『新源氏物語』初日。

 幕が上がるなり、歓声が上がった。

 チョンパではじまる、日本物。
 ライトが点いた瞬間、舞台すべて、銀橋にまで勢揃いしたスターたちの姿に、知らず声が出る。

 ぞくぞくした。

 すごい。
 タカラヅカってすごい。
 こんなのタカラヅカだけだ。

 昔から何度も何度も繰り返してきている感動の再体験。ヅカの日本物はこうでなくちゃ。
 衣装の美しさ、舞台の美しさ、役者の美しさ。それが際立つ日本物の素晴らしさときたら!

 銀橋センターに立つ、みりおくんの美しさ。
 わーん、光源氏だ、光源氏はこうでなきゃ!!

 心地いい歌声が流れ、誰が歌ってるのか最初マジでわかんなかった。
 だってみりおくん歌ってないし、みりおくんの声じゃないし、でも花組できれいに歌える人って、ごめん、誰かいたっけ? 思いつかない……って、キキくんなの?!

 二度見したわ。
 キキくん、歌うまくなってる……!

 まとぶさんがオサ様の横で急激に歌がうまくなっていったのを、思い出す。星組からやって来たやんちゃな男の子は、花の歌ウマ帝王のもとで花開くものなのね……!

 配役発表があった当時チェックしたのみで、誰がどの役か理解してない。六条がカレーくんで、何故かあきらが頭中将だってことぐらいしか、予備知識なし。
 や、あの陽気なクラッシャー(ナポレオンイメージ強し)カレーくんが女役、しかも情念の六条御息所ってチャレンジャー極まりないな! ということと、頭中将って大きな役じゃなかったっけ? あきらでいいの?? という驚きとで。

 オープニングから「女性です」とやってるカレーくん(当然です)見て、ひょえ~~!てな気持ちになったり、まるで2番手スターみたいに、みりおくんと踊っているあきらを見てうっわ~~!となったり。
 いろんな意味で舞台をぶっ壊してくれる京さんに、盛大に?マークが飛んだり。いや、いくらなんでもあの役に京さんはナイやろ……見た目からすでにおばあさんやし、声だっておばあさんやし……なんでこんな無茶苦茶な配役??

 わたし、『新源氏物語』自体は観たことがナイのね。初演1981年、再演1989年よ、まだ生まれてないもん~~。(大嘘)
 ともあれ、再演月組をビデオで(DVDですらない)1回見たのみ。
 舞台を映像で見るのが得意でないため、ちゃんと咀嚼できたとは思えないし、そんなだから記憶にもあまり残っていない。

 いやあ、ナニがショックかって、『あさきゆめみし』と記憶がごっちゃになっていることだわ……。

 わたし、『あさきゆめみし』大っ嫌いなの(笑)。
 原作マンガが、じゃないわよ? 草野せんせ作のタカラヅカ版『あさきゆめみし』が。特に『あさきゆめみしⅡ』は最低。
 ベクトルはチガウけど、植爺の『ベルばら』と張る勢いで嫌いだわ。
 作品として、物語として許せないレベル。

 なのに、その大嫌い作品を、けっこうおぼえている衝撃。つか、嫌いだからこそ記憶に刻まれている模様。ちっくしょー。

 頭中将というとえりたんの金髪のーてんき笑顔が浮かぶし、柏木の裏切りを知った光源氏を見て怒りの歌来るーー!! と身がまえたもん……え、歌わないの、なんで? はっ、あれは『あさきゆめみしⅡ』だ、『新源氏物語』じゃない!

 オサ様の「柏木ー!」の歌はもう、めちゃくちゃこわくてだね……背筋ぞくぞく、あの歌のためだけに通うことが出来たもんな……そりゃ柏木死ぬわ……あのエネルギーぶつけられたら、てなもんでな……。

 身がまえていた分、拍子抜け。あれ、源氏の怒りってこんなもん……?

 そして、ビデオの印象だと、「私を許さなかった」の台詞で幕、だった……んだけど、それはわたしがこの台詞に思い入れているせいで、そのあとの場面をおぼえないせいなのかしら。
 再演版ビデオはけっこう淡々と眺めていたんだけど、ラストのどんでん返し……というか、源氏のこの台詞で膝を打ったからなー。
 この台詞が聞きたいゆえに今回の再々演がうれしかった……くらいなので、この台詞のあと、さらに話が続き、なんかデジャヴ、『夢の浮橋』……。さらに、『一夢庵風流記 前田慶次』のラストも思い出した……。
 ので、ラストはわたし的には盛り下がって幕。
 大野せんせの萌えなのかしら。傅く人々の間を進む主人公の図で幕、って。

 てな部分部分のいろんな過去印象由来の感想も持ちつつ。

 すっげー泣けた。

 わーん、この話泣けるー! ツボ刺激されるー!
 『新源氏物語』ってこんな作品だったんだ。ビデオではわかってなかったよ。
 素敵な作品に出会えてうれしい。

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