで、実行部隊長が、嶋屋@あすくん。凄腕の武闘派って感じ? 忠兵衛@えりたんの不貞を調べたり、丸十さんが勇み足踏むのを遮ったり、凄みの利いたキャラです。
八右衛門@まっつに対しての切り捨て方も、冷酷っぽくて素敵。
もっとも激情家なのが、角屋@朝風くんっすか? 憤りは激しく、でも、亀屋のご隠居さん@五峰さんを心配して咄嗟に動いたり、優しい人だよね。
純粋な分、心の跳ね返りも大きいのかも。
残るふたり、伊勢屋@タジィともず屋@ザッキーは、今んとこキャラがいまいちわかってません。伊勢屋さんは比較的穏やかな人に見えるけど……。
ともかく、6人とも色男。
無意味に二枚目。それがもう、すっげー「タカラヅカ」感(笑)。
汝鳥さんとその他大勢、ではなく、がおりを中心としたユニット。役者としての力関係が拮抗しているので、全員の「顔」がちゃんと見える。モブではなくて。
んでこの6人は、物語上の登場人物であるだけでなく、コロスも務めている。
『心中・恋の大和路』の黒天使、と呼ばれてるんでしたっけ? わかるわかる、たしかに黒天使!!
オープニングの飛脚、そして道頓堀の歌舞伎男たち、要所の笹ダンス。
歌舞伎場面、最初に観たとき盛大にツボった。
登場した彼らが、全員、タジィの顔をしている。
や、歌舞伎のお面を付けてるわけなんだけど、わたしには「央雅くんマスク?!」と一瞬びびった。
仮面を付けて主人公を翻弄するダンス、ってよくあるけど、仮面の男たちが名札付きって、新しい。つか、優しい(笑)。
「仮面のせいで、誰が誰かわからないわ!!」てなライトファンが、ちゃんとお気に入りの生徒をオペラで追えるのよ? 名前入りの提灯持って踊るから。
そしてなんつっても、変装して大和路へGO!!が、面白すぎる……!!
なんで? なんで変装する必要があるの??
しかも、サングラスにトレンチコート張りにあり得ない、嘘くさい変装ばかり。
んなことしても、忠兵衛は宿衆の顔を知ってるんだから、意味ナイよね?
や、同僚たちがコスプレして人集めて歌い踊ってたら、目を合わせずに逃げるだろふつう。見なかったことにしよう、となるだろう。逆効果だって。
それでも、ショー場面として楽しい角屋さんや嶋屋さんは、いいよ。芸達者ぶりを披露する藤屋さんも、「美貌を真正面から眺めてね!」の丸十さんもいい。
見せ場のない伊勢屋さんともず屋さんの立場は? てゆーかもず屋、女装かよ?(笑) なんで女装する必要があるんだ。
新口村で忠兵衛たちを追い詰め、「邪魔をすれば斬る!」と刀を抜く宿衆。
…………問屋の旦那衆が、「我ら隠密!!」てなノリでびしっとポーズ。
しかも、愉快なコスプレ姿で。
本業となんの関係もナイ、隠し芸大会のあとっすよ。
や、そこを突っ込んじゃいけないことはわかってる。「ミュージカルって、台詞の途中でいきなり歌い出すから変」というのがナンセンスなのと同じ。それはわかってる。
わかってるけど……愉快よね。
だって、ちょーシリアスシーンだっつーのに、もず屋さん、女装してるし。
いちばん影薄い人が、ひそかにいちばんとんでもないコスプレしてる、だけど完全スルーされている……って、コントとして完璧じゃね?
誰か突っ込んでやれよ、女装だよ女装!! プログラムにも「もず屋(巡礼女)」って書いてあるんだよ。スルーすんなよ、その方がいたたまれないだろう!……と、もず屋さんは内心思ってるかもしんないじゃん。
宿衆6が、素敵過ぎる。
こんなにオイシイ役だったのか。
この6人でスピンオフ希望っす。みんなみんな、愛しすぎる。