『金色の砂漠』の主人公ギィ@みりおくんのキャラクタについてあーだこーだ言う、続き。


 ギィへの愛を否定し、王女としての立場を守ったタルハーミネ@かのちゃんを見て、ギィが感じるべきなのは「裏切られた」ではなく、「それでこそ、タルハーミネ!!」であるべきだ。

 タルハーミネという魂を理解し、丸ごと愛しているなら、復讐なんか考えないはずだ。
 王女として命令するタルハーミネに微笑みかけ、胸を張って処刑されるべきだ。そんな風にしか生きられない苛烈な魂を持つ恋人に「君は正しい、君は君らしく生きてくれ」とうなずいてやる。それが、タルハーミネを愛した男の任ってもんだ。

 ギィはあまりに未熟だ。
 彼がすべきことは、犯して連れて逃げることではなく、自分ひとりで城を出て、功を成すことだ。
 ジャハンギールがやったように、国でも盗って、堂々とタルハーミネに求婚することだ。
 タルハーミネはギィの妻になれても、王女であることを捨てることは出来ないのだから。ふたりで逃げても心中以外に未来はなかった。みじめな生活に、タルハーミネが耐えられるはずないのだから。

 タルハーミネを恨んで復讐するような男は、タルハーミネに相応しくない。
 結局、タルハーミネの魂なんて関係なく、自分の都合だけで恋してただけじゃん。
 カラダだけじゃなく、心まで小さい男。

 ……と思うから、好みじゃないんだよなあ。

 歪んだ人間は好きだけど、こういう虫けらハートの男は、主人公では見たくない。脇ならそれなりに萌えるけど(笑)。
 親の仇ってだけなら別に、復讐してくれてもいいんだけど、タルハーミネへの復讐は「チガウやろ」と思う。

 コトが大きいからわかりにくいけど、要するに「思ったように愛してくれないから、逆恨みする」ようなもんじゃん。
 仕事が生き甲斐の女性を口説き落とし、退社させてハッピーウェディング!にこじつけたはいいけど、結局「ごめん、やっぱり私仕事を捨てられない! 仕事を捨てたら、私は私でなくなるの」と言って結婚断られた……もう式場押さえて招待状出して上司の仲人も頼んであって、今さら婚約破棄ってちょっと待て俺の立場は?! かわいさ余って憎さ百倍、ストーカー一丁上がり!
 仕事を生き甲斐としている彼女を愛したんじゃなかったの? 彼女から彼女自身である仕事を取り上げて、自分の用意した箱の中に歪めて押し込むことが愛だったの? それ、彼女を愛してないよね? 愛したのも、大切なのも、自分自身だけよね?

 とまあ。

 タルハーミネはいいキャラだし、王女と奴隷、出生の秘密、復讐と王位奪還、という設定と筋立てもイイ。
 だからあとはほんと、ギィのキャラクタなのよねえ。

 ギィって、少年時代からまったく成長してないじゃん?
 「なんであいつはありがとうって言わないんだ?」とふくれていたときのまま。
 言わないのがタルハーミネなんだよ。たとえ思ったとしても、口には出来ないの。そういう女性を愛したんだって、何故わからない。

 タルハーミネに裏切られ、盗賊団のリーダーになっても、結局成長しないまま。
 ギィを自ら葬ったタルハーミネは、成長したのに。

 成長しない主人公は、つまんない。
 物語として。
 主人公の精神的変化が、カタルシスだもん。
 ギィにあるのは「立場の変化」だけなんだもん。
 ストーリーが動くから変化しているように見えているだけで、ギィ自身は幼少期から変わってない。

 ギィの幼少時代をみりおくん自身で演じる意味が、よーっくわかる。
 彼は妖精のように、変わっていない。
 幼く美しいまま。
 少年の潔癖さと自己愛に満ちている。

 みりおくんならではだと思う。
 この役をやってなお、美しく魅力的に見せるなんて。

 みりおくんはすごいと思うし、みりおくんにこの役をアテ書きしたウエクミもすごいと思う。

 ただ、ギィという男は、わたしの好みではない。
 それだけのこと。

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