置き去りにされたかなしみ。@8Mile
2003年5月14日 映画 ごめんなさい、わたしはここにいるべきではありません。
……とゆー気がして仕方なかった。
映画『8Mile』。
予告編を見る限りはおもしろそうだった。
つーかあの予告、いいのか? 映画本編を見る必要もないくらい、起承転結全部見せてくれてるんだけど。
ま、ストーリーなんてお約束通りだから、予告でオチまで教えてくれているからといって、どうということはないのかな。
青春映画たるもの、マンネリ上等、ワンパタ上等、ってことよね。
ずいぶん前から予告ばかり見ていたので、てっきりとっくに公開しているんだと思ってたよ。来週から公開なんだね。
監督カーティス・ハンソン、出演エミネム、キム・ベイシンガー、ブリタニー・マーフィ。
予告であおりまくってくれている通り、フリーターをしながらスターを夢見る青年の青春映画。
鬱屈した日常。夢はあるけれど思うようにはいかず、現実に足を絡められて泥まみれ。気のいい仲間たち、美少女と出会い、恋、そして、やってくる成功への足がかり。人生を変えるのは今、そして、自分自身。……てか。
正しく青春映画。ストーリーだけなら5万回は見た。
主人公の姿に、自分を重ねる若者も多いだろう。
しかし。
問題は、この使い古された物語がネタにしているのが、「ラップ」だってことだ。
わ、わかりましぇん。
わたし、英語、ぜんぜんだめなの。
まーったくわからないの。
だから、この映画もぜーんぜんわからなかったの。
主人公くんたちは、ラップで戦うのよ。剣で決闘するように、「言葉」で戦うの。それに勝てば名誉なのよ。それこそ、騎士が剣で名誉を勝ち取るように。
「ラップ」というのが、そーゆーもんだとは聞きかじっていたし、日本でもそーゆーバトルをしている場所と人たちがいることも、聞きかじってはいた。
だから相変わらず予備知識なしで見はじめて、「ああ、ラップ・バトルなのか」と納得はしたけどさ。
なんせ、「言葉」だから。
英語がわからないと、なにもわからないのよ。
字幕は出るけど、出るから余計混乱する。
字幕を読むだけじゃ、どうしてそんなことになるのかわからないの。
バトルだから、1対1で戦うの。マイクを持って、相手を「言葉」で叩きのめす。
たとえば、「あかさたな、はまやらわ!」と対戦相手が歌う。観客、大喜び。
……はぁ?
それに対し、エミネムくんが「隣の客はよく柿食う客だ」と歌い返す。観客、狂喜乱舞。
……はぁ?
この勝負、エミネムくんの勝ち!!
……はぁぁぁあ?!
って、感じ。
彼らのあやつる「言葉」はきっと、韻を踏んで何重もの隠喩やら装飾やらをまとい、そこに生きる者たちならば「うまい!」と感心するような即時性のある仕掛けを限りなく詰め込んだものなんでしょう。
それを、相手の言葉を受けて即興で返すわけだから、観客も感動するのでしょう。
でもな。
それらは字幕にはまったく表現されないのよ。
不可能ですわ。
どんなにすばらしい「言葉」も、字幕では「隣の客はよく柿食う客だ」にしかならないのよ。
「隣の客はよく柿食う客だ」で、スクリーンの中の人たちが大感動するのを見て、外にいるわたしはどんどん冷めていったよ……。
ごめんなさい。
わたしがここにいるのが、まちがいです。
目に見えないパンチで戦うエスパーたちを、ただぼーっと眺めていたよーな。
観客たちみんなには見えているのに、わたしにだけ見えない……疎外感……。
ストーリーは5万回見たよーな、陳腐な青春映画。明るく軽くするかわりに、暗く重く、どこか救われない雰囲気なんか漂わせて。あ、日本映画によくある感じだ。文芸作品を目指しました、ってやつな。
ストーリーがありきたりな分、差別化している部分はこの「ラップ映画」だってこと。
だが、その差別化部分が理解不能ってのが、つらい……。
ホールにいた人々は、たのしめたのかしら。
わたしと同じように、エスパーさんたちの戦いをぼーぜんと眺めていた人たちは、どれくらいいたのかな?
若い人たちは、エミネムくんの映画だってだけで、OKなのかな。
それとも、あの「隣の客はよく柿食う客だ」きゃーきゃー、素敵ー!! という展開に、ちゃんとついていけたのかしら。
わしゃばばあだからわからん……。
いい映画なのかどうかすら、評価不能。
日本語でないとわかんないす……。
いや、主題歌はよかったし、全編機嫌良く音楽は聴いていたけどさ。
……音楽だけ聴きに行ったのか、わたし……?
……とゆー気がして仕方なかった。
映画『8Mile』。
予告編を見る限りはおもしろそうだった。
つーかあの予告、いいのか? 映画本編を見る必要もないくらい、起承転結全部見せてくれてるんだけど。
ま、ストーリーなんてお約束通りだから、予告でオチまで教えてくれているからといって、どうということはないのかな。
青春映画たるもの、マンネリ上等、ワンパタ上等、ってことよね。
ずいぶん前から予告ばかり見ていたので、てっきりとっくに公開しているんだと思ってたよ。来週から公開なんだね。
監督カーティス・ハンソン、出演エミネム、キム・ベイシンガー、ブリタニー・マーフィ。
予告であおりまくってくれている通り、フリーターをしながらスターを夢見る青年の青春映画。
鬱屈した日常。夢はあるけれど思うようにはいかず、現実に足を絡められて泥まみれ。気のいい仲間たち、美少女と出会い、恋、そして、やってくる成功への足がかり。人生を変えるのは今、そして、自分自身。……てか。
正しく青春映画。ストーリーだけなら5万回は見た。
主人公の姿に、自分を重ねる若者も多いだろう。
しかし。
問題は、この使い古された物語がネタにしているのが、「ラップ」だってことだ。
わ、わかりましぇん。
わたし、英語、ぜんぜんだめなの。
まーったくわからないの。
だから、この映画もぜーんぜんわからなかったの。
主人公くんたちは、ラップで戦うのよ。剣で決闘するように、「言葉」で戦うの。それに勝てば名誉なのよ。それこそ、騎士が剣で名誉を勝ち取るように。
「ラップ」というのが、そーゆーもんだとは聞きかじっていたし、日本でもそーゆーバトルをしている場所と人たちがいることも、聞きかじってはいた。
だから相変わらず予備知識なしで見はじめて、「ああ、ラップ・バトルなのか」と納得はしたけどさ。
なんせ、「言葉」だから。
英語がわからないと、なにもわからないのよ。
字幕は出るけど、出るから余計混乱する。
字幕を読むだけじゃ、どうしてそんなことになるのかわからないの。
バトルだから、1対1で戦うの。マイクを持って、相手を「言葉」で叩きのめす。
たとえば、「あかさたな、はまやらわ!」と対戦相手が歌う。観客、大喜び。
……はぁ?
それに対し、エミネムくんが「隣の客はよく柿食う客だ」と歌い返す。観客、狂喜乱舞。
……はぁ?
この勝負、エミネムくんの勝ち!!
……はぁぁぁあ?!
って、感じ。
彼らのあやつる「言葉」はきっと、韻を踏んで何重もの隠喩やら装飾やらをまとい、そこに生きる者たちならば「うまい!」と感心するような即時性のある仕掛けを限りなく詰め込んだものなんでしょう。
それを、相手の言葉を受けて即興で返すわけだから、観客も感動するのでしょう。
でもな。
それらは字幕にはまったく表現されないのよ。
不可能ですわ。
どんなにすばらしい「言葉」も、字幕では「隣の客はよく柿食う客だ」にしかならないのよ。
「隣の客はよく柿食う客だ」で、スクリーンの中の人たちが大感動するのを見て、外にいるわたしはどんどん冷めていったよ……。
ごめんなさい。
わたしがここにいるのが、まちがいです。
目に見えないパンチで戦うエスパーたちを、ただぼーっと眺めていたよーな。
観客たちみんなには見えているのに、わたしにだけ見えない……疎外感……。
ストーリーは5万回見たよーな、陳腐な青春映画。明るく軽くするかわりに、暗く重く、どこか救われない雰囲気なんか漂わせて。あ、日本映画によくある感じだ。文芸作品を目指しました、ってやつな。
ストーリーがありきたりな分、差別化している部分はこの「ラップ映画」だってこと。
だが、その差別化部分が理解不能ってのが、つらい……。
ホールにいた人々は、たのしめたのかしら。
わたしと同じように、エスパーさんたちの戦いをぼーぜんと眺めていた人たちは、どれくらいいたのかな?
若い人たちは、エミネムくんの映画だってだけで、OKなのかな。
それとも、あの「隣の客はよく柿食う客だ」きゃーきゃー、素敵ー!! という展開に、ちゃんとついていけたのかしら。
わしゃばばあだからわからん……。
いい映画なのかどうかすら、評価不能。
日本語でないとわかんないす……。
いや、主題歌はよかったし、全編機嫌良く音楽は聴いていたけどさ。
……音楽だけ聴きに行ったのか、わたし……?