主演者と演目がイレギュラーであるということ。@2016年公演ラインアップ発表
2015年10月1日 タカラヅカ 全国ツアーを考える。
大昔はともかく、「全国ツアー」という名前になってからの本拠地以外の各地方を巡業する公演は、「トップスター主演」が基本だったはずだ。
それまで「地方公演」という名称だった巡業公演が「全国ツアー」と改められたのは、いいことだと思う。や、「地方」呼びは失礼だよな~~。変更されたのは90年代かな。宙組発足あたりが分岐点という記憶。
本拠地含む決まった劇場での公演は、スタンスとして「宝塚歌劇団がなんたるかを知る人」を客として想定しているのだと思う。わざわざ定位置に、客の方から足を運ばせるのだから。ゆえに、「タカラヅカ」であることは前提で、そのうえで「誰が主演」「どんな演目」にこだわる。
だが全国ツアーの各会場はチガウ。客ではなく、劇団の方から足を運ぶ。客は「誰が主演」「どんな演目」以前に、「タカラヅカである」ところまでしか着眼しない。
劇団への興味 < 手軽さ
地元で観られるから観る、そうでなかったら一生観ない。そういう層を想定しているのだと思う。
もちろん、日本中にヅカファンはいるだろうし、全ツだからといってタカラヅカに知識も興味もナイ人ばかりだと思ってるわけじゃないし、地元に来たから観た→大ファンになった、という人もいるだろうけど。
全ツは「未体験の人にタカラヅカを知ってもらうため」「普段タカラヅカを観ない人に観てもらうため」にやっているのであって、「全国各地のヅカファンに、家の近くでヅカを観られるという、兵庫県民や東京都民の生活を疑似体験してもらうため」にやっているのではない思っているの、わたしは。
で、ヅカと接点のなかった人たちに「ほーら、地元にタカラヅカがやってきますよ」と提示する「タカラヅカ」というのは、どのスターとかどの演目ということよりなにより、「タカラヅカ」であることが重要なんだと思う。
誰でもイイ、なんでもイイ。
それなら、誰がどんな演目で行ってもいいじゃん。
ということではなく、誰でもなんでもイイからこそ、誰でもなんでもよくはない、んだ。
地方の人たちにとって、全ツで出会う「タカラヅカ」は、「宝塚歌劇団そのもの」なんだもの。
「宝塚歌劇団」の看板を背負って全国各地を回る。ヅカに興味ナイ人たちに「タカラヅカ」を宣伝する。
そんな重責を任せられるのは、トップスターのみだ。
宝塚歌劇団に、常時5人しかいない存在。
隆盛や停滞逆風いろんなことがあるにしろ、常時5人、選ばれた稀有な存在。
宝塚歌劇団の名を背負って興行できる、劇団から給料をもらっているすべての関係者の名誉と生活を保障できる能力を持ち、その責任を果たせる、たった5人の人間。
彼らが興行するからこその、「全国ツアー」。
だと、わたしは思うんだよな~~。
そして劇団も、わたしとそれほど違った考え方はしてないと思うんだな~~。
そうでなければ、この20年間に行われた全ツ、ある程度のスターなら誰でも行っていい、ってことになってたと思うもの。そうじゃなく、ずっとトップスター限定だったのは、「誰でもイイ」わけじゃなかったからでしょ?
全国ツアーは、トップスターが行くモノ。
この認識は、間違っていないと思う。
近年、トップ以外のスターが全ツ主演している。だが彼らは通常、「次期トップ確約済」だ。
特別な存在である「トップスター」、そのプレお披露目……「次代の最重要人物」が率いる公演、というのは、これまた意義の上でプレミアが付く。「誰でもイイ」とは真逆の人選だ。
……ということで。
2015年10月1日の劇団発表は、平成以降の劇団史に残るイレギュラーなものである。
現在の月組トップスターは龍真咲。
そして、月組の2番手(=次代のトップスター)は未確定。
直前の本公演で2番手は明示されていなかったため、珠城りょうは2番手以外のポジションにいた。劇団が2番手としたいと考えていたのは明白だが、考えが見えるだけで、立場を確定されていなかった。
何番手かもわからない、観る人によって番手認識がチガウ、ようなスターが、全国ツアー主演する。
これは、過去に例がない。
今まで全ツ主演したスターは、その後トップになったかどうかはともかくとして、明らかに2番手スターだったからだ。
過去に例がなくても、過去がすべてではないのだから、なんでも起こりうる、のはわかる。
前代未聞の自体だが、これだけならまだ、「単体」の出来事だ。
それに加えて、演目の謎。
トップスター以外が主演する場合の演目は、「スターが誰でもかまわない」くらいに名前のしれた、「タカラヅカといえばコレ!」という、演目先行の興行だった。
さらに、長編芝居一本モノで、ショーとの二本立てではなかった。
芝居の主演はトップ以外でも出来るが、ショーの主演は基本トップ以外は出来ない。特に、最後に大羽根を背負うのはトップの仕事。次期トップとして回る全国ツアーだって、「トップの大羽根」は背負えない。大羽根なしでパレードする芝居のみの上演。
なのに、「ふつーの芝居」と「ふつーのショー」で巡業って……。
つまり、大羽根、背負うんだ……。トップスター以外で。
主演者に加え、演目まで「前代未聞」。
というとほんと、なにかしらイレギュラーな事態が起こっている、と考えてしまうよな。
それはともかくとして、たまきちで『激情』ってイイな!
ホセはすげーたまきちっぽい。ずんこよりれおんより、イメージだけでいうなら、合ってる。
ふつーにバウなりDCなりでやってくれたら、手放しで喜べたものを、何故こんな炎上人事を選ぶのかな、月組。
大昔はともかく、「全国ツアー」という名前になってからの本拠地以外の各地方を巡業する公演は、「トップスター主演」が基本だったはずだ。
それまで「地方公演」という名称だった巡業公演が「全国ツアー」と改められたのは、いいことだと思う。や、「地方」呼びは失礼だよな~~。変更されたのは90年代かな。宙組発足あたりが分岐点という記憶。
本拠地含む決まった劇場での公演は、スタンスとして「宝塚歌劇団がなんたるかを知る人」を客として想定しているのだと思う。わざわざ定位置に、客の方から足を運ばせるのだから。ゆえに、「タカラヅカ」であることは前提で、そのうえで「誰が主演」「どんな演目」にこだわる。
だが全国ツアーの各会場はチガウ。客ではなく、劇団の方から足を運ぶ。客は「誰が主演」「どんな演目」以前に、「タカラヅカである」ところまでしか着眼しない。
劇団への興味 < 手軽さ
地元で観られるから観る、そうでなかったら一生観ない。そういう層を想定しているのだと思う。
もちろん、日本中にヅカファンはいるだろうし、全ツだからといってタカラヅカに知識も興味もナイ人ばかりだと思ってるわけじゃないし、地元に来たから観た→大ファンになった、という人もいるだろうけど。
全ツは「未体験の人にタカラヅカを知ってもらうため」「普段タカラヅカを観ない人に観てもらうため」にやっているのであって、「全国各地のヅカファンに、家の近くでヅカを観られるという、兵庫県民や東京都民の生活を疑似体験してもらうため」にやっているのではない思っているの、わたしは。
で、ヅカと接点のなかった人たちに「ほーら、地元にタカラヅカがやってきますよ」と提示する「タカラヅカ」というのは、どのスターとかどの演目ということよりなにより、「タカラヅカ」であることが重要なんだと思う。
誰でもイイ、なんでもイイ。
それなら、誰がどんな演目で行ってもいいじゃん。
ということではなく、誰でもなんでもイイからこそ、誰でもなんでもよくはない、んだ。
地方の人たちにとって、全ツで出会う「タカラヅカ」は、「宝塚歌劇団そのもの」なんだもの。
「宝塚歌劇団」の看板を背負って全国各地を回る。ヅカに興味ナイ人たちに「タカラヅカ」を宣伝する。
そんな重責を任せられるのは、トップスターのみだ。
宝塚歌劇団に、常時5人しかいない存在。
隆盛や停滞逆風いろんなことがあるにしろ、常時5人、選ばれた稀有な存在。
宝塚歌劇団の名を背負って興行できる、劇団から給料をもらっているすべての関係者の名誉と生活を保障できる能力を持ち、その責任を果たせる、たった5人の人間。
彼らが興行するからこその、「全国ツアー」。
だと、わたしは思うんだよな~~。
そして劇団も、わたしとそれほど違った考え方はしてないと思うんだな~~。
そうでなければ、この20年間に行われた全ツ、ある程度のスターなら誰でも行っていい、ってことになってたと思うもの。そうじゃなく、ずっとトップスター限定だったのは、「誰でもイイ」わけじゃなかったからでしょ?
全国ツアーは、トップスターが行くモノ。
この認識は、間違っていないと思う。
近年、トップ以外のスターが全ツ主演している。だが彼らは通常、「次期トップ確約済」だ。
特別な存在である「トップスター」、そのプレお披露目……「次代の最重要人物」が率いる公演、というのは、これまた意義の上でプレミアが付く。「誰でもイイ」とは真逆の人選だ。
……ということで。
2015年10月1日の劇団発表は、平成以降の劇団史に残るイレギュラーなものである。
2016年 公演ラインアップ【全国ツアー】<3月~4月・月組『激情』『Apasionado!!III』>
2015/10/01
10月1日(木)、2016年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、全国ツアーの上演作品が決定いたしましたのでお知らせいたします。
月組
■主演・・・珠城 りょう、愛希 れいか
◆全国ツアー:2016年3月19日(土)~4月17日(日)
ミュージカル・プレイ
『激情』—ホセとカルメン—
脚本/柴田 侑宏 演出・振付/謝 珠栄
メリメ原作「カルメン」をモチーフに、ドン・ホセが宿命の女カルメンに翻弄され、彼女への愛ゆえに堕ちて行く様を情熱的に描き出したミュージカル作品です。1999年の姿月あさと、花總まりを中心とした宙組による初演時には、第54回文化庁芸術祭演劇部門優秀賞を受賞。2010年の柚希礼音、夢咲ねねを中心とした星組による全国ツアーでの再演も好評を博した秀作に、月組選抜メンバーが挑みます。
ファナティック・ショー
『Apasionado(アパショナード)!!III』
作・演出/藤井 大介
“Apasionado”は、スペイン語で「熱い」「情熱の男」という意味。「熱」をテーマに、熱いリズム、熱い血潮、燃え上がる恋、嫉妬の炎、命を賭けた情熱など、様々な「熱」の形を具現化した、情熱的でエネルギーに満ちたダンシング・レビューです。2008年に瀬奈じゅんを中心とした月組で、2009年に大空祐飛を中心とした宙組で上演された大人の雰囲気溢れるショー作品を、ブラッシュ・アップしてお届け致します。
現在の月組トップスターは龍真咲。
そして、月組の2番手(=次代のトップスター)は未確定。
直前の本公演で2番手は明示されていなかったため、珠城りょうは2番手以外のポジションにいた。劇団が2番手としたいと考えていたのは明白だが、考えが見えるだけで、立場を確定されていなかった。
何番手かもわからない、観る人によって番手認識がチガウ、ようなスターが、全国ツアー主演する。
これは、過去に例がない。
今まで全ツ主演したスターは、その後トップになったかどうかはともかくとして、明らかに2番手スターだったからだ。
過去に例がなくても、過去がすべてではないのだから、なんでも起こりうる、のはわかる。
前代未聞の自体だが、これだけならまだ、「単体」の出来事だ。
それに加えて、演目の謎。
トップスター以外が主演する場合の演目は、「スターが誰でもかまわない」くらいに名前のしれた、「タカラヅカといえばコレ!」という、演目先行の興行だった。
さらに、長編芝居一本モノで、ショーとの二本立てではなかった。
芝居の主演はトップ以外でも出来るが、ショーの主演は基本トップ以外は出来ない。特に、最後に大羽根を背負うのはトップの仕事。次期トップとして回る全国ツアーだって、「トップの大羽根」は背負えない。大羽根なしでパレードする芝居のみの上演。
なのに、「ふつーの芝居」と「ふつーのショー」で巡業って……。
つまり、大羽根、背負うんだ……。トップスター以外で。
主演者に加え、演目まで「前代未聞」。
というとほんと、なにかしらイレギュラーな事態が起こっている、と考えてしまうよな。
それはともかくとして、たまきちで『激情』ってイイな!
ホセはすげーたまきちっぽい。ずんこよりれおんより、イメージだけでいうなら、合ってる。
ふつーにバウなりDCなりでやってくれたら、手放しで喜べたものを、何故こんな炎上人事を選ぶのかな、月組。