舞台、そこは闘いの場…なんてな。@ 鈴蘭-思い出の淵から見えるものは-
2016年1月30日 タカラヅカ 星娘は、まずはるこを倒さなくてはならないのだな。
『鈴蘭(ル・ミュゲ)-思い出の淵から見えるものは-』を観て思った。
はるこは美貌と芝居力を併せ持つ娘役だ。彼女が演じると、役にドラマが生まれる。
演出家が彼女を使いたがる気持ちはわかる。自分の作品に深みを出したいだろうし。
『鈴蘭』でもはるこは主人公の初恋の女性、物語のキーパーソンを演じている。タイトルである「鈴蘭」とは、シャルロット@はるこのことでもある。
シャルロットは冒頭にしか出番はなく、彼女の死から物語がはじまる。あとは回想だのイメージだので出るのみ。
ヒロインはシャルロットの義理の娘エマ@真彩だ。
だが、この「死んで、もういない」はずのシャルロットの、存在感の大きさときたら。
彼女が登場するたびに「えっと、ヒロイン誰だっけ」となる。
星組でヒロインを張るためには、このはるこよりも「説得力のあるヒロイン」を演じなければならないんだ。
大変だなー。
今の星組に限らず、いろんな組に「ポストはるこ」な娘役がいた。
ちょっと前の花組なら、いちかとか。いちか以上の仕事が出来る、とならないと、娘役2番手役が若手に回らない、てな。
いちかが脇で、若手がヒロインをやっているとしても、いちか以上の仕事をしないと食われるぞ、てな。
この場合、はるこにもいちかにも非はない。彼女たちは、「物語」を盛り上げるため、実にいい仕事をしている。
与えられた役割をこなし、深く華やかに存在することで、物語をより輝かせている。
だから問題は、ヒロインの方にある。
脇の「別格上級生」よりも、輝けばいいんだ。
所詮「脇」としか脚本に書かれていない役に、「食われる」なんて、あってはならない。
脇が魅力的であればあるほど、それを力に代えて、真ん中が輝くもんだ。本来なら。
いやあ、真彩ちゃん、がんばってた!
真彩ちゃんの敵はことちゃんじゃないね、はるこちゃんだね!
「敵」という言い方はおかしいか。
でもなんか、真彩ちゃんのお芝居にはそんな言葉を使いたくなる。
なんだろ、調和しないっていうか、実力を使って、共演者をねじ伏せる感じがするの。
実力を使う、という言い方も変だけど。
真彩ちゃんには、実力がある。歌唱力も演技力も、舞台で「存在」することも、ちゃんと技術を持ってやっている。だからそういう「実力」が、「道具」のように思えるの。「コップを使って水を飲んだ」の「コップ」が道具であるように、真彩ちゃんは「実力を使って『鈴蘭』というお芝居をした」という感じ。
で、真彩ちゃんのターゲットはことちゃんかなと、最初思ったんだ。
実力を使って、闘う相手。
負けない、地に伏さず立ち続ける、立ち向かう、相手。
ことちゃんも真彩ちゃんもうまいんだけど、不思議とふたりは「組んで芝居をしている」感じがしない。
ラヴい脚本なのに、少女マンガあるあるな作品なのに、そういった萌え感覚が薄い。
ちゃんとうまい人たちが、書かれている通りに芝居しているのに……。
真彩ちゃんの芝居が、受動態や調和ではなく、能動態で対立しているからなんだなあ、とわたしは思った。
別に真彩ちゃんがことちゃんに敵愾心を持っているとか思ってるわけじゃなくて、たぶん彼女は「相手役としてがんばろう」とか「いい芝居をしよう」と思っていて、ことちゃんに負けないようにがんばっているんだと思う。
この「負けない」は「上に立ってやる」ということではなく、ことちゃんに見劣りすることで足を引っ張らない、ことちゃんと作品を盛り立てる意味ね。
でも真彩ちゃんの芸風って、他者を必要としない、ピンで真正面向いて立つ系なんだよなあ。
ことちゃんはうまい人だけど、今現在、こういう芸風の真彩ちゃんを受け止め、手のひらの上で転がす度量はないように見える。
だから、ふたりして同じ方を向いて競い合っている、ように見えてしまう。しのぎを削るアスリートみたいに。
……ラヴストーリーなのに。
相手役、というより、好敵手。
敵。
うーむ。
そんな真彩ちゃんと同じ舞台の上で、はるこちゃんがあざやかに「ヒロイン芝居」をしている。
……そりゃ真彩ちゃん、分が悪いわ……。
真彩ちゃん、アナタのは敵はことちゃんじゃない、はるこお姉様よ。
はるこちゃんにヒロイン力で勝利しないことには、ことちゃんにだって勝てないわ。
や、観ている分には面白いし、また、今現在だけでなく、彼女たちの「これから」も含めて興味深いけれど。
希帆、という名前の歌ウマ娘役さんは、別格上級生に翻弄されるめぐり合わせなのかしら、と思ってしまったわ。
希帆ちゃん、せっかくの初バウヒロだったのに、別格上級生いちかに話題をかっさらわれてたなあ……。いちか、全開だったもんな……。と、遠い、なつかしい記憶。
真彩ちゃんは面白い娘役さんなので、もっといろんな役を観てみたいっす。ぜひヒロインで。
マジ、上級生の番手付きスターさんの相手役とかやってみてほしい。確立したスターさん相手でも、彼女は闘いを挑むのか、そしてそれはどういうことになるのか、観てみたいっす。
『鈴蘭(ル・ミュゲ)-思い出の淵から見えるものは-』を観て思った。
はるこは美貌と芝居力を併せ持つ娘役だ。彼女が演じると、役にドラマが生まれる。
演出家が彼女を使いたがる気持ちはわかる。自分の作品に深みを出したいだろうし。
『鈴蘭』でもはるこは主人公の初恋の女性、物語のキーパーソンを演じている。タイトルである「鈴蘭」とは、シャルロット@はるこのことでもある。
シャルロットは冒頭にしか出番はなく、彼女の死から物語がはじまる。あとは回想だのイメージだので出るのみ。
ヒロインはシャルロットの義理の娘エマ@真彩だ。
だが、この「死んで、もういない」はずのシャルロットの、存在感の大きさときたら。
彼女が登場するたびに「えっと、ヒロイン誰だっけ」となる。
星組でヒロインを張るためには、このはるこよりも「説得力のあるヒロイン」を演じなければならないんだ。
大変だなー。
今の星組に限らず、いろんな組に「ポストはるこ」な娘役がいた。
ちょっと前の花組なら、いちかとか。いちか以上の仕事が出来る、とならないと、娘役2番手役が若手に回らない、てな。
いちかが脇で、若手がヒロインをやっているとしても、いちか以上の仕事をしないと食われるぞ、てな。
この場合、はるこにもいちかにも非はない。彼女たちは、「物語」を盛り上げるため、実にいい仕事をしている。
与えられた役割をこなし、深く華やかに存在することで、物語をより輝かせている。
だから問題は、ヒロインの方にある。
脇の「別格上級生」よりも、輝けばいいんだ。
所詮「脇」としか脚本に書かれていない役に、「食われる」なんて、あってはならない。
脇が魅力的であればあるほど、それを力に代えて、真ん中が輝くもんだ。本来なら。
いやあ、真彩ちゃん、がんばってた!
真彩ちゃんの敵はことちゃんじゃないね、はるこちゃんだね!
「敵」という言い方はおかしいか。
でもなんか、真彩ちゃんのお芝居にはそんな言葉を使いたくなる。
なんだろ、調和しないっていうか、実力を使って、共演者をねじ伏せる感じがするの。
実力を使う、という言い方も変だけど。
真彩ちゃんには、実力がある。歌唱力も演技力も、舞台で「存在」することも、ちゃんと技術を持ってやっている。だからそういう「実力」が、「道具」のように思えるの。「コップを使って水を飲んだ」の「コップ」が道具であるように、真彩ちゃんは「実力を使って『鈴蘭』というお芝居をした」という感じ。
で、真彩ちゃんのターゲットはことちゃんかなと、最初思ったんだ。
実力を使って、闘う相手。
負けない、地に伏さず立ち続ける、立ち向かう、相手。
ことちゃんも真彩ちゃんもうまいんだけど、不思議とふたりは「組んで芝居をしている」感じがしない。
ラヴい脚本なのに、少女マンガあるあるな作品なのに、そういった萌え感覚が薄い。
ちゃんとうまい人たちが、書かれている通りに芝居しているのに……。
真彩ちゃんの芝居が、受動態や調和ではなく、能動態で対立しているからなんだなあ、とわたしは思った。
別に真彩ちゃんがことちゃんに敵愾心を持っているとか思ってるわけじゃなくて、たぶん彼女は「相手役としてがんばろう」とか「いい芝居をしよう」と思っていて、ことちゃんに負けないようにがんばっているんだと思う。
この「負けない」は「上に立ってやる」ということではなく、ことちゃんに見劣りすることで足を引っ張らない、ことちゃんと作品を盛り立てる意味ね。
でも真彩ちゃんの芸風って、他者を必要としない、ピンで真正面向いて立つ系なんだよなあ。
ことちゃんはうまい人だけど、今現在、こういう芸風の真彩ちゃんを受け止め、手のひらの上で転がす度量はないように見える。
だから、ふたりして同じ方を向いて競い合っている、ように見えてしまう。しのぎを削るアスリートみたいに。
……ラヴストーリーなのに。
相手役、というより、好敵手。
敵。
うーむ。
そんな真彩ちゃんと同じ舞台の上で、はるこちゃんがあざやかに「ヒロイン芝居」をしている。
……そりゃ真彩ちゃん、分が悪いわ……。
真彩ちゃん、アナタのは敵はことちゃんじゃない、はるこお姉様よ。
はるこちゃんにヒロイン力で勝利しないことには、ことちゃんにだって勝てないわ。
や、観ている分には面白いし、また、今現在だけでなく、彼女たちの「これから」も含めて興味深いけれど。
希帆、という名前の歌ウマ娘役さんは、別格上級生に翻弄されるめぐり合わせなのかしら、と思ってしまったわ。
希帆ちゃん、せっかくの初バウヒロだったのに、別格上級生いちかに話題をかっさらわれてたなあ……。いちか、全開だったもんな……。と、遠い、なつかしい記憶。
真彩ちゃんは面白い娘役さんなので、もっといろんな役を観てみたいっす。ぜひヒロインで。
マジ、上級生の番手付きスターさんの相手役とかやってみてほしい。確立したスターさん相手でも、彼女は闘いを挑むのか、そしてそれはどういうことになるのか、観てみたいっす。