『一夢庵風流記 前田慶次』のまっつまっつ語りの途中ですが。
 基本は雪丸@まっつ語りなんだけど、そこからちょっと脱線して、又左衛門@がおりさんの話。

 又左衛門、だからわたしは迷いなく愛称「又左」にしてるけど、世の中的には又様とかなのかしら? 又左衛門といえば「槍の又左」と耳と目の字面読みがおぼえているもんでなあ……でも利家様と混同してややこしいのか?(槍の又左=前田利家@にわにわ)
 ま、いーや、又左さんで。


 雪丸様って、又左さんのこと、どう思ってたんだろう。
 又左さんと雪丸って、同じ穴の狢よね? 日陰者一族の頭領で、表の世界に出ることを望んでいた。
 又左さんは正攻法で、「武士よりも武士らしく」生きることで、武士になろうとしていた。
 雪丸は反対、謀略によって成り上がろうとした。

 又左さんの不器用な生き方をバカにしていた……気はする。
 でなければ、又左さんの「意地を通す」ための慶次@えりたんとの一騎打ちを、飛び道具で邪魔したりしないはず。
 息子の甚内くん@かなとが手を出さずに見守っているのに、安全なところから狙撃するとか、卑怯かつ、下劣。又左さんの思いも踏みにじる行為。

 でもさー。
 ちょっとわたし、考えちゃうんだ。ドリームかもしんないけどさー。

 雪丸様、又左さんのこと、けっこう好きだったよね? って。

 自分と同じ立場で、自分とはチガウ道を行く年長の男。
 愚かだと思ってはいても、……好意はあったんじゃないかな。

 だから一騎打ちに手を出した。

 あれだけじっくり狙うことが出来たんだ、雪丸は慶次を射殺することが出来たはず。
 刀を落とすだけでなく、慶次自身を撃てば良かったんだ。
 でもあえて、はずした。

 又左衛門に、慶次を倒させたかったから。

 又左さんでは慶次に敵わない。でも、又左の意地は通させてやりたい。だから、助勢の意味での狙撃。一騎打ちとはいえ、戦場ではなにがあるかわからない、いくさ人なら理解しているはずだ、流れ弾に当たったから負けました実力じゃありません、は通じない。どんな状況でも勝敗優先。
 現に又左さんは、撃たれた慶次を見て「邪魔が入った、今日はここまでだ」てなことを言わない。アクシデントが不本意だとしても、さらに踏み込み、とどめを刺そうとする。

 雪丸の射撃の腕がへたっぴで、慶次を射殺するつもりが盛大にはずしちまったんだ、という説もあるが(笑)。
 だとしたら、もっとあわてると思うのね。当時の銃が一発しか撃てないとしても、部下を連れてきてるんだから、はずしたその瞬間部下に銃を渡し、弾込めさせればいいのよ。
 なのに雪丸は、撃ったあともじーーっとなりゆきを見守っている。
 そして、又左がやられたあと舌打ちして、銃を部下に渡す。

 確実に慶次を仕留めることより、又左の意地を尊重した……と、思える。

 というか。

 たまに雪丸が、「悲しそう」に見えることがありましてね。
 無表情になりゆきを見つめる瞳が。
 これはまっつの特性であり、意図はないのかもしれないけれど、静かに見つめる姿に「哀惜」を感じるときがあるのですよ。

 敵うはずのない相手に、「意地を通す」ために向かっていく、「武士よりも武士であろうとする」「武士になれなかった」男。
 その男の最後のあがきを、命を懸けた叫びを、見届ける。
 自分と同じ、しかし自分とは別の生き方を選んだ男の、最期を。

 だから雪丸の舌打ちは、自分自身へのものに思える。

 慶次を射殺すればよかったのにそうせず、又左に肩入れしてしまった……その結果又左は死に、慶次は無傷。
 又左のためにわざと的を外した自分の甘さへの苛立ちに思える。

 いやあ、いいですな、又左×雪丸!

 まっつさん、がおちゃん相手のカップリングネタ、はぢめてじゃね? あ、アーカムさん@『Shall we ダンス?』があったか……しかしアレはギャグやしなー。

 雪丸に口説かれて仲間入りした又左衛門。ふたりはどれくらいの時間一緒に行動し、なにを話し、なにを話さなかったのだろう。
 がおりさんが枯れすぎてるのだけが少々残念ですが、そういう大人の男だからこそ、雪丸の抱える闇が見えるかもしんない。

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