最後まで、「タカラヅカ」。@壮一帆サヨナラショー
2014年7月13日 タカラヅカ えりたんは、落下傘トップじゃない。
新公時代を雪組で過ごした、雪っ子のひとりだ。
雪組トップの背中を見て育ち、雪で新公初主演してバウ初主演した、番手のあるスターだった。
半分は花組だし、花に戻ったとき「DNAおそるべし! 雪では浮いていたのに、花だとしっくりくる!」と思ったもんだったが。
それでも、雪もえりたんの組であることは、間違いない。
なのに……まるで、落下傘トップのサヨナラショーを観ているような、錯覚をおぼえた、雪組公演前楽『壮一帆サヨナラショー』を観て。
サヨナラショーって、そのトップさんの歴史を振り返るというか、思い出をたどり、共有するものだと思う。
だから、生え抜きトップさんのサヨナラショーは「組の歴史」を改めて味わう醍醐味もある。
生え抜きじゃなくても、7年もいたら、それなりに歴史を感じるサヨナラショーになるよな。
なのに……えりたんは、落下傘トップみたいだった……。
思い出すのは、1作トップだったぶんちゃんのサヨナラショー。
元星組。新専科制度によるシャッフル人事のため、1年前から雪組に出演、そのまま雪でトップになる。
トップ期間が本公演1作の場合、そのたった1作の作中曲をサヨナラショーに使えないので、必然的にトップになる前の公演からチョイスすることになる。
ぶんちゃんの場合は、星組作品オンパレードだった。
客席にいるのは、ぶんちゃん個人ファンだけじゃない。それが「雪組公演」である以上、「雪組ファン」も多数いる。てゆーか、やっぱ圧倒的に雪担が多いだろう……なのに、星組曲ばかり。
スカステが当たり前にある時代じゃない。いろんな公演を「曲を聴いただけでわかる」くらい観ることは難しいし、「このスターさんに興味を持った。過去にどんな作品に出ているのかしら」と思ったところで振り返って映像を見ることが難しい時代だった。
客席のあの、ほかーん感……。
ぶんちゃんファンだけが泣いて、それ以外の人たちは取り残された。盛り立てたいという思いはあるから、一生懸命手拍子したり拍手したり、協力してるんだけど……そこにあるのは努力であって、感動や共感ではないんだよね。
同時退団するナルセも、雪にやってきて何年も経つのに、歌うのが月組時代、新公で歌った曲……。
ぽかーん……。
この曲、知ってる……? 知らない……で、でも、手拍子しなきゃ。
ジェンヌへの愛情ゆえに、観客がんばる。
あれは、つらかったなあ。
客席もつらかったけど、出演者たちもつらかったんだな。退団する人たちはそれどころじゃないかもしんないが、共演者たちは客席のとまどいを感じていたんだろう。
えりたん、あの場にいたもんな。
よその組の公演曲ばかり、知らない曲ばかり次から次へと歌い上げられて、客席が置いてけぼりになった、あのサヨナラショー。
それでえりたん、自分がやるときは、「別の組の曲はやらない。客席が絶対に知っている曲だけにする」と決めたんじゃないだろうか。
だってあまりにも、極端な選曲だ。
幕が上がるなり、『ベルばら』メドレー。ひとつの作品から、3曲連続って。
ふつー、1作品1曲だよねえ……。1曲終わると大抵、「次はどの公演のなんて曲だろう」と思うものなので、「また『ベルばら』? また『ベルばら』? また?!」となった。
次は『若き日の唄は忘れじ』から続けて2曲……。
それから『Shall we ダンス?』、『CONGRATULATIONS 宝塚!!』。
えりたん、トップになってからの曲しか使わないつもりなの?!
で、でもあーた、トップになってからやった公演って、めっちゃ「種類」少ないっすよ?!
本公演は3作で、今やってる『一夢庵風流記 前田慶次』『My Dream TAKARAZUKA』は使えないし、残り2作の本公演は1本が1本物だから、「種類」として3つしかない。別箱だって、そのうち2公演が同じ演目だったわけで。
客席がぽかーんとならない、みんなが絶対に知っている作品だけにする、というつもりなら、別箱はできるだけスルーよね。中日と全ツとふたつの機会があった『若き』はまだアリ? でも1回だけの『ナルシス・ノアールII』と『心中』はカウント外? みんなが知ってるにしろ、『SR』はキムくんの作品だから使えないし。
選択肢、少なすぎ。
えりたんは、ぶんちゃんのときのような構成を避けたのかなと思うけど……結果として、すごくぶんちゃんのときを思い出したよ……。
ここ1年の間の作品だけしかないサヨナラショーって……つまんない……。
つまらない、というと言葉が悪いかもしんないけど、記憶に新しすぎて、キャトルレーヴで流れている「2013年主題歌集」とかのノリなんだもん……なんて特別感のない……。
そこに拍車をかける、まっつの選曲。
『インフィニティ』から、スペインの場面。
ちょ……っ。
『インフィニティ』で、よりによってスペインかよ!!
えー。
タカラヅカあるある、「トップスターのサヨナラショーで、同時退団するスタークラスの人が、自分のディナーショーのオリジナル曲などを張り切って歌い、客席がぽかーんとなる」。
や、キミとキミのファンには「知っていて当然の、大切な曲」だろうけど、今劇場にいる大半の人はその曲知らないから!! ぽかーんだから!!
終演後、他はみんな曲名や公演名が書いてあるのにまっつのとこだけ「まっつソロ」と書かれているツイートをたくさん見た……そうよね、なんの曲かわかんなかったのよね。
なんつーか、ひとつの「ショー作品」として観ると、ほんとに構成もいまいちだし選曲ひどいし、残念な出来だわ。らんとむさんのサヨナラショーが神過ぎたせいもあるんだろうけど、比べちゃいけないんだけど、中村Bほんとセンスないわ……。
や、サヨナラショーは退団者本人の意志がなにより反映されるから中村Bだけの責任じゃないにしろ、監督したのは中村Bだろうからさー。
でもって、えりたん、空気読みすぎ。まっつ、空気読まなさすぎ。
えりたん、もっと自分本位に選曲しても良かったのに。在位1年7ヶ月だとしても、えりたんのヅカ人生19年をもっと大切に、いつの時代どこの組関係なく、大切な曲を選んで良かったのに。雪組のジャイアンとか自称してるけど、ほんとは気遣い半端ナイ良い人だよね。
あゆっちだってスター期間はすっげー長かったんだから、好きな曲歌って良かったのに。えりたんが「トップになってからの曲しか使わない」と決めたら、従うしかないじゃん。
そしてまっつは、自分本位過ぎ。えりたんが必死になって「自分がトップになってからの公演」にこだわっているのに、台無し。少しは他人のことも考えよう、このジャイアンめ(笑)。
と、「いつものわたし」が「ショー作品」として観た場合の『壮一帆サヨナラショー』をずけずけ評しております。
そうやって考えるアタマはある。
しかし。
人間、アタマだけで生きているにあらず。
わあぁーーんっ、いいサヨナラショーだよおおっ!!
トップになってからの作品のみ、今の雪組のみにこだわった選曲、ムラでは初お目見えになるまっつの『CONGRATULATIONS 宝塚!!』、「SO」の人文字……泣けるじゃないですか、その気持ちが切ないじゃないですか。
まっつのスペインにしてもだ。ぽかーんとなるえりたんファンや組担の人々にはごめんだけど、ファンにはこれたまらんのよ、許して!!
「いろんな意味でビミョーな構成だったね」と友人と話していたけれど、それでもわたしは、うれしいなあ。
ダメなところをスルーできない、でもでも好き、愛しい……って、いつもの「タカラヅカ」じゃん。
「サヨナラショー」=至高の作品、全肯定、じゃなくて。や、気持ち的にサヨナラショーってそうあってほしいけど。でもぶっちゃけ、そんなことないのが現実で。
そっかあ、これもまた「タカラヅカ」だなあ。サヨナラショーだから特別なわけない、これもふつーに「タカラヅカ」。
まっつの最後の出演作品『壮一帆サヨナラショー』もまた、最後の本公演『一夢庵風流記 前田慶次』『My Dream TAKARAZUKA』と同じく、名作ではまったくないツッコミどころ満載作品だけど、心がこもっていて愛しい作品だ。
最後まで、「タカラヅカ」。
それはとても、愛しく、切なく、うれしいことだ。
新公時代を雪組で過ごした、雪っ子のひとりだ。
雪組トップの背中を見て育ち、雪で新公初主演してバウ初主演した、番手のあるスターだった。
半分は花組だし、花に戻ったとき「DNAおそるべし! 雪では浮いていたのに、花だとしっくりくる!」と思ったもんだったが。
それでも、雪もえりたんの組であることは、間違いない。
なのに……まるで、落下傘トップのサヨナラショーを観ているような、錯覚をおぼえた、雪組公演前楽『壮一帆サヨナラショー』を観て。
サヨナラショーって、そのトップさんの歴史を振り返るというか、思い出をたどり、共有するものだと思う。
だから、生え抜きトップさんのサヨナラショーは「組の歴史」を改めて味わう醍醐味もある。
生え抜きじゃなくても、7年もいたら、それなりに歴史を感じるサヨナラショーになるよな。
なのに……えりたんは、落下傘トップみたいだった……。
思い出すのは、1作トップだったぶんちゃんのサヨナラショー。
元星組。新専科制度によるシャッフル人事のため、1年前から雪組に出演、そのまま雪でトップになる。
トップ期間が本公演1作の場合、そのたった1作の作中曲をサヨナラショーに使えないので、必然的にトップになる前の公演からチョイスすることになる。
ぶんちゃんの場合は、星組作品オンパレードだった。
客席にいるのは、ぶんちゃん個人ファンだけじゃない。それが「雪組公演」である以上、「雪組ファン」も多数いる。てゆーか、やっぱ圧倒的に雪担が多いだろう……なのに、星組曲ばかり。
スカステが当たり前にある時代じゃない。いろんな公演を「曲を聴いただけでわかる」くらい観ることは難しいし、「このスターさんに興味を持った。過去にどんな作品に出ているのかしら」と思ったところで振り返って映像を見ることが難しい時代だった。
客席のあの、ほかーん感……。
ぶんちゃんファンだけが泣いて、それ以外の人たちは取り残された。盛り立てたいという思いはあるから、一生懸命手拍子したり拍手したり、協力してるんだけど……そこにあるのは努力であって、感動や共感ではないんだよね。
同時退団するナルセも、雪にやってきて何年も経つのに、歌うのが月組時代、新公で歌った曲……。
ぽかーん……。
この曲、知ってる……? 知らない……で、でも、手拍子しなきゃ。
ジェンヌへの愛情ゆえに、観客がんばる。
あれは、つらかったなあ。
客席もつらかったけど、出演者たちもつらかったんだな。退団する人たちはそれどころじゃないかもしんないが、共演者たちは客席のとまどいを感じていたんだろう。
えりたん、あの場にいたもんな。
よその組の公演曲ばかり、知らない曲ばかり次から次へと歌い上げられて、客席が置いてけぼりになった、あのサヨナラショー。
それでえりたん、自分がやるときは、「別の組の曲はやらない。客席が絶対に知っている曲だけにする」と決めたんじゃないだろうか。
だってあまりにも、極端な選曲だ。
幕が上がるなり、『ベルばら』メドレー。ひとつの作品から、3曲連続って。
ふつー、1作品1曲だよねえ……。1曲終わると大抵、「次はどの公演のなんて曲だろう」と思うものなので、「また『ベルばら』? また『ベルばら』? また?!」となった。
次は『若き日の唄は忘れじ』から続けて2曲……。
それから『Shall we ダンス?』、『CONGRATULATIONS 宝塚!!』。
えりたん、トップになってからの曲しか使わないつもりなの?!
で、でもあーた、トップになってからやった公演って、めっちゃ「種類」少ないっすよ?!
本公演は3作で、今やってる『一夢庵風流記 前田慶次』『My Dream TAKARAZUKA』は使えないし、残り2作の本公演は1本が1本物だから、「種類」として3つしかない。別箱だって、そのうち2公演が同じ演目だったわけで。
客席がぽかーんとならない、みんなが絶対に知っている作品だけにする、というつもりなら、別箱はできるだけスルーよね。中日と全ツとふたつの機会があった『若き』はまだアリ? でも1回だけの『ナルシス・ノアールII』と『心中』はカウント外? みんなが知ってるにしろ、『SR』はキムくんの作品だから使えないし。
選択肢、少なすぎ。
えりたんは、ぶんちゃんのときのような構成を避けたのかなと思うけど……結果として、すごくぶんちゃんのときを思い出したよ……。
ここ1年の間の作品だけしかないサヨナラショーって……つまんない……。
つまらない、というと言葉が悪いかもしんないけど、記憶に新しすぎて、キャトルレーヴで流れている「2013年主題歌集」とかのノリなんだもん……なんて特別感のない……。
そこに拍車をかける、まっつの選曲。
『インフィニティ』から、スペインの場面。
ちょ……っ。
『インフィニティ』で、よりによってスペインかよ!!
えー。
タカラヅカあるある、「トップスターのサヨナラショーで、同時退団するスタークラスの人が、自分のディナーショーのオリジナル曲などを張り切って歌い、客席がぽかーんとなる」。
や、キミとキミのファンには「知っていて当然の、大切な曲」だろうけど、今劇場にいる大半の人はその曲知らないから!! ぽかーんだから!!
終演後、他はみんな曲名や公演名が書いてあるのにまっつのとこだけ「まっつソロ」と書かれているツイートをたくさん見た……そうよね、なんの曲かわかんなかったのよね。
なんつーか、ひとつの「ショー作品」として観ると、ほんとに構成もいまいちだし選曲ひどいし、残念な出来だわ。らんとむさんのサヨナラショーが神過ぎたせいもあるんだろうけど、比べちゃいけないんだけど、中村Bほんとセンスないわ……。
や、サヨナラショーは退団者本人の意志がなにより反映されるから中村Bだけの責任じゃないにしろ、監督したのは中村Bだろうからさー。
でもって、えりたん、空気読みすぎ。まっつ、空気読まなさすぎ。
えりたん、もっと自分本位に選曲しても良かったのに。在位1年7ヶ月だとしても、えりたんのヅカ人生19年をもっと大切に、いつの時代どこの組関係なく、大切な曲を選んで良かったのに。雪組のジャイアンとか自称してるけど、ほんとは気遣い半端ナイ良い人だよね。
あゆっちだってスター期間はすっげー長かったんだから、好きな曲歌って良かったのに。えりたんが「トップになってからの曲しか使わない」と決めたら、従うしかないじゃん。
そしてまっつは、自分本位過ぎ。えりたんが必死になって「自分がトップになってからの公演」にこだわっているのに、台無し。少しは他人のことも考えよう、このジャイアンめ(笑)。
と、「いつものわたし」が「ショー作品」として観た場合の『壮一帆サヨナラショー』をずけずけ評しております。
そうやって考えるアタマはある。
しかし。
人間、アタマだけで生きているにあらず。
わあぁーーんっ、いいサヨナラショーだよおおっ!!
トップになってからの作品のみ、今の雪組のみにこだわった選曲、ムラでは初お目見えになるまっつの『CONGRATULATIONS 宝塚!!』、「SO」の人文字……泣けるじゃないですか、その気持ちが切ないじゃないですか。
まっつのスペインにしてもだ。ぽかーんとなるえりたんファンや組担の人々にはごめんだけど、ファンにはこれたまらんのよ、許して!!
「いろんな意味でビミョーな構成だったね」と友人と話していたけれど、それでもわたしは、うれしいなあ。
ダメなところをスルーできない、でもでも好き、愛しい……って、いつもの「タカラヅカ」じゃん。
「サヨナラショー」=至高の作品、全肯定、じゃなくて。や、気持ち的にサヨナラショーってそうあってほしいけど。でもぶっちゃけ、そんなことないのが現実で。
そっかあ、これもまた「タカラヅカ」だなあ。サヨナラショーだから特別なわけない、これもふつーに「タカラヅカ」。
まっつの最後の出演作品『壮一帆サヨナラショー』もまた、最後の本公演『一夢庵風流記 前田慶次』『My Dream TAKARAZUKA』と同じく、名作ではまったくないツッコミどころ満載作品だけど、心がこもっていて愛しい作品だ。
最後まで、「タカラヅカ」。
それはとても、愛しく、切なく、うれしいことだ。