ちょっと待って。
 月組全ツ初日に、こんなニュースが発表になっていた。梅田でちらりと確認したのみで、ちゃんと理解してなかったんだけど。
 友人のつぶやき見てよーやくナニが起こっているか理解した。かなり特殊なことになっている??
花組公演『ME AND MY GIRL』新人公演主な配役と役替わりについて
2016/03/19
花組公演 UCCミュージカル『ME AND MY GIRL』(宝塚大劇場・東京宝塚劇場)新人公演の主な配役と役替わりが決定いたしましたので、お知らせいたします。

宝塚大劇場/5月17日(火)18:00開演
ウィリアム・スナイブスン(ビル)@優波慧/綺城 ひか理
サリー・スミス@城妃美伶/音くり寿
ジョン・トレメイン卿@亜蓮冬馬/飛龍つかさ
ディーン・マリア公爵夫人@春妃うらら/乙羽映見
ジェラルド・ボリングボーク@聖乃あすか
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー)@帆純まひろ
セドリック・パーチェスター@矢吹世奈

東京宝塚劇場/7月7日(木)18:30開演
ウィリアム・スナイブスン(ビル)@綺城ひか理/優波慧
サリー・スミス@音くり寿/城妃美伶
ジョン・トレメイン卿@飛龍つかさ/亜蓮冬馬
ディーン・マリア公爵夫人@乙羽映見/春妃うらら
ジェラルド・ボリングボーク@帆純まひろ
ジャクリーン・カーストン(ジャッキー)@聖乃あすか
セドリック・パーチェスター@矢吹世奈

※ジャッキーとジェラルドは、宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演で交替します。

 このサイト、表をそのままUP出来ないので、配役表は手打ちした。連名の場合、/の前が1幕、あとが2幕キャスト。

 ニュースのタイトルからして特殊よね。
 「新人公演」で「役替わり」って。
 過去の『ME AND MY GIRL』新公も、お知らせタイトルは「役替わり」表記だった?

 そもそも新人公演『ME AND MY GIRL』ってのは、1幕2幕で別キャストがあたりまえだった。どんだけ役ないねん!てなもんだけど。ほんとに役がないから仕方ない。主要役以外はモブで、新公やっても下級生のスキル上げにならない……どっちにしろモブしかないんだもの。

 2008年の『ME AND MY GIRL』では、ジョン卿とマリアとパーチェスターとジェラルドとヘザーセットがダブルキャストだった。
 つか、主役のビルと、サリーとジャッキー以外は全員ダブルキャストだった。ビル@みりお(本公演ではジャッキー役)が劇団イチオシなのは言うまでもないが、この役替わりだらけのなかで不自然に唯一シングルキャストだったジャッキー@蘭ちゃんの劇団推しっぷりは、その後の蘭ちゃんのジェンヌ人生の強さが垣間見える配役ですな(笑)。
 この場合のダブルキャストは、1幕2幕でキャストが替わる、ということのみ。
 1幕と2幕では、同じ役でも出番や見せ場がまったく違い、おいしさが段違い。だけどそれについてのフォローはなし。

 それがあたりまえなのだと思っていた。
 今回もどうせダブルキャストだろう。1幕2幕で別の人だろう。
 しかし。

 1幕2幕でキャストが替わり、さらにムラと東宝でキャストが替わる??

 えええ?
 ナニその複雑さ!

 しかも、主演すらダブルキャスト?!

 研3で抜擢されたきりやんとかタニちゃんとかがダブルなのはまあ仕方ないか、と思うけど。
 研7と研6でダブルってことは、どちらも単独では主演させられない認識?
 主演をダブルにしちゃったら、ヒロイン以下をシングルには出来ないから、玉突き役替わり発動?
 それにしても、ジャッキーとジェラルドは1幕2幕の役替わりではなくて、ムラと東宝? 聖乃くんのジャッキーはムラでは観られない? 帆純くんは反対に、ムラ新公では2作連続女役?? 男役スターでそれってアリ??

 こんだけ複雑なことをしなければならない演目って……。
 ほんとにもう、『ME AND MY GIRL』は本公演でやらなくていいよ……。

 えーとえーと、とにかく、乙羽ちゃんのマリアが楽しみっす。
 なんか毎日劇団発表について書くことあるな!
2016年 公演ラインアップ【宝塚バウホール】<10月・月組『FALSTAFF』>
2016/03/22
3月22日(火)、2016年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【宝塚バウホール】公演の上演作品が決定いたしましたのでお知らせいたします。   
月組
■主演・・・(専科)星条 海斗
その他の主な出演者・・・(月組)暁 千星、美園 さくら

◆宝塚バウホール:2016年10月10日(月)~10月21日(金)
一般前売:2016年8月27日(土)
座席料金:全席5,300円

Bow musical
『FALSTAFF』~ロミオとジュリエットの物語に飛び込んだフォルスタッフ~

作・演出/谷 正純

シェイクスピアの「ヘンリー四世」「ウィンザーの陽気な女房たち」の中に登場するイングランドの騎士サー・ジョン・フォルスタッフは、シェイクスピアが生み出した数ある人物の中でも一二を争う強烈な個性の持ち主。大酒飲みで好色、威勢はいいが実は臆病者といった欠点だらけでありながらもウイットに富み、時に警句を吐く、その人間味あふれるキャラクターは多くの人々から愛されています。そんなフォルスタッフがひょんなことで「ロミオとジュリエット」の物語に飛び込んだことにより、ロミオとジュリエットの哀しくも美しい恋物語が思わぬ方向に…。フォルスタッフ役に星条海斗、ロミオ役に暁千星、ジュリエット役に美園さくらを配してお届けするロマンチック・コメディ。

 あきらバウに引き続き、マギーバウ、キターー!

 別格スターのバウ公演はいいですな! 若手には出来ないモノを見せてもらえるから。

 てのはいいけど。

 なんなの、このその他の主な出演者・・・(月組)暁 千星、美園 さくらって……。

 月組ってほんと、売り方ヘタやな……。
 マギー主演だけでいいのに。んで、フタを開けてみたら暁くんすげーおいしかった、にすればいいのに。
 こんな、「暁くんに主演させたかったけど、実力その他足りなさすぎて単独主演させられない、だから名目だけ専科スター主演にして、実質は暁くんのための公演なんだよ」と、銘打たなくていいのに……。

 『1789』初日前日にマギーの専科異動が発表になったり、通常じゃない人事が毎度平気で行われる感じが、すごくこわいっす。

 たまきちとか、暁くんとか、劇団が「トップスターにする」と決めた人以外のファンをやるには、月組はこわすぎて、わたしみたいなチキンには敷居が高すぎる。
 宝塚歌劇団は営利企業なのだから、商売としてやっているわけで、ビジネスライクなのは当然なんだけども、組ごとに売り方が違い、月組はほんっとにビジネスに徹している感じが、お花畑なわたしには戦慄することが多いっす。
 ここまでやるんだから、たまきちさんも暁くんも、実力も人気も兼ね備えたスーパースターに育ってくれることを祈ります。

 や、劇団に恐怖するだけで、ジェンヌさんに含みはないっす。
 暁くんはいろいろ発見のある子なので、アタマを抱えることもあれば、わくわくすることもある。未知数なのはいいことだ。
 ただ、『インフィニティ』が主演・未涼亜希で、その他の主な出演者・彩風咲奈、夢華あみ、と発表されてたらわたし、すっげー凹んでたろうなと。
 もうないかもしれない、と思っていた別格スターの上級生バウ主演が、そういうカタチだったら。
 ……それでも、劇団推し下級生の存在がなければ、そもそもバウ主演はなかっただろうから、とあきらめて、喜んだとは、思う……。

 んでもって、劇団推しスターの悲劇、谷正純キターー!

 劇団は、推したい若手には重鎮演出家をあてがうのだ。
 それが、推しにならないどころか、ファンから敬遠される事態になろうと関係ない。「重鎮が出馬する」ことが権威だから。
 谷先生が筆を取る、なんてありがたいことだ!てな。
 そうやって、劇団推しの若手スターたちが、とんでもない駄作に足を取られ、スタートダッシュでつまずいてきた。

 大変だなあ、暁くん。
 劇団推しってことは、老作家様の書き下ろし駄作の洗礼を受けるってことだ。
 つってもまあ、谷せんせは当たりはずれがあって、とんでもない駄作もあれば、そこそこいける当たり作品もある。
 『FALSTAFF』が佳作かもしんないしな。
 青天モノじゃない分、ビジュアルは期待出来るよな。

 なにはともあれ、マギー主演はうれしい。劇団の思惑がどうあれ、主演は主演だっ。
 楽しみだわ。
 なんかいろいろ発表された!

 『宝塚巴里祭2016』ベニー主演と、『イゾラベッラ サロンコンサート』しーらん出演。
 みっちゃんバウと歌バウの出演者も。
 星組忙しいな。

 歌バウの意義を問い詰めたい名前も入っていたけれど(笑)、それはさておき、もうひとつの発表。
雪組 東京宝塚劇場公演千秋楽 浪漫活劇 『るろうに剣心』 ライブ中継について
~原作 和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ・コミックス刊)~

2016/03/23
以下の通り、雪組東京宝塚劇場公演千秋楽の模様をライブ中継致します。   
日時
2016年5月8日(日)15:30上映開始
※千秋楽挨拶、退団者挨拶の中継はございません。あらかじめ、ご了承ください。   
料金
4,600円(税込/全席指定)
  
会場
※3月31日に発表を予定しております。
  
チケット発売日・発売方法
◆先行抽選販売「プレオーダー」
2016年4月1日(金)11:00~2016年4月11日(月)12:00
e+(イープラス):http://eplus.jp/snowkenshin-lv/(PC、モバイル共通)

◆一般発売
2016年4月24日(日)11:00~2016年5月6日(金)12:00
e+(イープラス):http://eplus.jp/snowkenshin-lv/(PC、モバイル共通)
または、全国のファミリーマート店内のFamiポートにて

 えええ。

 『るろ剣』って、トップ退団公演だっけ??

 今まで、ライブ中継ってのは「〇〇〇ラストディ」と銘打った、トップスターの退団東宝千秋楽のみだった。
 あとは『タカスペ』とかの、イベント。

 通常公演の千秋楽を中継するって……どんだけチケ難設定?

 話題沸騰、されどチケット完売、観たい人たちの手に行き渡らない。
 ゆえにライブ中継敢行ってこと?

 だとしたら英断だなー。
 思い切ったなー。
 や、昔と違ってライブ中継が世の中に浸透して、ヅカだけでなく頻繁にあるものだから、てことなんだろうけど。
 それにしてもすごいな。

 どの程度の規模でやるんだろう。そして、どれくらいの人たちが動くんだろう?
 『るろ剣』ゆえにタカラヅカに興味持ってくれた人たちが、見てくれるといいなあ。
 わくわく。

 わたしも観に行くぞー。
 雪組をスクリーンで見られるなんてうれしい。


 あれ。
 でも挨拶ないのか……。きんぐ……。

 仕方ないか。
 一般人はそんなの関係ないもんな。ヅカヲタ以外に向けてやるんだもんな。
 ひさしぶりの『激情』。最後に観たのはちえねね。生のみ、映像では一切見てない。
 てことで、記憶は遠い。
 もともとポンコツだけど、最近とみに記憶力が衰えてなあ……よぼよぼ。

 初演も再演も観ているし、ストーリーもキャラクタも知っているけれど、なんというかもとても「新しい」気分で客席にいた。
 ストーリーを知っていても、それを観てどう感じるのかまでは、おぼえていない状態、というか。ここはこうあらねばならない、などの思い込みが薄れている。

 そんなわたしは今回の『激情』を観て。

 痛烈に、メリメいらね、と思った。

 カチャさんの問題でなく、脚本。
 なんでそこまで解説する必要があるんだ、そこは芝居自体で表現することだろ、てなことまで、メリメさんが登場するなり立て板に水かっつー勢いでえんえん喋ることに閉口した。
 ひどいなー。まだ録音でなく、生の芝居だからマシか。柴田&正塚作品はなにかっちゃー録音テープ使う、つーイメージ(笑)。録音聞くなら映画でいいじゃん、演劇は生台詞聴かせろ志向のわたしは、アンチ録音テープ。

 せっかく物語に集中しているのに、メリメが出て来て水を差されるのが嫌だった。彼がなにか有益な情報をもたらすならともかく、「そんなの観てたらわかるし」「知ってるし」「それどうでもいい」てんこ盛り。
 『ルパン』のルブラン@みっちゃん的なうざさ。場違い感。

 メリメさんすっきりきれいで、目にはやさしいけど、でも「それだけ」だと、「物語」を楽しみたいわたしには不要としか思えなかった。


 あとから、「以前の『激情』もそうだっけ?」と思い出してみても、納得にはほど遠かった。
 たしか、初演のたかこメリメには、「ナレーション」としての仕事を感じていた。ホセ@ずんことは距離があるというか、主人公するホセと語るメリメには、ビジネスライクな関係以上のモノは感じなかったし、こちらとしてもそれ以上も以下も求めなかった。
 再演のすずみんメリメには、狂言回しとしての妙を感じていた。あざやかに線を引き、割って入る。別次元から語っている……なのにどんどんホセ@れおんの世界に入り込んでくる……ホセに入れ込むあまり近づき過ぎてる、ストップストップ、落ち着いて? と言いたくなる、愉快な人。
 どちらのときも、「メリメいらね」とは思ってない。
 なんで今回に限り、こんなにうざかったんだろう?
 わたしは記憶力に乏しく、初演・再演と今回台詞や演出がどう違っているか、あるいは同じなのか、さっぱりわかってないのよ。
 観た感じ、特に変更らしい変更も気づかなかったけど……。なにか変わってた? メリメの台詞や出番が増えて、元の芝居にないものを付け加えたわけだから、そこが「うざい」と思わせることになっているとか?

 ホセ@たまきちの存在が、メリメを求めていないのかな。
 彼の物語が、解説役を必要としていない。ゆえに、解説にしゃしゃり出てくるメリメの不要感が大きくなった?

 理屈はわからないが、今回はメリメの良さがわからなかった。
 れおんとすずみん、たまきちとカチャ、なら、立ち位置が似通っているので、役割り的にも据わりがいいはずなのにな。
 カチャは品のある青年なので、彼が演じる「紳士」は問題なくハマる。今回もきれいに出ていたと思う。
 のになんで、あんなにしっくりこなかったんだろう。
 芝居は好み部分が大きいので、単純にわたしの好みではなかった、というだけかもしれない。

 メリメではなく、ホセの友人ということにして、最初から最後までずっと「友人」の立場でホセに対峙してくれていたら、また違ったのかもなあ……と思い、それってどこのクリストフ@『舞音-MANON-』。

 うん、そうなのよね。

 『激情』を観た直後に、某所へわたしがつぶやいたこと。

『激情』はおもしろい話なんだけど、『舞音』の直後に観るもんじゃないな…(´・ω・`)(

 コレに尽きる。
 ウエクミ新作キターー!
2016年 公演ラインアップ【宝塚大劇場、東京宝塚劇場】<2016年11月~2017年2月・花組『雪華抄』『金色の砂漠』>
2016/03/25
3月25日(金)、2016年宝塚歌劇公演ラインアップにつきまして、【宝塚大劇場】【東京宝塚劇場】の上演作品が決定いたしましたのでお知らせいたします。   
花組
■主演・・・(花組)明日海 りお、花乃 まりあ

◆宝塚大劇場:2016年11月11日(金)~12月13日(火)
一般前売:2016年10月8日(土)
◆東京宝塚劇場:2017年1月~2月(予定)
一般前売:未定

宝塚舞踊詩
『雪華抄(せっかしょう)』

作・演出/原田 諒
<特別出演>・・・(専科)松本 悠里

花鳥風月──日本ならではの風雅な趣をテーマに、華麗に格調高く繰り広げる舞踊絵巻。華やかな初春の風情に始まり、夏のきらめく波濤、秋の月、そして雪の華が舞う白銀の世界から桜花爛漫の春の讃歌へと、絢爛豪華な場面が次々に展開されます。現代的なエッセンスを加え、宝塚風にアレンジした日本古来の伝説なども織り交ぜながら、四季の美しさと艶やかさを華やかに謳い上げた日本物レビューの意欲作です。

トラジェディ・アラベスク
『金色(こんじき)の砂漠』

作・演出/上田 久美子

昔々、いつかの時代のどこかの国。砂漠の真ん中にあるその王国の王女は、“ギィ”という名の奴隷を持っていた──。

自分がどこから来たのかも知らず、王女タルハーミネの奴隷として育てられた少年、ギィ。常に王女に付き従って世話をする彼は、長じるにつれ、美しく傲慢な王女に心惹かれるようになる。ギィを憎からず思うタルハーミネではあったが、王女の立場と何より彼女自身の矜りが、奴隷を愛することを許さない。タルハーミネはわざと高圧的な態度でギィを虐げる。奴隷でありながら矜り高いギィは、そんな王女を恋の前に屈服させたいと激しい思いを募らせる。
王女を強引に自分のものにしたギィは拷問の憂き目に遭うが、その死の淵で、自らのある忌まわしい過去を知る。灼熱の憎しみと嵐のような報復の果てに、因縁の男と女が見たものとは──。
架空の古代世界を舞台に描き出される、愛と憎しみの壮絶なアラベスク。

 みりお様が奴隷!!

 「虐げる」「強引」「拷問」「因縁」……ナニその萌えワード尽くし。
 ウエクミがなんか、真正面からハーレクインしてる?(笑)

 いやあ、みりお様の特性を突いた、よい設定ですな。美貌の奴隷青年と高慢な王女かー。みりかのでそんな萌え物語を見られるとは、楽しみ過ぎる。
 みりおくんには盛大に拗らせてほしいです。

 原田くんが日本物ショー担当というのは、意外な登板。
 原田せんせに出来るのか、よりも、「これで原田を消化出来る!」という喜びの方が強い。
 本公演の原田登板はロシアンルーレット、おそらく大多数のヅカファンが恐れる事態。花組に登板するなら他組は原田から逃れられたということで万々歳だし、花組にとっての最悪は原田で芝居に当たるということ(ストーリー破綻・組子はモブ、のちに著作権問題で販売BD楽曲カット複数というおまけ付き)だと思うから、最悪だけは逃れられた。日本物ならBDでの楽曲カットもないだろうし。
 『ME AND MY GIRL』のあとだから、ふつーの洋物ショーが観たかったけどね……それでも、最悪じゃない。
 原田くんなら、冒険なしのガチガチのテンプレ「どこかで観た」ようなごくごくふつーの、美しい日本物ショーを作ってくれると思う!

 いやー、しかしなんつってもウエクミでみりおくんで奴隷ですよー。
 わくわくわくわく。
 たまきちは主演に見えた。

 月組全国ツアー公演『激情』『Apasionado!!III』において。

 「トップスター」に見えたのではなく、この芝居、この公演の主演に見えた。

 この芝居にも公演自体にも、彼を脅かすほどの技術や華を持った人はいなかった。いや、技術でなら彼以上の人もいるかもしれない。だが、それは真ん中でスポットライトを浴びている人を凌駕するほどの圧倒的な差ではなかった。
 ならば、芝居の主役で、ショーでいちばん豪華な衣装を着ている人が「主演」に見える。
 至極当然のこと。

 そして、この公演の主演として、たまきちはなんの問題もない。
 問題ないから、たまきちでいいんだと思う。

 トップスターの仕事である全国ツアー主演を務めるたまきちは、まさにトップの器、今現在彼がトップスターでないことが不思議なほどだった……と思うわけでは、ごめん、まったくない。

 や、彼がそんなに華々しい人なら、今まで大劇場公演でもっと説得力のある成果を上げていると思う。
 本公演ではトップさんや上級生スターさんに遠慮して本来の力を出せないんです、てなわけでもないだろう。いつも全力でやって、あの舞台だったわけでしょ?
 全ツ主演したからって、突然化けるわけナイ。

 もっとお祭りムードのある公演なら、華々しく見えたのかもしれない。
 でも今回は、そんな空気じゃなかった。
 ゆえに、その空気に引きずられて、そう見えた、というのも、あるかもしれない。

 全ツ主演のたまきちは、いつものたまきちだった。

 だからといって、出来が悪いということもなく。
 これがバウでもDCでも、たまきちはこうして一定クオリティの舞台を作ってきただろうし、それが今回全ツというだけで、ただの「別箱主演」というだけなら、なんの問題もない。

 問題があるとしたら、次の本公演が終了した翌日から、たまきちが月組トップなのだということ、だけだな。
 別箱主演を破綻なく務める、だけなら、他に出来る人は何人もいるだろうに、それでもあえてたまきちである、という理由が、特に見つからない。

 この全ツで、見つけられたらいいな、と思ったんだけど。
 特にないな~~。

 だがしかし。

 こんな状況で、それでも破綻なく全ツ主演を務められるメンタル含めた頑強さは、頼もしい才能だと思う。

 なんというかね、舞台と客席に漂う緊張感がすごいのよ。
 全ツなんて祭り公演というか、作品だって再演とか本公演からの使い回しが多いし、けっこうゆるい雰囲気あるじゃん? 多少アレでも全ツだから許される、という前提ありきの。無茶な下級生抜擢とかも、全ツならいいじゃん、クオリティなんか気にすんな、「タカラヅカ」とトップスターの看板さえあれば地方の客なんかどうにでもなる的な。
 その全ツならではのゆるさがなくて、みんな緊張してるのよ。

 全国ツアーといっても、梅田スタートだ。観客は圧倒的にタカラヅカファンが占めている。
 つまり、「別格上級生を超えることが出来ずに何年も番手誤魔化しをした挙句、これという決め手もないまま2番手にぽっと出たかと思うとなんの準備も前ふりもないまま突然半年後にトップスターになると決まった」という舞台外のストーリーを知っている人たちがほとんどだということ。
 そんな観客たちを、納得させる舞台を見せなくてはならない。
 こーれーはー、……重圧だろう。
 原作至上主義ファンで埋まった客席で初のミュージカル化舞台を披露する的な緊張? 最初からラインを決められていて、それ以上で当然、1mmでも届かなかったらフルボッコ前提、みたいな?
 悪意のある観客ばかりだとは思わないが、天海祐希以来の逸材と煽られれば、「どんなもんだろう?」と興味を持つのが普通。

 そんな、類を見ない空気の中で、幕は開き、舞台は進んだ。
 とくに破綻もなく、かといって空気を塗り替えるほどの熱狂も称賛もなく。
 粛々と舞台は進み、幕が下りた。
 
 幕が下りてなお、たまきちにゆるみは感じなかった。
 ほっとはしているようだけれど、まだ手放しではない。第一関門クリアとか、そんな感じ。彼の戦いはまだはじまったばかりだ的な?

 修行僧のようだ。
 それも、ただのお坊さんじゃなくて、もっと肉体派の僧兵。僧兵が、技と精神を磨くためにあえて苦行に打ち込んでいる感じ。
 この全ツって苦行とか試練なのかな?
 「全ツ初主演おめでとー!」な感じがまったくしない。はしゃいではダメ、頭を垂れて厳粛に打ち込まなければ不謹慎、てな感じ?
 バウとかドラマシティとか、「初主演公演です!」とか「初のドラマシティ主演です!」とか、おめでとームードで盛り上がるのが初日なのにな。

 このムードが、今のたまきちの現状なんだろう。

 そのなかで、たまきちは破綻なく舞台を務め上げた。
 その肝の据わり方はいい。
 彼に足りないモノは経験値だけなのだから、それはこれから身に付ければいい。

 『激情』のホセ@たまきちは、最初にイメージした通り、とても似合っていた。
 朴訥さに嘘がなく、言動と展開に違和感がナイ。
 このホセならばそうだろうし、こうなるだろう、と思わせる。

 問題は、似合いすぎていて、ファンタジー感に欠けるところ、かな。
 タカラヅカは現実とは異なるからいいのであって、現実にありそうなモノだけを差し出されると首をかしげる。
 ホセは男臭い男でいいのだけど、もう少しキラキラした部分も欲しいなあ。野郎系だけど現実離れしたイケメンであるとか。
 画面が青年誌まんまではなく、もうちょい女性向きに寄ってくれたらいいなと思う。

 ショー『Apasionado!!III』は、とにかく「がんばってた」ことしか印象に残っていない。
 どこが良かったとか悪かった以前に、とにかくがんばってた。むちゃくちゃがんばってた。ナニこの試練、苦悶に耐えるアスリートみたいな人。走り続けた先に栄光のゴールがあるのだ、金メダル目指して努力し続けろ、自分の敵は自分自身だ自分に打ち勝て! 標語の書かれた額縁と必勝ハチマキが見えるようだ。
 タカラヅカって、エンタメって、そういうもんではないと思うんだけど、今はもうこれでいいや。つか、こんだけ血管浮かせてがんばってる人に、なにも言えない。
 ショーの真ん中務めるのは大変なことで、順当に育った路線スターさんだって手こずるもんなんだから、ショートカットで4番手からトップスターに躍り出た人がふつーの人の4倍大変なのは想像出来る。

 ふつうに主演に見えた。
 トップスター、という華々しさは感じなかったとしても。
 今はまだトップじゃないからいいし。
 わたしは、たまきちトップも楽しみだ。これからも、月組を観に行くよ。


 ……男臭い作品がいい、と思ってたけど、それだけだとやばいから、ロマン系がいいかな。たまきちが土臭くなりすぎない役がいい。
 『ドン・ジュアン』ポスターが発表された。
 公式HPにUPされた、そのポスターがなんかもー……やばい。

 いやー……攻めるなあ、だいもんさん。

 『アル・カポネ』に続き、無難という言葉とは真逆の、攻め攻め姿勢ですな。
 大胆な開襟だいもんさんにまとわりつく女性が3人。女性の顔は映っておらず、中央のだいもんだけがどーんと存在感。
 タイトルが人名『ドン・ジュアン』ゆえに、ポスター画像で「主人公はこんな人、この人の物語だよ」と表さなければならない。
 ダークにエロ全開な男と、複数の女。女の顔が映っていないことで、独立した恋人ではなくとりまきだとわかる。
 エロくてインモラルな愛欲の世界を導き出すポスターだ。
 わーい、だいもん得意分野。わーい、大好物(笑)。

 生田せんせ作品は、まずポスターにはずれがなくていいよな。
 凝りすぎてあまりうまく作用していなかったデビュー作『BUND/NEON 上海』からはじまり、これまた凝りすぎてちょい効果の薄れた『ランスロット』に続き、開花したのが『春の雪』、主演のみりお様の魅力爆発、本編の内容よりなによりポスターが最大の出来だった『the WILD Meets the WILD』、かわいらしさに身もだえした『伯爵令嬢』。
 大劇場本公演は別箱ほど無茶出来ないのか抑え気味だけど、やっぱこだわりがゆんゆんしてる、『ラスト・タイクーン』『Shakespeare』。

 そしてこの、『ドン・ジュアン』。
 ほんっとヲタク作家っていいよな! 凝るもんな! 厨二万歳。

 しかし、コレが部屋に貼られるのかー。って、部屋に貼ること前提で見てしまう(笑)。や、今も『アル・カポネ』ポスターがどーんと部屋に貼ってありますから。家族に見られるのが恥ずかしいポスターやな、って、ヅカポスター貼ること自体が恥ずかしいやろ、というツッコミは不可。

 2年連続だいもん主演作品を観られるしあわせを噛みしめていますわ。ありがたいねえ。

 ところでコレ合成じゃなくて、実際に娘役はべらして撮影したのよね? 撮影風景動画が見たいです。心から見たいです。つか見せろ~~!!(笑)
 月組全ツ『激情』を、楽しく観た。
 楽しかったけど……『舞音-MANON-』とかぶりすぎる。

 特にちゃぴ。
 男を破滅させる魔性の女、ファム・ファタール。

 天真爛漫な少女マノンと、野生の女豹カルメンはまったく別キャラだけど、やっていることが同じなのでどうしても比べてしまうし、混同してしまう。

 このカルメンだけ、観たかったなあ……。
 マノンはナシで。

 てゆーか、『舞音-MANON-』上演が決まったときには、『激情』は企画されてなかったんだと思う。
 いくら劇団が、『Ernest in Love』と『ME AND MY GIRL』を続けて上演するような雑なところであったとしても、『舞音-MANON-』と『激情』をわざわざ続けて企画しないと思う。
 魔性の女はタカラヅカのヒロインでは異端だからだ。ふつーのトップ娘役が経験せずに卒業するような汚れ役を、立て続けにひとりのトップ娘役がやる意味わかんないもの。
 イレギュラーだったんだろうな。ナニかしら予定が狂い、『激情』上演が決まった。

 おかげで、かぶるかぶる。

 魔性の女に翻弄され、身を持ち崩す軍人@まさお・たまきち。
 魔性の女@ちゃぴ。
 主人公の軍人の婚約者。清楚で貞淑な美女@わかば。
 主人公の誠実な友人@カチャ。

 主人公がまさおからたまきちに変わっただけで、他の3人の立ち位置が同じって。
 馬鹿げてるわー。こんな企画、する方がおかしい。

 やる方もやりにくかったことだろう。

 わたしはマノン@ちゃぴが理解し切れてなかったので、カルメン@ちゃぴがとても易しかった。
 マノンには革命とか思想とか、余計なモノがこびりついていて、「景子タン、やりたいこと整理してから書いてください」としか思えなくてな……。マノンは咀嚼しづらかったのよ。

 その点カルメンはいいな! とてもシンプルなキャラクタだ。
 だからあとは、カルメンの野生が性に合うかどうかだ。

 ちゃぴの野生の血は、違和感なく受け入れられた。
 この子はたしかに裸足で大地を駆け、本能のままに喰らい、まぐわっていそうだ。
 ねねちゃんのカルメンがダメだったことを思い出した。野生を持たない現代の女子高生が、精一杯強がっている図に見えた。裸足なんてとんでもない、毎日2回以上シャワーを浴びてきれいな服を着て清潔な建物の中でしか遊ばないわ、土とか虫とか無理、触れるわけないじゃないキモチ悪い、お肉って切り分けられてスーパーの棚に並んでいるものでしょう?てな、野生とは対極にいる女子女子した子。
 ちゃぴのカルメンは、下品さ低俗さも含めて、「野生」ゆえ、と思えた。
 ビッチではなく、獣。

 なるほど、ちゃぴにはコレ系合うのか。
 色気や美貌があるかどうかはともかく。近づけば食い殺されそうな獣感がある。カルメンを土臭い野生の女とするのはアリか。

 意外にカルメンが合っていたから、マノンが邪魔だったなあと。
 役者のキャリアを否定するわけではなく、わたしの問題。マノンなしでカルメンを観ていたら、もっとカルメンに集中出来たのに。
 半端だったマノンがちらつくのが不快。

 ……色気がないのは課題かなあ……(笑)。
 カルメンで濃厚なラヴシーンがあってなお、色気に欠けるって、かえってすごい気もするけど。

 ホセ@たまきちがガタイ良しなので、ちゃぴがすっぽり覆われてしまう感じがイイ。
 リアル男女感。


 エスカミリオ@暁くんは、フェルゼン@『1789』に続いてちゃぴに惚れる男の役。
 ちゃぴに貫禄がある分、暁くんは不利。
 しかも今回の役は、ふつーにやってもバカっぽくなる典型的当て馬だからなあ。
 気弱な学生の役ならいいけど、高慢な花形スター役は彼の持ち味になく、柄違いの役を演じられる技術もまた彼にはない。
 ので、……大変だなと。

 最近咲ちゃんがイイ感じに育ってきているので、暁くんも咲ちゃんの学年になる頃にはきっといい感じの青年になるんだと思う。
 咲ちゃんも劇団主導の抜擢につぐ抜擢の不自然な育てられ方をしたスターさん。下級生時代はまるまるぷくぷくの外見と、クラッシャーなお芝居で浮きまくっていたのですよ……。その咲ちゃんが、今あんだけかっこよくなってるからねえ。暁くんも咲ちゃんタイプで、劇団の抜擢が徒になって、かっこよくなる前に露出が上がり過ぎて損してるけど、この抜擢てんこ盛りはいつかきっと花開くはず。
 咲ちゃんは研9、暁くんは研4……咲ちゃんの学年になる頃きっと……あと5年か……この露出の大きさで、重要な役割をやりまくりつつあと5年……長いな……。

 あー、エスカミリオが連れているピカドールのふたり、かなでくんとかおとくん、このふたりのへなちょこさ(笑)も、エスカミリオの男ぶりを下げている、とは思う。
 そうよねえ、若手美形ふたりはこういうところで使うものよね。それはわかるけど、経験値の低い子たちを暁くんに付けると、彼らの場面が事故気味になるなと……(笑)。


 ところでダンカイレ@まゆぽんって!!
 組長がやる役ですがな!!

 エマさんの役をやる、新公学年か……。相変わらずまゆぽん最強。

 そして、かっこいい……!

 ダンカイレってこんな役だった? 色男になってますがな! カルメンなんでこの男に手を出さないの? ガルシア@カチャより確実に強そうですが?(笑)

 まゆぽんのこういう役、ほんと好きだなあ。
 わたし、『Apasionado!!』は内輪受けショーだから、全ツに不向きだと思うの。

 月組全ツ『Apasionado!!III』観劇。
 「III」と付いているからといって、『Apasionado!!』は『Apasionado!!』、本質が変わるわけでもナイ。

 初演時から、わたしの『Apasionado!!』への評価は低かった。
 だって、いちばんのウリが「男役の女装」って作品どうなの?
 どの場面や振付、センスが秀逸、というのではなく、「女装」がウリ。
 いちばんの盛り上がりがオカマパレードと、トップと女装2番手のダンス。
 イロモノでしかない。

 そもそも初演は「トップ娘役不在」という、イレギュラー状態を誤魔化すために作られた。
 トップ娘役はいない、2番手娘役はいるけれどトップにする気はないからカンチガイさせちゃいけない、という大人の事情ありき。
 ゆえに正統派の男女場面は作れず、女性が理想の男を妄想してあふんあふん言う場面だの、オカマ大作戦になった。
 苦し紛れの力技。通常ならどうよソレなネタ満載。でもそれがウケてしまったから、『Apasionado!!』は人気作、となる。
 特殊体制下ならではの「目新しさ」がウケたのであって、作品自体がいいわけじゃないよ……。
 だけど「人気作」になってしまったので、再演される。
 が、特殊体制下でないとそのまま上演は出来ない。
 安直に、オカマ祭りのクライマックス、トップとオカマ2番手のダンスを、衣装センスそのままトップとトップ娘役に変更。
 男役同士だから迫力があったわけで、ふつーに娘役と踊ったら「ふつーの場面」にしかならない。いちばんの目玉場面が「ふつー」になり、「オカマ祭り」がウリである以上、オカマ度が下がった分、全体が沈んだ。
 また、この「オカマ祭り」というコンセプト自体、「ヅカオタ向き」であり、一般客を想定していない。
 演出家もファンも、ヅカに浸かりきって忘れてる。タカラジェンヌは、全員女の子だ。
 女の子が女性の格好をして歌い踊っても、ふつーだ。
 ヅカファンは、男役と娘役の区別が付くから、「男役の女装だ」とわかる。が、一般客からすれば、髪型や衣装が替われば誰が誰だかわからない、男役と娘役の区別なんか曖昧。ソレが専門職だということすら、知られていない可能性も高い。
 本拠地宝塚大劇場でファン向けにやるならいいが、一般客も多い博多座でやるなっつーの。
 女装した男役が何人も何人も、ただ歌いながら歩くだけ、という「演出つまんねー」場面がいちばんのウリなのよ? 『Apasionado!!』というと「お花たちゃんたちは誰がやるのかしら?」と人の口に上がる、いちばんの場面が、「ただ歩くだけ」なのよ?
 つまり、ジェンヌの知名度とスター性に頼り切った作り。名作ではまったくない。
 固定のお馴染み劇場である博多座ですら、再演には疑問符が飛んだ。
 安直な「オカマ→娘役」の変更、スター頼みのオカマパレードはそのまま。
 そして、このオカマパレードは、総力戦の本公演でないと厳しいんだ。
 全部で何人いるんだっけ。オカマが7人?
 ジェンヌの知名度とスター性頼みの演出で、二手に分かれた別箱公演で、客席のほとんどが「あ、〇〇ちゃんが女装してる、おかしい~~」とか個別認識してくれるスターを7人用意出来るか??
 女装をウリにするからには、名前と顔が一致しているだけじゃ足りない、その男役の芸風や個性も認知されていないと驚きにつながらない。
 お笑い担当のひとりを除き、新公やバウ主演済み男役スターを6人用意しなきゃならないのよ? 別箱公演で可能か?
 主演経歴持ちスターでないと、ライトファンまで個別認識してないもん。組ファンだけが知っている人を使ったって、「誰?」になる。
 知らない人が女装してたって、下級生ロケットと同じで「あの人が女装している!!」という驚きにはならない。
 博多座でもきつかった……主演していない人が入っていたし、宙組は下級生の動く背景時代が長く、スター認知度が他組に比べて低かったので、「ジェンヌの知名度とスター性頼みの演出」の弱点を晒していた。
 それでも、固定の箱でやる分にはまだいいと思う。ジェンヌ頼みというからには、ジェンヌさえ認識出来れば楽しくなるのであって、同じ場所で一月近く興行していれば、固定ファンを得られるかもしれない。
 だがしかし。
 全国ツアーでは、それすら望めない。

 あのスターが女装する、から楽しい演出で、組ファンしか知らないような対外的に無名男役起用とか、ベテラントップ娘役ちゃぴがいるのに、トップ娘役不在演出とか。
 何故『Apasionado!!III』……他に全ツ向きの作品があったろうに。

 いや、わかるんだ。
 カチャへの配慮とか、ちゃぴはまさおの相手役である以上がっつり組めないとか、舞台外の事情ゆえに、『Apasionado!!III』になったことは。

 初演『Apasionado!!』は2番手がトップ娘役も兼ねる公演だった。つまり、2番手の比重が高い。
 下級生主演を支える「本公演でタイトルロールのヒロイン役までしたスター」カチャのために、「ふつうの2番手」でしかないショーは用意出来なかった。
 『Apasionado!!』のいちばんの目玉、トップと女装2番手のダンスを、たまきちとカチャでする……それで、カチャの体面を保った。
 いろんな娘役(女装男も含む)と絡み、トップ娘役を「相手役」にしないことで、現在月組トップスターであり、ちゃぴの相手役であるまさおへの配慮、現在の「月組トップコンビ」の体面を守った。

 仕方ない、仕方ないよ。『Apasionado!!III』しかなかったんだよ。

 そう納得はするけれど。
 初日の客席にいてなお、「お花ちゃん、知らない子がいっぱいいた」「あれ誰と誰?」と聞こえてくるのはどうしたもんかと。
 フジイくんの最近の仕事は、本当に雑だ。
 それはともかくとして、月組全ツ『Apasionado!!III』、楽しみました。
 全ツ向きではナイと思うし、オカマパレード頼みの雑な作りは気になるけれど、オープニングと主題歌が派手だし、なんといっても「知っている」ゆえの盛り上がりもある。

 『Apasionado!!』といえばオープニングの大階段と、トップスターの小林幸子系の「それは衣装なの? 装置なの?」と聞きたくなる大がかり衣装。
 初演で大階段いっぱいの衣装(装置?)がぱかっと割れて、あさこがキメキメになる冒頭は一気にテンション上がったよな。
 それが博多座で階段が小さくなり……全ツに至っては……。
 大階段使った演出がキモだと、段階踏んでしょぼくなるのが切ないですな。出演者がんばれ。

 『EXCITER!!』もだけど、大階段プロローグのオラオラ系ショーは当時のフジイくんの得意分野だよなあ。うまいなあ、と思う。
 ……が、全ツでは大階段も劇中のセットもほぼ同じ。差別化が難しいため「大階段プロローグ」は効果が薄い。だからこそ、それを踏まえて全体の演出を調整し直す必要があるんだけど……フジイくん、ソレしてないよね……まんまだよね……雑……。

 オープニングあとのドラキュラ伯爵と美少女。
 耽美な場面なのに、過去2作が耽美に見えなくて個人的に消化不良を起こしていた場面。いやその、役者には向き不向きってものがあってだね……、きりやんやみっちゃんに耽美をやらせるなと。違うやろと。
 それでこっそり期待していたのよ。カチャなら耽美OKなんじゃないかって。中性的な美青年なんだしさ。
 期待してたんだけど……うーん。
 カチャだとちょっと、線が細すぎたかなあ。
 黒燕尾じゃなくて、ひらひらコスチュームの方が良かったかも。燕尾のままなら、ヅラではなく地髪の方が端正さが上がったと思うな。
 そして、美少女がカノトキちゃんなのか……。カチャが娘役泣かせの小顔男役なのはともかくとしても、娘役の方が頭部が長いというのは、なんつーか、夢を見にくいですな……。

 この場面はなんつっても、まゆぽんとはーちゃん!
 ふたりともダークでかっけー。すげーオトコマエな歌声ががんがん響く……!

 暁くん推しはいいんだけど、この子を女装させるのはやめようよ、と思った。
 女装させていいのは男役が出来上がってからで、男役になる前に女役ばかりさせていると、男役としての成長が遅れてしまう。
 ついこの間も女役観たばかりだし、「また」になってしまって、レア感もない。
 同じことを、瑠音くんにも思った。また女役ですかー。や、オカマスターを7人出さなきゃいけないから、頭数集めるために仕方ないんだけどさー。

 オカマやっていいのは、としくん、まんちゃんクラスになってからだよなー。
 れんこんとか瑠音くんとか、ふつーに女の子でふつーにかわいいもんなー。優くんはもっと男顔だと思ってたのに、こちらもふつーにかわいいもんなー。やっぱ下級生の女装は意外性に欠けるのよ。

 ……という流れで、無言の黒オカマを演じて存在感を放つ、輝月ゆうまの尊さよ。

 下級生なのに……! まだ新公学年なのに……!
 腰乃リュウ(誤字! 越乃が正解・笑)、寿つかさという剛の者たちが演じた役を、研7のまゆぽんが演じて、任を果たしちゃうんだもの……!
 ガタイ優先ではないのよ。「大女だからおかしい」ではないの。だって越リュウにしろすっしーにしろ、身長はそれほどでもないんだもの。宙組なんか他のオカマたちがまさこ・ちー・大と巨人揃いだったし。
 身体の大きさではなく、「おっさんに見える男役」が選択基準。
 美青年ではなく、イケメンなおっさん。美青年ならヅカにはいくらでもいる、路線スターはほぼすべて美青年だ。そして、美青年が女装しても「きれい」「かわいい」になりがち。
 き、きれいだけど、なんかチガウ……激しくチガウ……! となるのは、おっさん役者ならでは。
 組長が「おっさん」なのはあたりまえ。おっさんであり、管理職があえて女装することで異様な空気を作り出す役割りなのに、そこで組長のナガさんではなく、下級生のまゆぽんに白羽の矢が立つあたり、すばらしいな!
 ナガさんは年配の男役だけどいわゆる立役キャラじゃないからなー。やさしいお父さんキャラだからなー。つか、悪役出来ない人だからなー(笑)。

 ここで正しく笑いを取るまゆぽんを、素晴らしいと思う。

 ちゃぴのゼブラ好き~~。
 こういうのいいなあ。キュートでシャープ、そして物語がある。
 これもアフリカっぽいけど、ファンタジーな分、例のアフリカダンスより好きだな。
 たまきちライオンも説得力。似合うなヲイ!(笑)
 そしてとしくんがかっこいい……。
 コンセプトはいつものフジイくんまんまなんたけどね。ワンパタだけど、ソレはそれで良し。

 オカマ祭り以外にも、「タカラヅカあるある」がこれでもかとてんこ盛り。このサービス精神やよし。

 この緊張感漂う初日を超えて、こなれた頃に観たらきっと、もっともっと楽しい公演になってるんだろうな。
雪組 東京宝塚劇場公演千秋楽 浪漫活劇 『るろうに剣心』 ライブ中継について(追)
~原作 和月伸宏「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ・コミックス刊)~

2016/03/31
※実施会場が決定いたしました。

以下の通り、雪組東京宝塚劇場公演千秋楽の模様をライブ中継致します。   
(以下省略)

 全国40箇所……だ……と……?

 え、えーと。
 昔、ラストディ中継が全国5~6箇所だったことを、遠く思い出す。
 大阪は1箇所、しかも映画館ですらなく、試写会とかで使う御堂会館に見に行ったりしたな……90分の映画ならぎりぎり耐えられるけど、椅子も環境も悪い縦長のホールで4時間とか……耐久レースみたいだったなー……。
 トウコのラストディとか、関西での上映館が極小で、中継を見るためだけに東京まで遠征したっけ……。

 そんな時代を知っているだけに。
 トップ退団でもなんでもない、ふつーの公演でここまですることに驚き。
 てっきり主要都市メインの限られた上映かと……。

 そんなに儲かるのか、ライブ中継って。

 ……すまん、興味はそっち(笑)。
 たしかに『るろ剣』はキラーコンテンツと化したのだろうけど、それにしたってこの大風呂敷っぷりは、『るろ剣』だからを超えて、ライブ中継業がお手軽かつ利益率のいい商売になっているんだろうなと。

 わずか数か所で中継をやっていたときは、商売だとは思ってなかった。かかる費用とチケット代はとんとんくらい? 儲けにはならないけれど、劇団がファンサービスの一環としてやっているんだと思っていたのよ。ムラのトップ退団千秋楽を、劇団の保存用カメラ(遠方固定)を通してエスプリホールで視聴できたように。
 でも今は、ファンサービスではなく、商売なんだろうなと。
 そして、こんだけやるからには儲かるんだろうなと。

 どうせ東宝千秋楽は1年後にスカステで放送するんだし、それ用のカメラで撮ってるんだし、ライブ中継がお手軽になったなら、今後すべての公演でやればいいんだわ。

 『るろ剣』ライブ中継が発表になったときは「チケットとれるかな?」と思ったけど、これなら楽勝っぽいわね。
 つか、売れるのかこんなに? むしろ心配はそっち。

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