『Bow Singing Workshop』から、思いつくことをうだうだ。

 公演順に、

・宙組 バランスいい、スター・職人・若手の配分が三等分
・星組 スター力が足りない
・雪組 スター不足、職人不足
・花組 スター中心のピラミッド
・月組 未来のスター育成プログラムの一環

 というのが、各組歌バウの印象だ。

 あくまでもひとつの公演に過ぎない。組を何分割かして行った公演で、組全体を表すモノではない。
 とわかった上での思考遊戯。

 こうして5組通して歌バウを見ると、そこで感じたことは、組全体にもあてはまるのではないか。組全体の美点と問題点が、そのまま歌バウに表れているのではないか。そう思えたんだ。

 宙組のバランスの良さは、観客としてありがたかった。「客」である以上、良いモノが見たいからだ。
 良いモノってのは、「うまい歌」であればいいわけじゃない。タカラヅカである以上、美しさも必要。「スター」を見たいんだ。だから、スターもたくさんいて、歌ウマ職人もしっかりいる宙組は、バランスがいい。
 客として、与えられたクオリティに満足出来る。
 が。
 全体的に、どうにもこぢんまりとした印象。差し出された「スター」のスター感が足りないんだなと思う。
 ……ってソレ、ただの個人的感想やん……って、そもそもすべてがただの思い込みですから。
 技術的には高い位置で安定しているのに、タカラヅカ感は低い。
 せっかく歌えるスターさんばっかなんだから、タカラヅカ的なキラキラ感が加わればこわいもんなしやなのに、惜しいなと。

 宙組から感じるのは、編成期ゆえの忠実さ。
 トップコンビがいて、2番手がいて……という、「タカラヅカのピラミッド」を作り直したばかり・作っている渦中、だからこそ、キラキラとか余分なことにまで手を出せず、基本(トップスター制度)に忠実に倣っている。
 かなめくん時代に宙組は「タカラヅカのピラミッド」を失った。まぁくん時代になり、それを作り直しているところなんだ。
 だから今は地固め中。まぁくんトップ、マカゼ2番手、愛ちゃん3番手、ずんちゃん4番手、というカタチがすっかり決まったのは、ついこの間のこと。
 組み上がったばかりの車で、今おそるおそる試運転している。

 ゆえに、歌バウは冒険せずに堅実に、スター多めに投入しているわりに、「スターありき!」にならないんだろうなと。まだ、体制を作っている最中だから。


 星組の急務は番手スター育成かなと。
 星組だけが、1幕ラストの「トップスター仕様の役」を脇の職人さんにやらせている。どんだけ実力があっても、「トップスターの仕事」を脇にやらせるのはおかしい。
 みっちゃんが退団したのちの番手スターが足りない。
 ベニートップ、ことちゃん2番手。……3番手に別格スターのかいちゃんを置くとして、次代の3番手は誰? 別格スターはいずれその席を路線スターに明け渡す。その「明け渡す相手」が見えていない。
 つまり、トップと2番手しかいない、ということ。3番手以下不在の組は力不足だよー。
 次代の3番手候補がいれば、この歌バウで1幕ラストに絶唱していたはず。歌がヘタでも新公主演が間に合ってなくても。
 3番手すらいない、決められない、というのは、先行き不安だな。


 雪組は磐石だと思ってた。……盲目でした、すみません。
 本公演でトリデンテがあまりにずしーん!と存在感ありまくりに君臨しているので、次世代へ鈍感になっていた。
 まだバウ主演すらしていない子が、歌バウで1幕のトリを務めている。これって、危機感持っていい事態。
 雪組には、新公&バウ主演済みの、将来番手付きになるスターが、いない。

 ちぎくんトップ、だいもん2番手、咲ちゃん3番手、そして咲ちゃんに明確に抜き返されたことで翔くんは別格スターの4番手である、と示された。この次に、将来的に番手スターになるだろうと思われる新公&バウ主演済みのスター、れいこがいた。
 『るろ剣』体制ですな。この5人は、バランスがいい。いずれちぎくんが卒業し、だいもんの時代になったとして、咲、れいこと続けば番手スターがきれいなピラミッドになり、安泰。
 ゆえに磐石だと思っていた。
 だが。
 れいこの組替えが発表になり、咲ちゃんの下の番手スターがいないことが見えてきた。
 れいことトレードで組替えしてくるあーさが「次代の番手スター」ならいいけど、彼の月組での扱いからはどうにも不透明だ。

 他組を見回しても、歌バウのセンターは95期スターであるべきであり、想定して企画した公演ではないかと思う。
 だから本来はれいこが歌バウに出演、『New Wave!』ではなく、ひとこ主演の通常バウ予定だったのではないか。
 雪組だけ明らかに、歌バウの人選がおかしいもの。
 で、れいこ組替え後の雪組のスター不足、番手不明ぶりが、今回の歌バウにそのまま出ているのだと思った。
 御曹司のひとこはまだバウ主演してない。……おかしいじゃん、この学年、この扱いでまだって。
 じゃあ、他にスターがいるのかというと、新公主演経験者すらいない、という焼け野原状態。
 新公主演経験者の少なさは、別格スターの少なさにも通じる。真ん中経験のある、華やかな別格が生まれにくいからだ。
 えええ。ちっとも磐石じゃない。今現在はいいけど、次代やばい。どうしてこうなった。


 花組は男役スターの組なんだなあ、と改めて思った。
 弱点があろうと関係ない、華とスター性で押し通しちゃうんだなあと。
 わたしはヅカヲタなので、「スターを中心にしたピラミッド」を心地よいと思う。歌ウマ好きなので、スターには最低限歌えて欲しいのだけど、歌唱力をものともしない特技をもっているなら、それはそれでアリだと思う。
 現在、みりおくんの人気で一点集中的に形成している組ピラミッドを、歌バウにも見ることができる。


 月組は特殊なので置くとして。


 それぞれ見えてくるモノがあって面白い。
 てゆーか、こっちが勝手に「見ようとしている」わけなんだけど。

 体制がどうのと言ったところで、そんなロジックと感情は別で、足りなくてもいびつでも好きだったりするんだから、こんな考察、なんの意味もないんだけどねえ。前日欄に引き続き。
 いいの、楽しいから(笑)。

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