100周年を境に、ヅカはいろいろ変わったのだと思う。
 なにかにつれそれを実感することがあるのだが。
 この日もまた、心から驚いたことがあった。

 いつものように大劇場へ行くと、客席がざわついている。いつものことだが、着いたのは開演間際。もうみんな席に着いて、数分後に上がる緞帳の方を向いているだろう時間なのに。
 みんな一様に後ろを振り返っている。
 立ち上がっている人たちもいる。
 なんだなんだ?
 誰かお客様が来るの? 他組のスターさん? OG?
 でもなんか、様子が違う。見ているのは後ろじゃない……2階?

「2階席が、真っ赤っか!!」

 へ?

「どうして? 2階席に人がほとんど坐ってない」
「こんなのはじめて見た!!」

 わざわざ立ち上がって、なにをショック受けてんのよ……。
 も、心から、びっくりした。
 空席具合にじゃないよ。
 「そんなこと」で驚く人たちがいることに。つか、2階席以前に、1階席の後ろだってバコっと空いてんじゃん、通ってくるとき気づかなかったのかよ?

 たぶん、誰かひとりふたりが声に出したから、周囲の人たちまで一緒になって「2階席が!」って騒いじゃったんだと思う。
 1列目~3列目あたりの、「振り返れば2階席が見える」けっこうな人数の人たち。
 わたしだって、みんなが見ているから一緒になって「なんだなんだ?」って2階席見ちゃったし。

 たしかに、客席は潔く空いていた。しばらく見ない光景だったから「あら。100周年効果も終了かしらね」とは思ったよ。
 でも、それだけならなんとも思わなかった。そんなこともあるさ、と。年末の某公演だって日によってはこんなもんだったし。そもそもわたしがこうやって前方席取れる日ってのは、競争率の低い日だってことだし、不思議じゃない。
 でも、「客席が空いている」ことに「驚く」人々がけっこうな人数いるのだ、ということには、心底驚いた。

 こんな光景、100周年前はあたりまえやってば……。

「生徒さん、可哀想……」

 って、大丈夫、まぁくんはまとぶさん時代の花組でがっつり育ってるわ、あの頃マジですごかったから! 当時の組担が太鼓判押すわ、こんな光景、見慣れてる。いやむしろあの頃の方がもっとすご……ゲフンゲフン。

 100周年おそるべし。
 今のお客の何割かは、客が入らなかった時代を、マジに知らないんだ。
 ヅカファンも入れ替わってるのかなあ。
 新規さんが来てくれるのはもちろん大歓迎! なんだけど、古いヲタにも踏みとどまっていて欲しい。わたしも含め、年寄りファンだっていていいと思うのよ。

 しかし、マジで自分ががくっと年を食った気がした……。わたし、前世紀の人間なんやねえ……。

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