え、えーと、だから、2015年を振り返るシリーズ、その3。

 2015年に観た公演で、好きだったもの・キライだったもの。

 大好き!! なのはなんつっても、雪組『星逢一夜』、作・演出/上田 久美子。

 タカラヅカで、大劇場公演で、オリジナルで、これほどの作品を上演可能なのだ、という実績を残したことに大きな意味がある、と思う。

 植爺の『ベルばら』レベルのモノしか上演されない劇団だったら、絶望しかないじゃないですか……!
 正反対のモノもこうして、ちゃんとイチから作り上げられるんだ、という感動。

 作品自体もだし、出演者も素晴らしかった。
 そりゃさ、わたしは文句言い体質なので、手放しで持ち上げてないし、好みじゃないとこいろいろあるけど、それを含んでなお、良い作品だと思うし、好きだと思う。

 贔屓組での公演、てのも大きい。
 どんだけ良い作品でも、贔屓組でなかったら耽溺するほどの回数通えないしな。
 ウエクミの『翼ある人びと』(2014年)を良い作品だと思ったけれど、通うことは出来なかった。そこに費やすだけの「時間」と「心」を確保できなかったためだ。
 「好き」と思うベクトルと、「最優先するモノ」のベクトルが重ならない限り、その公演を味わい尽くすことが出来ない。わたしの場合。
 「好き」は「好き」だから、評価は出来る……たしか2014年末に書いたまとめ記事で「2014年ナンバーワンは『翼ある人びと』」って書いていると思う。1回しか観られなかったのにね。『一夢庵風流記 前田慶次』なんか何十回観てるのにね(笑)。

 『星逢一夜』は幸運だった。
 ご贔屓がいなくて時間と心に余裕があり、贔屓組での公演で、ご贔屓なきあといちばん好きなだいもんが主要役をやっている……こんだけ幸運が重なって、わたしは好きな作品を好きなだけ楽しむことができた……うおお、なんて幸運。


 次に好きな作品は、月組『1789-バスティーユの恋人たち-』潤色・演出/小池 修一郎。

 音楽の勝利。各ナンバー聴くだけのために通えるわー。
 贔屓組でなくてもそれなりに通った。大劇場公演は期間が長いからスケジュール調節しやすい。
 やっぱ主要メンバーが歌えるのは大きい。まさおってほんと歌ウマだよなーー!

 スペクタクルな演出とドラマティックな音楽に、単純にわくわくした。

 『星逢一夜』がヅカオリジナルで日本人ならではの心の機微に涙する掌編小説のような作品で、『1789』は輸入物ならではのガツンガツンどわーっ、というテーマパークのアトラクション系。
 このまったくチガウ作品を味わえることが、タカラヅカの醍醐味。
 タカラヅカってほんとすごいね!(笑)

 好きだと思う2作品が、新作だというのも、うれしい。

 「名作」の再演もいいけどさ、1年間にこんだけ公演やってて「いい」と名前が挙がるのが再演ばかりだったら、そりゃもう未来暗いよね、やばいよね。
 ちゃんと「新作」で感動できている。
 そのことがうれしい。

 タカラヅカには、明るい未来がある。


 ……反対に、いちばんキライなのが宙組『相続人の肖像』作・演出/田渕 大輔 、で、それに甲乙付けがたい大駄作、星組『黒豹の如く』作/柴田 侑宏、演出・振付/謝珠栄 ……と、こちらも「新作」「オリジナル」で、こんなモノを堂々と書き下ろして商業作品としているなんて、ヅカの未来は暗いな!!ってなもんだけど(笑)。

 『相続人の肖像』も『黒豹の如く』も、ストーリーとキャラクタが破綻、物語として成り立っていないことが、わたしにとっての看過できないマイナスポイント。
 物語作れない人は、無理に作らなくていいよ……。
 物語が「ない」から、キャラクタを整合性なくむちゃくちゃに動かして、無理矢理「出来事」を捏造する。何故そのキャラがそう言うのか、何故そう行動するのか、理由は「そうしないと話が転がらない」からで、作者の都合でしかない。ゆえにアタマのおかしい言動を、辻褄の合わないまま場面ごとに垂れ流し続けるはめになる。
 それで「物語」を名乗らないで欲しいわ……レベル低すぎ。

 でもまあ、これくらいの駄作は植爺の平均駄作度程度だし、今年の植爺『ベルばら』がまだマシな出来だったってだけで、植爺はこれよりひどい駄作だって平気で垂れ流してきたし、それでもタカラヅカは潰れずに100年続いてるんだし、文句言いつつわたしも四半世紀観ているんだし、駄作ぐらいでヅカもわたしも光を失ったりしない(笑)。


 あー、芝居の駄作もだけど、ひそかにやばいと思うのは、ショーの傑作がナイことかもなー。

 ショーでいちばんよかったのは、花組『宝塚幻想曲』作・演出/稲葉 太地 かな。
 てゆーか他がひどかった、ような……。ゲフンゲフン。

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