『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』の構成の悪さは、どうにかならんもんか。

 1幕はストーリーほとんどナシ。やっていることは、原作キャラの登場人物紹介。1幕後半ですべてのキャラが顔合わせして、さあ、物語がはじまるぞ……と、やったかと思うと。
 2幕全部使って、数時間の話。
 ぽかーん。
 プチ・ガルニエに来ました、どたばたして、その日のうちに終了しました。
 えーと、夕食に招かれて(6時くらい?)、薫@みゆちゃんが「そろそろ帰る」と言うくらいだからまだ深夜にもなってないあたりで話の真ん中へん(8時くらい?)、そっからさらに経ったとして数時間? 加納@だいもんの最期がキリよく真夜中(12時?)として、せいぜい6時間くらいのこと?
 ラストは無理矢理朝になってそうだから、がんばって一晩? 加納の最期は明け方?

 作中で時間経過があればいい作品だと言うつもりはまったくないが、1幕ののんべんだらり展開と違いすぎて。
 いろいろストーリーが進んだ上で、いろんな計画が立てられた上での敵の本拠地での大決戦!なら、ひとつの場面だけで2幕まるまる使うのもアリかもしんないけど。
 それまでなーんにもなくて、プチ・ガルニエへ行って、そこからすべてはじめて、たまたま偶然で、なりゆきで、ラストまで、って。
 杜撰過ぎるわー。

 悪役を観柳@翔くんと加納とふたりにしたために、話の軸がズレてしまっているのがいちばんの問題。
 拝金主義の観柳と差別化するために、加納には「維新を起こす」という、別の理由付けが必要になった。
 だが、加納の言う「維新」がなんなのかは、語られない。
 元新選組隊士だが、新選組時代にあったのはただの権力欲、思想も理想もナニもないゲス男。明治になって実業家として成功し、金と権力を得た……それ以上のビジョンがあるように見えない。現政府を批判するが、ナニをしたいのか、どうしたいのかは言及ナシ。
 それだけでも十分「はあ? ナニ言ってんのこの人?」なのに。
 その「維新」を起こす方法まで、意味不明。
 「蜘蛛の巣」という強力な阿片を使うといっても。
 どう使うの?
 清のアヘン戦争は例にならないよね? 別次元過ぎる。
 単に「幕末」「アヘン戦争」「清の敗北」→「アヘンこわい」というイメージしか扱っていない気がする。
 強力な麻薬を手に入れただけで国盗りが出来るなら、世のお金持ちやヤクザ組織は誰でも国家転覆出来る、ということになる。
 加納にあるのは「蜘蛛の巣」という二十包のアヘンとお金のみで、他には組織も仲間もナニひとつない。国家転覆を狙うなら最低限の組織は必要なのでは?
 セバスチャン@がおりや、館の使用人は、組織ではないでしょう……比留間組以下の手下にすぎない……。

 まだすべてがこれから、剣心@ちぎくんを口説いたように、今から仲間を集めて悪の組織を結成するのかな。気の長い話だなー。
 だとしても、左之助@大ちゃんたちが自由に歩き回れるくらい、警備ゆるゆるの秘密基地はどうなの。左之助たちは一般人だからノーマークだったとしても、斎藤@咲ちゃんは警官だし元新選組だし、加納なら警戒すべき相手だと思うのに、それもスルーだし。

 たとえすべてがこれからなのだとしても、本当に維新を計画しているなら、もっと緊張感を持っているはず。
 それすらないため、加納の語る野望はますます薄っぺらく、意味不明になっている。


 悪役の加納の方も、まだなんの準備もしていない、ゆるゆる状態。
 それに対する、正義の主人公、剣心たちもまた、なんの気合いも準備もない。
 剣心たちがプチ・ガルニエに来たのは「偶然」。そこで恵@せしこが観柳や加納を見つけ、「蜘蛛の巣」試作品は加納の手にあると推察。やばい薬だから取り返そうと館の中を探る。という、行き当たりばったりの「なりゆき」任せの行動。
 そこで「偶然」加納が政府高官たちを「蜘蛛の巣」漬けにしようとしていることを知り、加納の手下たちと闘うことになった。
 ……って、ナニもかも「偶然」と「なりゆき」。
 偶然、なりゆき、たまたま、で、野望潰える加納さん可哀想(笑)。

 悪事の「計画」をしようかなと考えている、だけでまだ取り立ててナニもしていない「自称革命家」を、なんも知らないし考えてなかったけど、たまたま偶然なりゆきで見つけたからやっつける、正義のヒーロー戦隊。
 ……って、かっこいいか? 盛り上がるか?
 せっかく2時間尺があるのに、1時間は人物紹介、残り1時間で「陰謀未満」の計画予定を「たまたま偶然なりゆき」で潰すって、そりゃあっという間だよね、ナニも起こらないし出来ないよね。

 ほんっと、イケコってストーリー作るのヘタだなあ。

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