仙名さんがトップ娘役と発表された件について、わたしの思考整理、その4。

3.変化に対する不安


 1.の欄でも書いたけれど。
 これまでのシステムを否定した、といこうとは、今回だけではなく、今後も「路線外でもトップを狙える」ということになる。
 前例がない=ありえない、ではない。前例がなくても作ればいいだけのこと。だから、前例にこだわるべきではない。
 というのは、理屈でしかない。
 前例がない(なくても作れる)と、前例がある、では可能性が大きく違ってくるのよ。

 ほんとうに劇団は、今後100年の在り方まで見越して、システムを否定したんだろうな?
 その場しのぎ、「今だけ今だけ(笑)」でやってないだろうな?

 綿密なビジョンなしでやっているように見えて、不安しかない。

 研7までに路線スターにならなくても、トップを狙える。
 脇でがんばっている人たちにも、希望の光が見えた。

 てことはつまり、逆から言うと、「新公ヒロしなくても、上級生になってからトップ娘役を狙えばいい」と思う下級生が出て来る可能性もある。
 なにかと制約の多い下級生時代、遊びたい盛りの若い頃は、それなりに楽しくゆるく過ごして、学年が上がって地固めしてから効率よくトップを狙う。
 ……てのもアリなわけだ。
 いやあ、いっそのことドラマティックだけどなー、そんな打算的な生き方。タカラヅカ的ではないが……。

 いろんな可能性が増えた。


 また、これは仙名さんのトップ娘役就任だけでなく、もうひとつのニュース、真彩ちゃんの雪組組替えも絡む想像なんだが。

 何故、仙名さんがトップ娘役なのか。

 劇団も自らは、わざわざ新公ヒロイン経験のない仙名さんを選びはしないはずだ。
 他に、新公ヒロ、バウヒロと正しいステップを踏んできた子たちが何人もいる。そこから選べばいいだけのこと。
 なのに、仙名さんになった。

 理由はひとつしかないだろう。

 ……仙名さんのことだけなら、「うがち過ぎかな?」と思えるかもしれないが。
 真彩ちゃんのことが加わると、「あっ……(察し)」ってことになる。

 真彩ちゃんは元花組。そこから星組へ組替えしてまだ2年経ってない。なのにもう組替え。
 タカラヅカのほとんどの人は、生涯組替えを経験しない。組替えが行われるのは劇団運営に関わるスタークラスに、ほぼ限られる。複数回の組替えを経験する人は、間違いなくトップ人事に関わる人。栄転であっても、左遷であっても。

 真彩ちゃんは、花組時代から、だいもんの相手役に、と声の上がっていた歌ウマ娘役ちゃんだ。
 ちぎくん卒業のフラグが着々と整っていくなか、だいもんの相手役と思われる娘役スターが異例の短期間+二度目の組替えでやってくる。
 これはもう、察するしかないだろう。

 真彩ちゃん組替えでわかること。
・ちぎくんの卒業が近い
・だいもんの相手役、すなわち次期トップ娘役である
・だいもんの相手役に相応しいと、誰かが選び、前例のない人事を敢行した

 ここで問題なのは、「誰が選んだのか」ということ。

 だいもんの相手役、というテーマでヅカ友と話すことはある。
 だが、選択肢に真彩ちゃんはなかった。星組に組替えしたばかりの下級生が、雪組のだいもんの相手役になる可能性はほぼなかったためだ。劇団にそのつもりがあるなら、最初から雪組へ組替えしているか、あるいは花組のままだったはずだ。星組へ行った以上、だいもんの相手役はない。
 同組内や、他組の新公ヒロ・外箱ヒロ済みの娘役スターさんしか、可能性を考えていなかった。

 ヲタですら選択肢からはずす娘役さんを、二度目の組替えをしてまで、力技でだいもんの相手役に……?

 そこに、かぶってくるわけだ。

 ヲタですら選択肢からはずす娘役さんを、新公ヒロなしなのに力技でトップ娘役に……?

 選択肢にない、のに、劇団はわざわざ選ばないだろう。選択肢を作るために、何十年とシステムを遵守してきたのだから。自分たちのやってきたことを否定することになる。
 だけど今回、あえて選択肢以外から、トップ娘役を選ぶことにした。
 誰が?
 おそらく、トップスター本人が。

 だいもんが真彩ちゃんを選び、みりおくんが仙名さんを選んだんだろう。
 自分の相手役として。

 トップコンビがどうやって決まるのか、わたしの知るところではないけれど、たとえトップ本人が決めていいとしても、「劇団の用意した選択肢から選ぶ」ものだと思っていた。
 だから、誰がなったとしても、納得する。
 個人的な好悪や得手不得手はあるにしろ、トップになる人たちはみんな、「トップになること」自体は納得出来る人たちばかりだ。
 わたしはいつも口悪くうぎゃうぎゃ語ってるけど、「トップスター」に関しては、劇団の目に狂いはないと思っている。……どう見てもおかしい、と思うような人は、たとえ新公主演したりしてもトップになる前に淘汰されるもの……何段階も細かく設定された往年の「システム」によって。

 システム外、選択肢外から、トップスター本人が、相手役を選んだ。
 確証はない。
 だが、そういうことなんだろう、とわたしは思う。

 それ自体は、悪いことだと思わない。
 一蓮托生の仕事の相棒を、相性で選んだっていいはずだ。
 より良い成果を上げるために、ルールよりも効率を優先した。
 ありでしょ、それは。

 それはそれでかまわないが、それがまかり通ることに、震撼する。

 トップスターが選べば、新公ヒロなしでも、トップ娘役になれちゃうんだ……。
 組替えだってしちゃうんだ……。

 そこまで、トップの意見を大事にするようになったんだね、劇団……。

 や、なんでもかんでもOKだとは思ってないよ。
 いくらトップが望んだとして、「来年親戚の子が入団してくるんで、美貌実力実績その他一切問わず、その子を相手役にしてください」とかは、通らないと思う。
 仙名さんはこれまでの実績があるから、新公ヒロなしでもトップ娘役が務まると判断されたんだろうし、真彩ちゃんはその実力から、ぽんぽん組替えしても大丈夫、次期トップ娘役としてやっていけると判断されたんだろう。
 そこは安心してる。

 でも、こうして「トップのご指名」だとわかるほどの前例無視の強引人事をダブルで見せつけるのは、経営的にどうだろう?
 そこはグレーにしておくところじゃないのかな、劇団の性質的に。

 仙名さん単体、真彩ちゃん単体、なら、こうまで決定的ではなかったと思う。
 ダブルだから、あからさますぎでびびる。

 大丈夫か、劇団。
 あからさますぎでびびる、とファンが思うとか、まったく想像してなさそうなところにまた、びびる。

 不安だ。

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