さて、『ベルばら』書ききったぞ、次は『ノクターン』だ!! ……のつもりが、チケットなくて敗退。サバキ待ちしたんだけど、ぜんぜん出なかったよう! しくしく。
 最近、心を入れ替えてマメに観劇感想書こうとしてはいるんだが……めっきり友会当たらなくなっちゃったなー。『ノクターン』もだが、雪東宝どうしたもんだか……。


 ということで、書き溜めてある(笑)雪の感想に戻る。

 『一夢庵風流記 前田慶次』は、映像がたっぷり使われている。
 この映像使いに、演出家の個性が出るもんだな、という感想。

 オープニングは、どこのゲーム?!状態。
 月と松風のシルエット、それを狙う忍者たち、舞台上の生身の役者の演技と、映像がリンクする仕組み。それがもお、すごくゲーム画面っぽい。
 というかゲーム出してください。

 慶次@えりたんを操作して、松風(ヒロイン)を守れ!!
 てなゲーム。飛んでくる敵の攻撃を刀でカキンカキンたたき落とすのな。
 ステージごとにボス戦があり、1面目のボスはもちろん主馬@翔くんだ!
 わたしのコントローラ操作でえりたんが飛んだりはねたり! やだ楽しい! ゲージを溜めて必殺技「村雨」を繰り出したり。(ちょっとチガウ)

 ゲームっぽいのはいいけど、あの巨人はなんなのか。
 オープニングの半ばで、スクリーンに巨人が登場するんだな。

 初日に観たときは「このテイストの作品なのか!」と思ったけど、んなこたぁーなかった。オープニング映像のみだ、あんな世界観。
 忍者が合体して巨人になって大暴れ! えりたん巨人と戦う!! ……本編がこのテイストだと、それタカラヅカぢゃない……。
 それとも、当初の脚本では慶次がゲームやアニメばりに巨大モンスターと戦うような演出があった? その場合、敵になるのはやっぱ忍びたちで、へたしたらまっつが巨大カエルの上で高笑いしてたかもしれん、と思うと胸熱。(いろいろチガウ)

 ともかく、本編の世界観と合っていないので、巨人登場だけはいらないと思う、オープニング映像。お金かけて作っちゃったから、あとから変更かけるなんてもったいないことできないんだろうな。それで「あれ? 巨人と戦う慶次はやりすぎ演出だったな。でも今さら削れないや、てへ」ってことになった?

 手裏剣をたたき落とすえりたんはいいけど、巨人の剣を受けて「ううう~~」となっているところを観るのは、正直「…………」で、いたたまれない感がある。だって相手、アニメーションの巨人よ……? それに合わせて「ううう~~」よ?

 しかし、巨人を撃破したえりたんのドヤ顔で、すべて許せる気がする(笑)。ビバえりたん!

 初日から何回か1階席で観て、「この映像、2階からはどう見えるんだろう?」と思った。サイトーくんの『JIN-仁-』のオープニング映像は、2階からは見えなかったんだ。だから初日に「オープニングかっこいーー!」と沸いた人々の何割かは、キムくんたちの顔は見えないまま拍手していたはず。
 んで、2階のいちばん後ろ、当日B席から確認。

 さすが大野先生! 2階17列目からでも映像が見える!!

 もちろん上の方は見切れるんだけど、切れても問題ない作りになっている。サイトーくんみたいに、「せっかくのキャラクタの顔がまったく見えない!!」なんてことにはなってない。

 タイトルも見えるし、それを斬り裂くえりたんの剣さばきごとアニメーションが見える。
 そのあとの、「前田慶次 壮一帆」までばっちり。席代2千円しか出してない人も、ちゃんとお客さん扱いしてくれてるよ!!


 オープニング以外でも、映像はあちこちで使われている。
 ここでもやはり重要なこと、2階席からでも、問題なく見える。

 主人公たちの顔がまったく見えないままはじまり終わったサイトーくんの『JIN-仁-』は問題外としても、イケコの『眠らない男・ナポレオン』だって、せっかくのスペクタルな背景映像が、2階席からは、見えなかった。
 そのため2階席は、盛大においていかれた。
 演出家も劇団のおえらいさんも1階席からしか観ないんだろうけど、生憎劇場には2階席というものがある。2階席の視点を想定しない演出はいかがなものかと、わたしは思う。

 大野せんせはカーテン代わりに映像スクリーンを使っているので、2階からでも見えるのなー。ちなみに、イケコは舞台のいちばん奥で映像を流していたので、2階の奥からはまったく見えなかった。


 京の町のにぎわいを表すアニメーションも個性的だし、梅の花のアニメーションも美しい。
 アニメーションといってもいわゆる「アニメ」ではなくて、屏風絵が動く感じ。

 物語の中の季節が、言葉による説明ではなく、映像を含めた演出で、移り変わっていくのが気持ちいい。
 雪の金沢からはじまった物語が、舞台を京に移して、あざやかに梅の花が咲く……水墨画のような色の抑えられた画なのに、その前で踊る娘役たちのきらびやかさを映して華やぐ。
 そして、舞台全面の桜の木。最初はまだ枝だけで、花はほんのわずか。
 それが次の場面では満開になっている。人の心を狂わせる夜桜のもと、慶次とまつ@あゆっちは積年の想いをあふれさせる。
 その桜が盛りを過ぎる頃、慶次とまつの恋は終焉を迎える……。

 実際に劇中で何日何年時間が流れてるのかは(台詞で明言されていること以外)わかんないけど、説明を超えたところで美しくまとめてあるなと。

 てゆーか、「散らば花のごとく」と桜を作品テーマにしているくせに、「この恋は、この桜の花のように散っていくのですね」とか言わさないところがいい。植爺なら絶対言わせてる(笑)。


 あと映像が小気味いい!と思うのは、最終章の導入部。(わたし、ドラマヲタクでもあるんです……最終回のひとつ前あたりを「いよいよ次週、最終章突入!」とその前回の予告でやたら煽るよねー)

 秀吉@はっちさんに代わり、天下人の輿に乗って現れた家康@ヒロさんが高らかに宣言する。「陣触れをいたす!!」

 そこで戦旗がぶわーっとはためくのが、掲げられるのが、小気味良い。
 舞台で映像を使う、って、こういうことだ!!

 映像、アニメーションである意味。
 「動く」ことの意味。

 ただ直接的な「生身で演じてもええやん」なものを映像にするのでなく、「背景、セットでええやん」なものを映像にするのでなく。
 映像でなきゃ、アニメでなきゃいけない、この効果はのぞめない、ということを、短くやって見せて、すぐに次の場へ移る、てのがいいね。
 せっかくのナマの舞台で、長々と映像見せられてもしらけるしね。
 ……って、だからこそちょっと、オープニングの長さは残念かな。
 巨人のくだりはカットしても……(笑)。

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