『銀二貫』のヒロイン、真帆@くらっちは、何故にあんなことになっていたのだろう?
 タカラヅカにおける典型的子ども演技? わざとらしくて嘘くさい発声+芝居。
 若い女性だけで老若男女を演じる都合上、差異を出すために子役はことさら幼く演技する必要があるとはいえ……気持ち悪いほど、きんきんと幼さを強調していて、辟易した。
 わたし、ヅカの子役苦手なんよ……特に、うるさい子役がいちばん苦手。脳の発達に問題があるのかと思うような、年齢よりはるかに幼い言動をされるとなー……。

 火事の前と後で性格に差を出したかったんだろうけど、火事より前の真帆の演技が気持ち悪い……。
 ドラマでは芦田愛菜ちゃん(当時9歳)が演じていたくらいの、ガチの子ども役だ。愛菜ちゃんがニカニカ笑うのは子ども特有のかわいらしさがあるけれど、成人女性に同じことをされてもつらいわ……。
 女優ならば9歳に見える演技を完璧にするべきなのかもしれないし、北島マヤなら出来るのかもしれないけれど、現実問題、9歳の女の子に「見える」演技の出来る女優ってどれくらいいるんだろ?
 そこは「子ども」の真似をするのではなく、「子どもなんだと感じさせる、大人の女優の演技」をするべきなのでは?

 くらっちはお芝居うまいと思っていたので、かなり残念っす。
 彼女の今までのお芝居から想像して、ここまで気持ち悪い子役を作ってくるとは思えず。……『アル・カポネ』でだって子役やってたけど、別に気持ち悪くなかったもんな。
 真帆のニヤニヤ笑い芝居は、梅吉@あすくんの芝居と通じるモノがあるので、演出家の指示かな、と思う。

 大人になってからはまだいいんだけど、やっぱりニヤニヤ笑いはするからなあ。子どものときと同じ笑い方。くらっちの顔であの笑い方をされるとあまりきれいに見えない……。
 やけどの痕はあっても美しい娘、であってほしいので、表情もきれいでいてほしい。

 わたしはかなとくん主役にも大喜びしていたけど、それだけでなくくらっちヒロインも諸手を挙げて喜んでいた口なのよ。
 むー。なんでこんなに残念な出来なのかしら。
 くらっち贔屓のわたしとしては、すべて谷のせいとしたくなるわ。谷せんせがあの気持ち悪い子ども演技を押し付けたんだ、てな。

 娘役はヒロイン以外、内面を深く掘り下げるような役がない、のがヅカの現状。演じている人たちはそれぞれ掘り下げてなにかしらやってるんだろうけど、実際に舞台の上でそれを出す機会がない。
 気になる娘役さんにヒロインをやって欲しいのは、奥まで表現する様を観たいからだ。

 くらっちは『伯爵令嬢』でわたし好みの芝居をしてくれた。
 日生劇場初日、わたしはそれまでノーマークだった娘役さんに心を奪われた。
 脚本にあるものだけではない、その奥にあるモノを見せてくれた。あの物語でいちばん興味深いのは、アンナ@くらっちだった。彼女の持つ「悪意」と「闇」に胸を突かれた。
 あれだけの芝居が出来る人に、役を、活躍の場を……と願ったところで、ただの下級生娘役のひとりに大した役は回ってこない。
 別箱ヒロインでようやく、本領を見せてもらえるとわくわくしていたのに……。

 いや、真帆の芝居が腑に落ちなかったのはわたしだけで、世の中の人々はヨシとしているのかもしれない。お芝居ってほんと、好みが大きく関わるから。
 わたしにはどうも、向いてない芝居だった。芝居のうまい人に見えなかった。

 なんかとっても、残念だ。
 『伯爵令嬢』がたまたまわたし好みに見えただけで、『銀二貫』が実力なのかもしれない?
 そうは思いたくないから、彼女の評価はまた別の公演に持ち越す。
 またなにか、別の演出家の別の作品で、くらっちがわたしの心を奪う役をしてくれることを望む。

 好きな役者は多い方がいいもの。
 次に期待。

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