94期はもう、研7なのか。
 新人公演『一夢庵風流記 前田慶次』にて、新公の長として挨拶するあすくんを観て、改めて知った。

 実はそれがかなりショックだった、時の流れについて行けない年寄りがここに。

 雪組はずっと観ているとはいえ、わたし的に「よっしゃ、ホームは再び雪組だ!」と腰を据えたときに「若手」として台頭し出した子たちへの印象は、とても強い。
 2011年1月、役の少ない『ロミオとジュリエット』だからこそ、学年関係なくみんな横並びの「モンタギューの男」「キャピュレットの男」。その中で「あの子誰?」と人の口に上がることことが、本モノの華や美貌ってもんだろう。
 わたしの周囲で耳にしたのは、いろんな人に「あの子誰?」と聞かれたのは、モンタギューでは翔くんとあすくん、キャピュレットではレオくんだ。「かっこいい・きれい・かわいい」など、容姿を誉める言葉と共に、「名前わかるなら教えて」と言われた。
 94期のあすレオは、当時研3。舞台を踏んでまだ丸3年に満たないひよっこなのに、舞台姿の美しさで「あれ誰?」と人の口に上がる子たちだった。

 それからふたりは、新公その他で活躍しはじめる。雪組ならではの、小柄で美しい男の子たち。
 あすくんはその技術の高さ、歌って良し、演じて良し、踊って良しの総合力の高さを、与えられた役で存分に示す。
 芸風は十分濃いのに、まとまりの良さゆえか、地味なのは確か。でも、それも訓練次第の部分はあるから、「スター」として真ん中で使い続ければ、技術に後押しされた「舞台強さ」がさらに武器になったかもしれない。
 なのに悲しい劇団推しのなさ。もっと使えば威力を発揮出来る子なのに、わざとかってくらい、目立たないところに配置される印象。きれいでうまいから、人の口に上がり続けるんだけどねえ。
 レオくんはバリバリ抜擢され、華やかな扱いを受けたと思う。が、いかんせん実力が……。レオくんは総合力ではなく、美貌とダンスに突出しているから、芝居と歌を重視する組では分が悪い。
 とはいえ、抜擢されたときが実力が伴っていなかっただけで、今はそれなりになってきている。うまいわけじゃないけれど、男役度の高さ、あのビジュアルとエロさ(重要)をこのまま埋もれさせるのは惜しい。

 なんとかならないのかなあ。あすレオをもっと観たいなあ。新公主演できないかなあ。
 ……そんな淡い夢を抱きながら現在に至り、新公の長として挨拶するあすくんを見て、後ろ頭をはたかれた気になる。

 もう研7?! まだまだ下級生、そのうち新公主演しないかなあ、って思ってたけど、もう最後の年なの?!

 うっわー……。

 という、年寄りゆえの昔話スタートで恐縮です。
 つまりだ。

 あすくん、うますぎる。

 庄司又左衛門、本役はがおり。

 ひとりだけ、レベルがチガウ。
 声、滑舌、動き、芝居、存在感。上級生が混ざって出ているみたい。

 もともとうまいことは知ってるけど、それにしてもほんとにうまいな!!
 と、感心していて。

 反対に、不安になった。

 なんでこんなにうまくなってるんだろう……それこそ、専科さんみたいに。

 『JIN-仁-』新公で悪役をやったときとか、黒くてエロくて大変!だった。
 だから今回、似た役である雪丸じゃなくて、堅実な又左衛門で良かったなと思ったんだ。別の役柄を見てみたかったから。
 でも……ここまで堅実というか、現役感のない枯れたおじさんに作らなくても……。
 本役のがおりがそうだから、ってのはもちろんあるだろうけど、あすくんはあすくんだもの、エロさのにじむ現役色男でもいいはず。
 なのに、あすくんが常備していたはずのエロさが沈んで、うまさだけが見えるようになっている……。
 あすくんって芸風に跳ねっ返りさというか、やんちゃさがあるのも魅力なんだけどなー。大人の男を演じてなお、その奥にあるおさまりきらない意欲というか。なにかやりたくて、うずうず弾けている感じというか。
 でもそれが今回あまり感じられないというか、ひたすら堅実に思えた。

 首をひねっていたところに、新公の長として挨拶、ですよ。

 ああ、そういうことなのか! と。

 もう長の期で、しかも組内首席で、新公チームの組長ポジなわけだ。それでやっている役が専科さんっぽい又左衛門で……。
 こんだけ重なったらそりゃ、現役感薄れるわ。
 スターであることよりも、管理職っぽい雰囲気が先に立つわ。

 たぶん、とても真面目で、誠実な人なんだろう、あすくん。
 自分がどうこうよりも、「求められている、自分の役割」を自覚し、それを果たす人なんだろう。
 それゆえに、雪組新公チームはがっつりまとまり、こんな風にいい新公になっているんだろう。いやもちろん、あすくんひとりの手柄だと言っているわけじゃないが。

 脇に回って下級生たちを支える気概ばっちりのあすくんは大変頼もしく、素敵なんだけど。

 さみしい、なあ。
 わたしはもっと、「スター!!」なあすくんが見たいなああ。

 組ファンには歌ウマとして知られているけれど、なにしろ劇団推しのナイ人だから、たまに歌で抜擢されるたびに「あの子誰、すごい歌うまい!!」と驚かれる……毎回驚かれるくらい、ふだん使われてないんだよ……よよよ。
 もっともっと、あすくんを使ってくれればいいのに。きれいで歌える、芝居もダンスもできる、男役としての完成度も高い……足りないのは身長とキラキラ度のみ。……ううう、なんか書いててどんどん胸が痛くなる……わたしこういうタイプ好きなんですよほんと。わたしが好きなタイプだから、劇団愛が薄いのかしら。

 つくづく、なんでまっつって2回も新公主演できたのかしらね。まっつが2回やってるくらいなんだから、あすくんが1回主演しても良さそうなもんだニャ。(勝手な理屈)

 このまま枯れたタイプにならず、やんちゃで好戦的なキャラでいて欲しいなあ。
 ショーでバリバリにキザってたり、肉食全開で釣りに掛かってるのを見ると安心する。レオ様とふたりして、どんどん純情な客席女子を釣りまくり食いまくってくださいまし!


 で、その相方のレオ様は、雪丸。本役はまっつ。

 雷鳴とスモークと共にせり上がって来たときの、キターーッ!感が、たまりません(笑)。

 雪丸役がどうというよりも、まっつコスプレに見えるのは、やっぱ顔や雰囲気がまっつに似てるからなんだよなああ。
 『BJ』でシルエットだけだと、まっつに見間違えそうになったもの。横顔とかすげー似てる。

 こういう外連味が必要な役が決まる美貌とエロさを持つ若手男役は、貴重ですよ!

 ……うまくはないんだけど、それでも喋り出したらびっくりする、ほどヘタではなくなった……よね?
 レオくんは顔が大好きなので、点数甘いんです。ぶっちゃけよくわかりません、あの顔のせいで底上げされまくってて、実力を客観視できない(笑)。
 うまくないのわかってて、それでも新公主演して欲しいと思うもの。や、レオくんぐらいいろいろ苦手があっても主演してる人、全組通して山ほどいるじゃないですか! そんなら、美貌とダンス力と男役度は高いんだから、レオくんも十分資格アリじゃん! と思ってしまうのですわ。


 あすレオがもう研7か……。
 時が過ぎるのは早い……。

 『ロミジュリ』も『インフィニティ』も、遠いなあ。

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