『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』キャスト感想。

 ちぎくんは妖精だな!!

 と、またしても思う(笑)。

 剣心という役の、ハマりっぷりは素晴らしい。……ということだけではなくて。
 マンガだろうとオリジナルの『星逢一夜』だろうと、ちぎくんが演じることで虚構でありながらそこに影が出来る感じ。それを、リアル妖精だと思う。
 影……光を遮るものがあるから、出来るモノ。
 虚構だから実体はない。幕が下りれば消え、公演が終了すれば跡形もなく消えてしまうモノ。
 なのにそこに、影が出来る。
 なにかしら確実に、光を遮るものがある。

 ちぎくんは、そういう舞台人なのだと思う。

 ただ小器用に造形を真似ているのではなくて。
 かといって、リアルに生々しく存在しているのではなくて。

 実体を持たないのに、影が出来る。
 これが妖精の仕業でなくて、なんだというの。

 不思議な魅力と能力を持つ人だ。

 剣心というマンガのキャラクタを、絵柄だけではなく空気感まで写し取って演じながらも、きちんと「タカラヅカ」であり、かつ「早霧せいな」である、ということに、心から感動した。
 すごいよな。

 『るろ剣』のタカラヅカ舞台化は、ほんとうにちぎくんあってのものだし、今の雪組はちぎくんあってのものだと思う。
 面白いよね。今の雪組も、そしてちぎくんも。
 面白いから人が集まり、求められるんだ。ちぎくんを真ん中にすることで、今までにないタカラヅカと雪組が出来上がっている。


 薫@みゆちゃんは、ハマり役。

 ぶっちゃけ原作の薫って、ヤな女だよね?(笑) 「女の子」というイキモノの、嫌な部分、醜い部分をこれでもかと持っている。
 またそれを、正当化したり被害者ぶったりして押し付けてくるところがちょームカつく。ほんとうざいわこの女。お荷物とご都合主義の権化め。……てのが、原作の薫観。や、わたしの、個人的な。

 ヅカの薫もちゃんと薫っぽくて、ひとりよがりで、ナチュラルにマウントにパワハラ、女の武器使用とパーフェクトにひどい言動を取り、その上しっかり拉致られてお荷物、と抜かりない(笑)。
 気にくわないことがあると「嫌なら出ていけ」とか、人として「ソレ言っちゃおしまいよ」てなことを感情のままにわめき散らす。
 腹が立つと見境なく相手を傷つける、というのは致命的な欠陥だと思うんだが。しかも、相手が絶対に逆らえないことを楯にとって、極刑を言い渡すって、「乙女心は繊細なの」では言い訳にならないわ。二言目には「口答えする者は全員退学だ!」とか「全員クビだ!」と言う悪役校長とか経営者と同じじゃん。

 薫がほんとひどくて、「ああ、すごく薫っぽいわー」と感心した。

 で、みゆちゃんのナニがすごいかって、薫はちゃんと原作っぽい嫌な言動を取っているのに、それでもみゆちゃんが演じていると、「かわいい」ってこと。

 ソレ言っちゃいますか、とドン引きする台詞も、「あー、つい言っちゃったんだねえ、仕方ないねえ」と思わせてくれる。

 たぶん、原作の薫もこうなんだろうな。
 いろいろ無神経だし、ただのお荷物でしかないんだけど、それも全部まるっと許せちゃう存在なんだろう。
 剣心にとってのやすらぎ、光であるんだろう……と、原作はがんばって想像して読んでたなあ。構成上位置づけはわかるけど、どうにも苛つくキャラだ、と思いながら(笑)。

 その、共感出来ないけど、こう受けるべきなんだろうと努力して想像していた部分を、実際に体現して見せてくれたのよ、みゆちゃん。

 薫って、こうなのか! と。

 ひどいけど、かわいいわー。
 そして、ひどいことを言っていることについて、薫自身もちゃんと筋が通っているというか、その言動になる道筋が見える感じ。
 薫に感情移入できるから、彼女のおかしな言動がいじらしいものになるの。

 いやあ、この薫殿かわいいわー。好きだわー。

 しかしみゆちゃん、声が相当やばい。ヒステリックに怒鳴りまくる役だからなあ……(薫のそーゆーとこが嫌)、タカラヅカの娘役にはあまりない役割りだよね……。そりゃ喉の負担大きいわ。
 銀橋ソロの歌い上げ部分が、メロディ変更して乗り切るようになってしまった。あの高音好きだったから残念。

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