新人公演『The Lost Glory―美しき幻影― 』覚え書き。

 新公初ヒロイン、綺咲ちゃんはかわいかった。顔立ちが、というより、全体のバランスがかわいい。ヒロインっぽい持ち味がある人。
 つか、綺咲ちゃんというとほら、棒読み! 大根!という印象からスタートした子だからさー、見るたびに、「うまくなってる!」と思う。
 スタート地点がマイナスだったために、成長がわかりやすいのだとしても、見るたびに「うまくなったなー」と思えるのは楽しい。
 もう棒読みでも大根芝居でもない、ふつうにヒロインしている。歌もうまい。

 んでなんつっても今回感心したのが、彼女の芝居の弱さ。
 芝居力が低いという意味の弱さではなく、彼女の演じる女性に弱々しさを感じるということ。可憐さがあるということ。

 打ちひしがれるディアナ@綺咲ちゃんに、説得力がある!!

 本役さんだと、ちっとも弱く見えなくてなあ。
 なんの非もないのに不貞を疑われ、一方的に責められる可哀想な妻、のはずが、あんまし可哀想に見えないのな……。
 いやアンタ、そんだけ日常的に派手だと、貞淑な妻に見えにくいっちゅーか、同情しにくいっちゅーかね……てな感じ方をしてしまう。
 だけどキサキちゃんだと、ほんとに弱々しい小動物に見えて、一方的に責められると「可哀想!」と思える。

 つまり反対に言うと、カリスマアーティスト、ファム・ファタールには見えない、ってことでもある。
 ふつうに可憐で可愛い。しかし、絶世の美女でも天才でもない。
 いたいけなプリンセス。ねねちゃんのような「女王様!」オーラは今のところ感じない。……そりゃまあ、6年トップの座に君臨したらキサキちゃんも女王様タイプになってるかもだけど。現時点では。

 オットー@まおくんが弱かったので、これくらいこじんまりきれいな子がヒロインの方が、バランスはいいのかも。


 ロナルド@せおっちがいい感じに芝居してました。
 髪型のせいかメイクのせいか、はたまた役柄のせいか、やたらとタータンを思い出した。イケコの『失楽園』のタータンへと、わたしの脳の回路がつながるらしい。
 朴訥とした味わいが、最後の凶行につながる。

 カーティス@紫藤くんは、つるりとした印象。
 別になにが悪いわけではないと思うんだが……なんかこう、届くモノがないというか。つるりと指先をすり抜けて落ちていく。わたしには掴めない。
 もどかしさだけが残る。

 エマ@風ちゃん、ミラベル@美伶ちゃんは、安定の巧さ。ふつーに本公演レベルというか、本役でもおかしくない感じ。
 星組ってナニ気にそーゆー娘さんたちを抱えているような。いやその、トップが6年変わらないとそうなるってことだけかもしんないけど。
 ゼイタクだけど、観客としては眼福である。

 上級生役を演じてた子たちは総じて安定、うまかったし、若手役もよくやっていたなあ。
 パット役はなかなかどーして大役だと思うけど、違和感なく務めていたし、レイモンド役もよく喋り、動いていた印象。

 あ、そだ、オットーの子ども時代役の子、かわいかったー!
 それから、ハリーやった子の顔があちらこちらで目に付いた。記憶に残った。てゆーか、一瞬だけでも名前のある役をやってくれてよかった(笑)。でないと「あの顔」としかわからず、困ったわ……。

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