『相続人の肖像』について、文句をしこたま書いておりますが。

 ムカつくー! きらーい! と思うと同時に、打開案も考えているのよ。
 ぶっ壊れてる、ありえねー!作品だけど、立て直すことは可能。
 わたしは1から別モノを書き直すのではなく、「今あるモノ」をできる限りそのままで、最小限の改稿だけで「別モノ」に作り直すのが好き。
 そういう構成し直しっちゅーか、アタマの体操するのが好きなのね。

 『相続人の肖像』は、1箇所直すだけで、別モノにすることが可能。

 『相続人の肖像』の問題点を整理すると、

・主人公チャーリーが最低最悪
・ストーリー破綻

 というのが、内容的な二大問題点で、わたしはこれによって、

・最低最悪の人物を「魅力的」とする世界観
・ぶっ壊れたあり得ない話なのに、誰も指摘せずに進む(作者の都合)

 ことが逆ツボ、生理的に許せない。

 フィクションだから、主人公が人格者である必要はない。最低な卑怯者でも犯罪者でも、フィクションならアリだ。そこに作劇上の誠実さと、作品内での魅力があれば。
 どっちもないから問題。
 その上、ストーリーが破綻してるときたもんだよ。しかも破綻を隠すためにキャラクタの人格破壊したり、滑稽なお笑い芝居にして誤魔化そうとしたり。

 こんだけ大きくてわかりやすい問題点があると、かえってリカバリがしやすいのよ。

 最初の二大問題点は「今の作品の根幹」だから、そのままとする。ここを変えると、作品を1から作り直すことになってしまう。
 だから、変えるのは後者の二点。最初の問題点によって起こる事象、これを変更する。

 簡単です。

 チャーリーに、ツッコミ役を付ける。

 チャーリーは最低最悪な男だ。これは変わらない。邪悪でバカだからこそ、他人を傷つけ攻撃し、とんでもない騒ぎを起こす。辻褄も整合性もない、ありえないストーリー展開になる。それはすべて、今のまま。

 わたしがダメなのは、チャーリーが最低なのに「魅力的な人物」だとこの世界では思われていること。や、他のキャラクタに責められたりはしてるけど、結局のところ「ボク苦悩してます」とソロ歌ったりして、「正当化」されてるでしょ? ずんちゃんかっこいいし、この歌だけ抜き出して考えたら、なんかいい話みたいだし?的な。
 おかしいのに、「この世界では、おかしくない」とされると、気持ち悪い。や、どこの世界でもおかしいから!

 この矛盾を、「ツッコミ役を作る」ことで、解消できる。

 チャーリーが最低なことを言い出す。→ ツッコミが「アホかお前」と言う。
 チャーリーがバカなことを考え、実行しようとする。→ツッコミが「アホかお前」と言う。

 今のままだと、チャーリーが最低でもバカでも、誰も突っ込まないから「最低でバカがこの世界のふつう」になってしまってるの。感覚が異次元なの。
 それを、ツッコミ役を出すことで、「あ、チャーリーが最低なんだ、最低だと思うわたしはおかしくないんだ」と、感覚の摺り合わせをしてくれる。

 ストーリーを進めるためにあり得ない言動を取らせているのだとしても、そこでいちいち「なんでそんなバカなことをするんだ? おかしいだろ?」と突っ込むキャラがいれば、「作者の都合であり得ない言動をしているんじゃない、あり得ない言動をすることすら、計算なんだ」ということになる。
 だって、作者自身が「ありえねー」って作品中でツッコミ入れてるんだもん、それは「わかった上でボケている」ってことになるよね。
 あ、ツッコミ付きだから今よりずっとライトに、コメディタッチに。


 ……てことで、具体的にどういうキャラを出せばいいのかを次項で語る。

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