で、宙組全ツ『メランコリック・ジゴロ』感想続き。

 わたしはフォンダリあっきーで見たかったんだよなあ。
 すっしーさんはかっこいいけど、それはもうわかっているから、「3番手が演じておかしくない役」は若者に譲ってほしかった。や、配役決めるのすっしーさんじゃないから、彼に「譲れ」はお門違いだけど。

 すっしーさんは貴重な二枚目組長。「おじさん」と「美しさ」を併せ持つのは難しい、稀有な才能を持つ人なんだから大切にしたい。
 が、こうして大きな役をやると違和感が出るようになっちゃったな。

 昔はそれでよかったの。トップスターがたかちゃんの頃は。DCでトップスターの恋敵の2番手役がすっしーでも、ショーのスター位置にすっしーがいても、かまわなかった。
 スターたちとすっしーは、違和感の少ない濃度で存在出来た。
 でも今は。
 さすがにもう、いろいろと隔絶感がある。
 すっしーの男役としての色の濃さ、輪郭の濃さが、現代のパステルカラーに淡い色でおしゃれに輪郭された画面に合わない……浮いてる……。
 組長らしく脇からぴりりとスパイス的に画面を締めるのは効果的だけど、「スターのひとり」として舞台の真ん中に立ってしまうと違和感を持つ。

 こう言うとアレかもしれんが。
 すっしーが、若者たちを食っちゃう。

 半端なスターたちより、すっしーの方が輪郭濃いから。薄い人たちはさらに薄く、背景に透けてしまう。

 宙組は長らく「トップコンビとその他全員動く背景」体制で来た。「次代を担うスター」はいなくてよかったから、「スター」位置には管理職のすっしーとかまりえったが入った。
 本来「若手スター」がやるべき役割を、管理職がやる組だった。
 長い長いたかはな時代は終わったけれど、「スター」位置を経験したことのあるキャリア長い上級生と、歩き出したひよっこたちが、同じ土俵で争えるわけもない。
 すっしーが真ん中に近い役をすると、「これから育っていってほしい」とファンが思っている若手や中堅スターたちが、食われてしまう。
 あー、宙組子たち、薄いなー。弱いなー。そう思ってしまう。
 や、今の主流は薄くて淡い色だから。真ん中に濃い輪郭の絵を持ってくるから薄いと思うのであって、全部薄ければ気にならないから。
 さすがにトップスタークラスになると大丈夫だけど、それ以外はなあ……。

 フォンダリ一家が、フォンダリ以外弱すぎてつらい……。そこで組長がひとり勝ちしちゃいかんやろう、バロットもルシルも路線スターを配しているのに。
 や、負ける方にも問題は大ありだけど、それにしても。

 あっきー好きだけど、薄いなあ、とか、ベルチェが必要以上に脇役風味になってる、とか。
 それはすっしーのせいではないんだろうけど、肩を落とした。
 あっきーには、もっと「前に出る」役をやらせてくれえ。そうでないとこの人、一歩下がっちゃうよおぉ。性格なのか、芸風なのか。
 これからあっきーがどういうジェンヌ人生を送るのか、劇団がどう使いたいと思っているのか、知るよしもないが、「前に出る」訓練はしておいた方がいいと思う。
 フォンダリは濃い役だから、あっきーの成長に最適だと思うんだがなあ。

 てゆーか。
 あっきーがフォンダリやったら、人気出たと思うの。(素)

 今も人気あるじゃん!とかいうツッコミはなしで。

 あっきーに限らず、キラキラとかショタ系以外の持ち味の二枚目スターが演じれば、人気出る役だと思う。
 シリアス+ギャグのバランスのいい、胡散臭いエロ男。短いけれどソロで歌うこともラブシーンもあり。その胡散臭さで、観客の視線を一身に集め、場をさらう役割。
 ……たぶん、ハリーのお気に入りジェンヌが演じる役なんだろうなあ。ミサノエールにみわっち、そしてすっしー。
 お気に入りのための役だから、そりゃオイシイわ……。ハリーめ……(笑)。

 おいしい役をちゃんとおいしく演じているすっしーは、正しい。
 配役権だって生徒にはない。
 だからこれは、わたしの勝手な愚痴っす。

 ああ、ほんとにもう、すっしーかっこいいなあ。ちくしょー。

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