晴興を救うモノ・その1。@星逢一夜
2015年9月26日 タカラヅカ 『星逢一夜』はバッドエンドである。
その、やるせない終わり方を愉しむ物語である。
ということは、わかるけど。
ハッピーエンド好きのわたしとしては、考えるんだ。
バッドエンド回避するには、どうすればいいか?
それについては前日欄で書いた。
……の、とは、別に。
もうひとつ。
晴興を救うということ。について、わたしなりに結論を出している。
ムラ公演に通いながら、なんとももやもやした、落ち着かない、腑に落ちない感覚を味わっていた。
『星逢一夜』はいい物語だし、大好きだ。
だが、手放しで喜べないし、愛せない。
それはやはり、誰もしあわせにならない、誰も救われない物語というのが、わたしの本能からはずれているためだろう。
本能が求める部分に合致しないから、気持ち悪い。
よく出来ているとか好きとか、そういう表の部分とは別に。
四の五の理屈をこねる前に、考えている。
どうやったら、晴興が救われるか。
『星逢一夜』自体は、そのままで。
あの、誰も救われない、悲惨な結末のままで。
蛍村の人々は死んだり不具になったりしたままで、悪意ある者が施政者となり、この先お先真っ暗で。
泉は「夫を殺した」負い目を背負ったまま生きて。
晴興は、親友を手に掛けて、藩も仲間も愛した女も誰も救えず、多くの命を犠牲にしてまで進めてきた仕事も途中で投げ出し、自分ひとり「罰を受ける」という大義名分付きの安寧な檻の中に逃げ込んで。
吉宗も貴姫も、愛した晴興に捨てられ、それでも血まみれになって闘い続けるしかなくて。
誰も救われない、物語……そのままで。
このままの地点から、晴興を救う。
世界を救うことは出来ない。
こんだけ悲惨な物語だ、全部を救うことは出来ない。救いたかったら、前に語った通り、根本から変更しなければならない。
そーゆーことじゃなく、今のままで出来るのは、誰かひとりを救うことのみ。
わたしは、晴興を救いたい。
どうやって?
それに答えが出たときに、わたしの中でいろんなことが整理できた。
ああそうか、と。
ムラ千秋楽の前日の夜、わたしは憑かれたよーに、PCに向かっていた。
公演が終わってしまう、その焦燥感のまま、書かずにはいられなかった。
わたしは「書く」ことでしか、自分の考えをまとめられない。表現できない。
なにがしたいのか、なにを思っているのか……それを、「書く」ことで昇華した。
本能に突き動かされて書いたので、書き終わるまで、理解してなかった。
自分がどうしたいのか、なにを求めているのか。
書き終わって、気がついた。わかった。
ああそうか。わたしは、晴興を救いたかったんだ、と。
『星逢一夜』ラストの晴興に必要なモノはナニか。
ひとり、遙かな地へと旅立つ晴興。
すべてを失い、囚人暮らしが待っている。
おそらく彼は、自分の犯した過ちから逃れようとはせず、生真面目に生涯背負い続けることだろう。
そんな晴興を救えるのは誰だ?
泉か? いや、泉ではダメだ。
泉が晴興を追って来たとする。そのときだけはいいだろう、恋の情熱に一時救われはするだろう。
が、泉は子どもたちを忘れられないだろう。子どもを捨て、女であることを選び、晴興に付いてきたことを、必ず悔やむ。毎日100%でなくても、日々の中時折、あるいは無意識の底で、ずっと心を残し続けるだろう。
そしてそれは、泉も晴興も、不幸にする。
子どもをすっぱり捨てられるなら、そもそも櫓の上で抱き合ったとき、ふたりで駆け落ちしているはず。そうできなかった泉であり、晴興であるから、泉が再び晴興を選び直して追って来ても、答えは見えているんだ。
貴姫か? いや、貴姫では足りない。
晴興を愛している彼女が、立場を省みず晴興を追って来たとして。
そのけなげさと愛情は晴興のなぐさめにはなるだろうけど、救うには足りない。
だって、晴興の犯した罪は、変わらないからだ。
彼はずっと、苛まれ続ける。
吉宗か?
吉宗が下知をひるがえし、晴興を江戸へ呼び戻す。役職自体は落ちるにしろ、依然改革に必要な立場に晴興を置き、これまで通りに掲げた理想に向かって共に歩き続ける。
……毒をもって毒を制す、晴興の傷はそのまま、さらに新しい痛みを与え、古傷で泣いている場合ではなくす、てか。
それはそれでアリかもしんないが……ハードだなヲイ。
続く
その、やるせない終わり方を愉しむ物語である。
ということは、わかるけど。
ハッピーエンド好きのわたしとしては、考えるんだ。
バッドエンド回避するには、どうすればいいか?
それについては前日欄で書いた。
……の、とは、別に。
もうひとつ。
晴興を救うということ。について、わたしなりに結論を出している。
ムラ公演に通いながら、なんとももやもやした、落ち着かない、腑に落ちない感覚を味わっていた。
『星逢一夜』はいい物語だし、大好きだ。
だが、手放しで喜べないし、愛せない。
それはやはり、誰もしあわせにならない、誰も救われない物語というのが、わたしの本能からはずれているためだろう。
本能が求める部分に合致しないから、気持ち悪い。
よく出来ているとか好きとか、そういう表の部分とは別に。
四の五の理屈をこねる前に、考えている。
どうやったら、晴興が救われるか。
『星逢一夜』自体は、そのままで。
あの、誰も救われない、悲惨な結末のままで。
蛍村の人々は死んだり不具になったりしたままで、悪意ある者が施政者となり、この先お先真っ暗で。
泉は「夫を殺した」負い目を背負ったまま生きて。
晴興は、親友を手に掛けて、藩も仲間も愛した女も誰も救えず、多くの命を犠牲にしてまで進めてきた仕事も途中で投げ出し、自分ひとり「罰を受ける」という大義名分付きの安寧な檻の中に逃げ込んで。
吉宗も貴姫も、愛した晴興に捨てられ、それでも血まみれになって闘い続けるしかなくて。
誰も救われない、物語……そのままで。
このままの地点から、晴興を救う。
世界を救うことは出来ない。
こんだけ悲惨な物語だ、全部を救うことは出来ない。救いたかったら、前に語った通り、根本から変更しなければならない。
そーゆーことじゃなく、今のままで出来るのは、誰かひとりを救うことのみ。
わたしは、晴興を救いたい。
どうやって?
それに答えが出たときに、わたしの中でいろんなことが整理できた。
ああそうか、と。
ムラ千秋楽の前日の夜、わたしは憑かれたよーに、PCに向かっていた。
公演が終わってしまう、その焦燥感のまま、書かずにはいられなかった。
わたしは「書く」ことでしか、自分の考えをまとめられない。表現できない。
なにがしたいのか、なにを思っているのか……それを、「書く」ことで昇華した。
本能に突き動かされて書いたので、書き終わるまで、理解してなかった。
自分がどうしたいのか、なにを求めているのか。
書き終わって、気がついた。わかった。
ああそうか。わたしは、晴興を救いたかったんだ、と。
『星逢一夜』ラストの晴興に必要なモノはナニか。
ひとり、遙かな地へと旅立つ晴興。
すべてを失い、囚人暮らしが待っている。
おそらく彼は、自分の犯した過ちから逃れようとはせず、生真面目に生涯背負い続けることだろう。
そんな晴興を救えるのは誰だ?
泉か? いや、泉ではダメだ。
泉が晴興を追って来たとする。そのときだけはいいだろう、恋の情熱に一時救われはするだろう。
が、泉は子どもたちを忘れられないだろう。子どもを捨て、女であることを選び、晴興に付いてきたことを、必ず悔やむ。毎日100%でなくても、日々の中時折、あるいは無意識の底で、ずっと心を残し続けるだろう。
そしてそれは、泉も晴興も、不幸にする。
子どもをすっぱり捨てられるなら、そもそも櫓の上で抱き合ったとき、ふたりで駆け落ちしているはず。そうできなかった泉であり、晴興であるから、泉が再び晴興を選び直して追って来ても、答えは見えているんだ。
貴姫か? いや、貴姫では足りない。
晴興を愛している彼女が、立場を省みず晴興を追って来たとして。
そのけなげさと愛情は晴興のなぐさめにはなるだろうけど、救うには足りない。
だって、晴興の犯した罪は、変わらないからだ。
彼はずっと、苛まれ続ける。
吉宗か?
吉宗が下知をひるがえし、晴興を江戸へ呼び戻す。役職自体は落ちるにしろ、依然改革に必要な立場に晴興を置き、これまで通りに掲げた理想に向かって共に歩き続ける。
……毒をもって毒を制す、晴興の傷はそのまま、さらに新しい痛みを与え、古傷で泣いている場合ではなくす、てか。
それはそれでアリかもしんないが……ハードだなヲイ。
続く