新人公演『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』感想続き。

 あ、ちなみに新公演出は田渕先生でした。
 次の『ローマの休日』が田渕せんせだから、演出家が続くと双方やりやすいのかな。


 1本モノの新公は、短縮版なので番手が変わる場合がある。
 いや、公式に「2番手役は本来なら〇〇役ですが、新人公演では**役です」とアナウンスがあるわけじゃない。
 あくまでも、2番手役は2番手役。
 でも。
 『ロミジュリ』が2番手マーキューシオの出番を大幅カット、3番手のベンヴォーリオは見せ場そのままでより大きな役に見えたように、カットによって比重が変わることがある。

 『るろ剣』の役の番手は、剣心、加納、斎藤、観柳、蒼紫、左之助の順だと思うけど、新公ではこの順番には見えなかった。

 剣心、加納は変わらないけど……その下。

 3番手って、がおりの役だよね?

 前の欄で語ったけれど、この公演は通常の「タカラヅカ」じゃない。
 原作再現度最優先、それが足りない人はどんなに他が出来ていても割り引かれる。
 だから全員不利なんだ。

 主役の剣心@ひとこは本公演でも剣心の影だし、もともと出来上がったスターさんだから問題なく剣心として真ん中に立てる。
 加納@すわっちは、オリキャラだから大丈夫。

 だが、他の人たちはまず外見でマイナス地点からのスタート。唯一左之助@まちくんはビジュアルもOKだけど、そもそも出番少ないし、「原作の人気キャラの顔見せ」以外に仕事がない。

 そんな風に番手付き役のみなさんがぬかるみに脚を取られてもがいているなか、ひとりぽーんと華麗にステップを踏んで跳躍しているキャラクタがいる。

 セバスチャン@星加梨杏くん。

 もともと美形ゆえに、モブにいても人の口に上がる子だ。その美貌武器の星加くんがだ、踊って歌うおフランス人をやってます。

 オリキャラです。
 つまり、外見を原作に似せるという作業をしなくていい。ぬかるみに入ることなく、その上の橋を堂々と渡っていけるの。

 がおりさんはヒゲダルマの比留間弟との二役だけど、星加くんはセバスチャンのみ。
 がおりは不細工厳ついキャラとカマっぽいフランス人ダンス教師との二役のギャップを楽しむ、のがファンサービス的な配役だった。がおりの立場とキャラ的に最適な使われ方。
 でも星加くんの場合、不細工は別の人に任せて、単独でおフランス。

 すなわち、本気で、美形勝負してイイ。

 がおりさんは本人のキャラもあってお笑い風味が強かったけれど、星加くんはふつーに美形で、観客的にもノーマークの美形が突然ソロで歌い出して「ナニゴト?!」だった。

 ポスターキャラをマークして、セバスチャンなんて取り立ててマークしないじゃん、ふつう……。

 いろいろカットされて、原作キャラ補正なしでイケコオリジナル『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』を観ると、オイシイのはセバスチャンなんだ。
 イケコが原作キャラ使い切れてなくて、話を動かす部分を全部、オリキャラの加納とセバスチャンに任せちゃってた結果なんだけどね。
 新公だと、それがより明らかになった。

 そして星加くんが、よくやってた。

 100期研2なんだね。でも、大劇場センターでソロ歌って芝居して、くるくる踊ってたよ。
 すげえ。

 変な格好もさせられてない、「タカラヅカの男役」としてふつうにきれいな姿。髪型、衣装。
 今まで培ったモノだけで勝負出来る。

 おかげでもお、セバスチャンが後半一気に持って行った感じ。

 めぐり合わせってあるよなあ。
 星加くん、いい役にいいタイミングで出会えたね。
 そして、よくぞモノにしたね。

 『るろ剣』新公観た人は、きっと星加くんをおぼえて帰ったと思う。

 星加くんは本公では観柳の部下とかやってますよ、最初に出て来るお付きみたいな美形ふたりのうちの片割れですよ、と新公の帰り道で友人に語ってみたりな(笑)。

 縣くんみたいな大型新人もいて、星加くんみたいな子までいるんだ。
 次代の雪組安泰だな。

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