グッドエンドを探せ!・その2。@星逢一夜
2015年9月25日 タカラヅカ 『星逢一夜』、グッドエンドへの道を模索してみよう、PART.2(笑)。
一揆前に晴興と源太が再会する場面。
ここの選択肢を選び違えたために、バッドエンドへ突き進むことになった、とわたしは思う。
ここの晴興は、ひどい。
「私は無能な金森とは違う。お前たちをひねり潰すのはわけはない」
……って、どこの悪役?!
台詞もだけど、ちぎくんの演技もことさらに、これでもかと「ザ・悪役」。
テレビ時代劇の悪代官みたいなの。
わざとこういう演出になってるんだろうなあ、と思う。
「悪役をあえて主人公にした物語」という制作意図ゆえに。
源太が「善人」だった初日あたりはそれでもよかったのよ。源太の土下座も、「源太いいやつ!」で済んだもの。
しかし、源太が闇に堕ちてからはさー。晴興の「選び違い」が痛切に浮かび上がった。
晴興の「悪人ぶりっこ」と源太の「闇パワー」が、正面からぶつかっている。
戦いが起こっているの。
剣と剣で斬り合っている感じ。
にらみ合うふたりが、目に見えない部分で壮絶な戦いをしているのが、わかるのね。
そして、ここで間違えたのは晴興だと思う。
同じように闘っているとしても、間違えたのは源太じゃない。
源太の立ち位置は変わっていないからだ。蛍村の貧しい農民のまま。
変わったのは晴興の方。やさしい親友、から、冷酷な藩主、にクラスチェンジ済み。晴興の本質が変わっていないことが、源太にはわからない。だから、わからない源太からは、修正しようがない。
一揆は避けられない。
藩主がそれを平定するのも、避けられない。
だとしても。
最悪の事態は、回避できた。
晴興が、それをしなかったんだ。
彼が選択を、間違えたから。
ほんとうに一揆を止めたいのなら、晴興が源太に言うべきことは「脅迫」ではない。
示すのは、愛情だ。
源太は敵意剥き出しだ。それでもなお、晴興は源太相手に「愛」を語るべきだった。
今でも愛していると。なにも変わっていないと。
嘘じゃないものね。晴興は変わっていないからこそ、公には冷酷の仮面を付けている。誰にも見せない真実の顔を、昔の仲間には見せるべきだった。
生半可のことで源太の敵意を収めることは出来ないかもしれない。だが、真実の言葉は氷を溶かし、鉄を熱くする。
源太の誤解を解くまで、訴え続ければいい。
イメージ的には、ナウシカですよ。
敵意むき出して噛みつくキツネリスのテトに「こわくない、こわくない」とあやす、アレっす。
晴興がやったことは、おびえて噛みつくテトに暴力を返し、「力の差を思い知れ、従え」と脅迫したようなもん。……これじゃテトはそのまま逃げ出して、二度とナウシカのそばには寄りつかないだろう。
そこにいるのは昔通りの紀之介で、紀之介だからこそ晴興として生きることに傷ついているのだと。
すべてを明かし、情に訴えかける。
そして、一揆を起こさせないようにする。
……いや、一揆は起こるだろう、それは変わらないにしろ、「時期」をずらす。
晴興が源太たちの味方であり、彼らを守るために今は冷酷な政治家のふりをしているのだ、と源太たちが納得すれば、今この時点での一揆は避けられる。
源太たちの暮らしがよくなるわけではないから、いずれ一揆が起こるにしても、今ではない。天候がよくなれば収穫量は上がる、あと何年かは一揆が起こらずに済むかもしれない。
10年後なら、一揆のリーダーは源太ではないかもしれない。そのときの藩主も、晴興ではないかもしれない。
一揆という事件は変わらずに「ある」としても、晴興や源太たちの手を離れる可能性がある。
愛する三日月藩で一揆が起これば晴興は傷つくが、最悪の傷付き方は避けられる。
そして、今この瞬間の一揆をなくし、晴興と源太が和解することで、物語は一気にグッドエンドへなだれ込む。
『星逢一夜』ラストシーンは、一揆からたった1年後だ。
具体的な人数はわからないが、確実に何人かは死に、身体が不自由なっている。……そんな「一揆前よりも確実に悪い状態」であるにも関わらず、「星逢祭り」が出来るくらい、村の生活はマシになっている。米のにぎりめしを食えるようになっている。
つまり、飢饉は去り、世情が安定しているってこと。
一揆が起こり、働き手が減ってなお、この豊かさだ。
一揆が起こってなければ、さらにいい暮らしが出来てたんじゃないの? ってこと。
晴興が源太と和解し、「とりあえず、今」一揆を見送らせた。……ら、1年後には問題なく星逢祭りができるくらい、豊作キターー♪ のよね?
暮らし向きが苦しいとしても、藩主晴興が農民の味方である、という精神的な支えも出来たし、晴興を尊敬できる限り、源太の晴興への闇感情は抑えられる。
晴興も、源太たち昔の仲間たちの愛情を得ている限り、闇に堕ちることなく吉宗の下で「世の中をよくするぞ!」と前向きにがんばれる。
万々歳じゃね?
そりゃ晴興と泉は両思いなのに結ばれないけど、ふたりが結婚するだけがハッピーエンドじゃないし。
泉は源太と、晴興は貴姫と共に生きることで、彼らの生活に合った幸せと安定を得られるのだから。それは十分、正しい姿だと思う。
晴興がほんとうに冷酷なテレビ悪代官キャラになっているというなら、仕方ないけど。
ぜんぜん中身変わってナイ以上、彼が「間違えた」んだよなあ。
てゆーか、いくら心を閉ざしていたって、源太が敵意剥き出しだからって、源太相手に立場逆手に取って脅迫とか、「晴興」のキャラクタ的にありえない。
だからほんと、作者の「ストーリー上の都合」なんだろうなあ。晴興の別人ぶりといい。
……って、ダメだダメだ、作劇上の揚げ足取りはしない、って言ってるそばから、つい……(笑)。
今の『星逢一夜』にあるもののなかで、あるがままに、リプレイをするとして。
グッドエンドとバッドエンドを分けた、最大の分岐点は、他のどこでもなにでもなく。
この場面の晴興の選択だな。
と、思う。
晴興の冷酷さに対する、源太の闇の深さ、晴興の言葉に、態度に、反応して、源太の持つ黒い触手がぞわっと動く、マジに源太の後ろに黒い影が見える……ゆえに、痛感したのよ。
晴興、ソレ言っちゃダメ~~!! 晴興、間違ってる~~!! 志村後ろ~~!!的な。
一揆前に晴興と源太が再会する場面。
ここの選択肢を選び違えたために、バッドエンドへ突き進むことになった、とわたしは思う。
ここの晴興は、ひどい。
「私は無能な金森とは違う。お前たちをひねり潰すのはわけはない」
……って、どこの悪役?!
台詞もだけど、ちぎくんの演技もことさらに、これでもかと「ザ・悪役」。
テレビ時代劇の悪代官みたいなの。
わざとこういう演出になってるんだろうなあ、と思う。
「悪役をあえて主人公にした物語」という制作意図ゆえに。
源太が「善人」だった初日あたりはそれでもよかったのよ。源太の土下座も、「源太いいやつ!」で済んだもの。
しかし、源太が闇に堕ちてからはさー。晴興の「選び違い」が痛切に浮かび上がった。
晴興の「悪人ぶりっこ」と源太の「闇パワー」が、正面からぶつかっている。
戦いが起こっているの。
剣と剣で斬り合っている感じ。
にらみ合うふたりが、目に見えない部分で壮絶な戦いをしているのが、わかるのね。
そして、ここで間違えたのは晴興だと思う。
同じように闘っているとしても、間違えたのは源太じゃない。
源太の立ち位置は変わっていないからだ。蛍村の貧しい農民のまま。
変わったのは晴興の方。やさしい親友、から、冷酷な藩主、にクラスチェンジ済み。晴興の本質が変わっていないことが、源太にはわからない。だから、わからない源太からは、修正しようがない。
一揆は避けられない。
藩主がそれを平定するのも、避けられない。
だとしても。
最悪の事態は、回避できた。
晴興が、それをしなかったんだ。
彼が選択を、間違えたから。
ほんとうに一揆を止めたいのなら、晴興が源太に言うべきことは「脅迫」ではない。
示すのは、愛情だ。
源太は敵意剥き出しだ。それでもなお、晴興は源太相手に「愛」を語るべきだった。
今でも愛していると。なにも変わっていないと。
嘘じゃないものね。晴興は変わっていないからこそ、公には冷酷の仮面を付けている。誰にも見せない真実の顔を、昔の仲間には見せるべきだった。
生半可のことで源太の敵意を収めることは出来ないかもしれない。だが、真実の言葉は氷を溶かし、鉄を熱くする。
源太の誤解を解くまで、訴え続ければいい。
イメージ的には、ナウシカですよ。
敵意むき出して噛みつくキツネリスのテトに「こわくない、こわくない」とあやす、アレっす。
晴興がやったことは、おびえて噛みつくテトに暴力を返し、「力の差を思い知れ、従え」と脅迫したようなもん。……これじゃテトはそのまま逃げ出して、二度とナウシカのそばには寄りつかないだろう。
そこにいるのは昔通りの紀之介で、紀之介だからこそ晴興として生きることに傷ついているのだと。
すべてを明かし、情に訴えかける。
そして、一揆を起こさせないようにする。
……いや、一揆は起こるだろう、それは変わらないにしろ、「時期」をずらす。
晴興が源太たちの味方であり、彼らを守るために今は冷酷な政治家のふりをしているのだ、と源太たちが納得すれば、今この時点での一揆は避けられる。
源太たちの暮らしがよくなるわけではないから、いずれ一揆が起こるにしても、今ではない。天候がよくなれば収穫量は上がる、あと何年かは一揆が起こらずに済むかもしれない。
10年後なら、一揆のリーダーは源太ではないかもしれない。そのときの藩主も、晴興ではないかもしれない。
一揆という事件は変わらずに「ある」としても、晴興や源太たちの手を離れる可能性がある。
愛する三日月藩で一揆が起これば晴興は傷つくが、最悪の傷付き方は避けられる。
そして、今この瞬間の一揆をなくし、晴興と源太が和解することで、物語は一気にグッドエンドへなだれ込む。
『星逢一夜』ラストシーンは、一揆からたった1年後だ。
具体的な人数はわからないが、確実に何人かは死に、身体が不自由なっている。……そんな「一揆前よりも確実に悪い状態」であるにも関わらず、「星逢祭り」が出来るくらい、村の生活はマシになっている。米のにぎりめしを食えるようになっている。
つまり、飢饉は去り、世情が安定しているってこと。
一揆が起こり、働き手が減ってなお、この豊かさだ。
一揆が起こってなければ、さらにいい暮らしが出来てたんじゃないの? ってこと。
晴興が源太と和解し、「とりあえず、今」一揆を見送らせた。……ら、1年後には問題なく星逢祭りができるくらい、豊作キターー♪ のよね?
暮らし向きが苦しいとしても、藩主晴興が農民の味方である、という精神的な支えも出来たし、晴興を尊敬できる限り、源太の晴興への闇感情は抑えられる。
晴興も、源太たち昔の仲間たちの愛情を得ている限り、闇に堕ちることなく吉宗の下で「世の中をよくするぞ!」と前向きにがんばれる。
万々歳じゃね?
そりゃ晴興と泉は両思いなのに結ばれないけど、ふたりが結婚するだけがハッピーエンドじゃないし。
泉は源太と、晴興は貴姫と共に生きることで、彼らの生活に合った幸せと安定を得られるのだから。それは十分、正しい姿だと思う。
晴興がほんとうに冷酷なテレビ悪代官キャラになっているというなら、仕方ないけど。
ぜんぜん中身変わってナイ以上、彼が「間違えた」んだよなあ。
てゆーか、いくら心を閉ざしていたって、源太が敵意剥き出しだからって、源太相手に立場逆手に取って脅迫とか、「晴興」のキャラクタ的にありえない。
だからほんと、作者の「ストーリー上の都合」なんだろうなあ。晴興の別人ぶりといい。
……って、ダメだダメだ、作劇上の揚げ足取りはしない、って言ってるそばから、つい……(笑)。
今の『星逢一夜』にあるもののなかで、あるがままに、リプレイをするとして。
グッドエンドとバッドエンドを分けた、最大の分岐点は、他のどこでもなにでもなく。
この場面の晴興の選択だな。
と、思う。
晴興の冷酷さに対する、源太の闇の深さ、晴興の言葉に、態度に、反応して、源太の持つ黒い触手がぞわっと動く、マジに源太の後ろに黒い影が見える……ゆえに、痛感したのよ。
晴興、ソレ言っちゃダメ~~!! 晴興、間違ってる~~!! 志村後ろ~~!!的な。