わたしの立ち位置は不問でお願いします。
 『My Dream TAKARAZUKA』を観て、中村B先生へ、勝手に話しかける。一観客ってのはとってもワガママなモノなのさ。なにしろナニサマオレ様お客様だからさ。


 なあ、中村B。
 今、オレからキミへ伝えたいことは、ひとつだ。

 自分に、もっと自信を持て。

 そりゃあ、オレだっていつも、勝手なことばっかぬかしてるさ。ちょっと不満があればぶーぶーぶーぶー、うるさいったらないよ。
 でもさ、キミの仕事を認めてないから言うんじゃないんだぜ?
 なんていうかさ、長年のつきあいから来る甘えみたいなもんだよ。オレとキミのつきあいだから、ぶっちゃけちゃってもいいよな、的な。
 長いつきあいじゃん? バウから観てるさ、『大上海』『香港夜想曲』……思わず口ぽかーんだったな。その後ショー作家に転身して、英断だと思ったもんさ。
 先日、懐かしの『ラヴィール』スカステで見たよ。当時のオレはしいちゃんロケットボーイにうはうはだったけど、今はまっつ探しに血眼さ。研1まっつがかわいかったな……ロケットでは娘役の間にまぜられてさ……って、そういうことじゃなくて!
 話を戻す……えっと、とにかく昔から観てきて、そうやって、もうネタだよな?てないじり方してきたさ。「上から順番、1・2・3」「マスター、いつものヤツを頼むぜ」……そのワンパ……いやその、ブレない作品作りをな。

 そうやってキミは、長い間タカラヅカの座付き演出家としてやってきたわけだ。キミの売りは、タカラヅカらしいオーソドックスさだ。目新しさはなくても、裏切らない「タカラヅカを観たわー」感があること。
 その堅実な作風は、十分誇っていいはずなんだ。
 タカラヅカを愛し、生徒を愛し、タカラヅカのレビューを作り続けてきたんだろう? 初見作品でも次の展開が読めるくらい、同じようなモノばかり作り続けているのは、それがタカラヅカの王道をバカ正直になぞっているためだ。
 そうやって積み重ねてきた、タカラヅカの座付き演出家・中村Bとしてのスキルが、よその畑の人間よりも、劣るはずがないんだ。

 「タカラヅカ」という特別な場所で。
 タカラジェンヌという特別な舞台人を魅力的に見せる仕事をしてきた。
 そのことに、自信を持って欲しい。

 少なくとも中村Bは、「よその世界の有名人」が「よくわかっていないまま依頼されて作った曲」よりも、素晴らしい曲を作れる。
 それだけの年月を、思いを、経験を積み重ねてきたはずだ。そうだろう?
 当然じゃないか。

 だって、宝塚歌劇団100周年なんだぜ?

 100年の歴史があるんだ。それだけ特別なところなんだ。代わりがきくなら、こんなに続いてやしないさ。よその権威者がちょいと首を突っ込んでどうにかなる、そんな浅いモノじゃないんだ。
 中村B作詞・西村耕次作曲の「My Dream TAKARAZUKA」の方が、あの作文か日記みたいな曲より、遙かに素晴らしいんだよ!
 あのよその人の曲だって、ここがタカラヅカじゃなければ、いい曲なのかもしれないさ。名を成した人には、相応の力がある。でも、あの人たちの曲が活きるのは「ここ」ではなかったってことだ。
 ここはタカラヅカだ。タカラヅカなんだから、タカラヅカで勝負しようよ。してくれよ。

 黒燕尾群舞からデュエットダンス、よその有名人の名前を押し出した場面より、ずっとずっと美しく、泣ける選曲、演出じゃないか。
 トップスターへの、退団者への餞というならば、よその権威者の名前に頼るのではなく、中村B渾身のタカラヅカ力を駆使して、「これがタカラヅカだ!!」という場面を、曲を、書き下ろして欲しかったよ。

 なあ、中村B。
 もっと自分に、そして、「タカラヅカ」に、自信を持ってくれ。
 キミなら出来るさ。

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