『私立探偵ケイレブ・ハント』初日。

 ある意味、いちばん期待していたのは「れいこの悪役」だ。

 悪役が出来るのは路線スターの特権。
 通常なら2番手の特権。
 モブ扱いの人には回ってきませんから。

 だいもん氏が悪役ポジション極め過ぎちゃってマンネリ化している今、今回はあえてお友だち役。悪役ポジションが空いた。
 番手順なら咲ちゃんだろうに、何故かいろいろすっ飛ばして、れいこちゃんに回ってきた。
 組替えも決まり、期待されてるんだろう。でないとここで悪役は回ってこない。

 れいこの悪役はどんなことになるんだろう。つか、マサツカ作品の悪役って、まぬけなお笑い担当かとことん悪か両極端だよなあ。
 ハードボイルド作品ならば、極悪期待出来そう? れいこの美貌で極悪って、楽しみじゃないですか!

 …………えーと。

 お笑い系ではなかった。
 どっちかってーと、極悪系。
 血も涙もない系。
 ……なんだけど。
 なんだけど。

 ストーリーがまぬけ過ぎて、ただのまぬけにしか見えない。

 マサツカ……。

 いやはや。
 肩を落としました。

 てゆーかこの話、ツッコミどころ多すぎて。
 マクシミリアン@れいこの最期、ありゃなんだ?
 よそ見してたら気づかないよ、なにが起こったのか。あっけなさすぎて笑える。
 てゆーか、ケイレブ@ちぎくんたちの作戦が意味不明過ぎる……。

 ストーリーがアホアホ過ぎるのが悪い。それは確か。
 でも、れいこちゃんにも問題あるわ……。

 れいこちゃんは、何故ああも小物オーラを漂わせているんだろう。

 社長さんでお金持ちで、マフィアで権力者で暴力でなんでも出来ちゃう人で、いわば王様みたいなもんなのに。
 漂う小物感……。

 この人絶対悪い人だ、という、はっちさんとかヒロさんとかが持つ、「悪役オーラ」ってあるじゃないですか。やってることが無茶苦茶でも、アホっぽくても、本人の貫禄で「なんかすげー悪役!」「ラスボス来たーー!」と思わせる力。
 れいこちゃんが持つのは、その反対の力。
 酷薄にアデル@あゆみちゃんを弄んでみたりしてるのに、余裕ぶっこいてイヴォンヌ@みゆちゃんを(仕事にかこつけて)口説いてたり、してるのに。
 うわ、こいつよわっちいやつだ!と思う……思ってしまう……。
 弱いネズミが、オオカミぶってかっこつけてる感……。
 どうしよう。いたたまれない。

 てゆーかマサツカ。
 なんで紺ブレ着せたし。

 悪役の紺ブレはね、悪役レベル高い人でないと無理なのよ。着こなせないのよ。初心者は黒縞スーツから入らなきゃダメなのよ。

 悪のシャチョーさんというより、カンチガイしたお坊ちゃまに見える……。るるる……。

 部下の叶くんとかあすくんの方が、よっぽど悪い人に見えるよ……。貫禄負けしてるよ……。がんばれ……。


 それにしても、マサツカせんせのあゆみちゃん使いは、アレだよな。若者への試練的な?
 『ブラック・ジャック』で、あゆみちゃんは、咲ちゃんのカノジョ役でした。咲ちゃんがあゆみちゃんを口説くんだけど……格が違いすぎた。見ていて、「いやソレ無理だろふつーに」と思ってしまう、隔絶感のある画面。
 咲ちゃんは年若い小僧っこで、あゆみちゃんは年期の入った大人の女……なんだけど、なんか若作りしていて、咲ちゃんと同年代っぽい芝居をしている。
 咲ちゃんのカノジョで、(カノジョの方が少々年上設定としても)同世代の役なら、ふつーに同世代の女の子を使えばいいのに、何故あゆみちゃん……? あゆみちゃんは美しく魅力的なスターさんだけど、学年と持ち味的に、咲ちゃんの母親役でも大丈夫な人よね……?
 咲ちゃんの芝居がより空回って見えたのは、年代のチガウ、でもなんか不自然に若作りした女性に、「俺たち同世代」という口説き方をしている、せいもあったと思うの……。
 や、『BJ』の咲ちゃんとあゆみちゃんのカップル好きだったけど! 好きかどうかとは別の次元で、配役の違和感ばりばり。

 それを思い出したわ……。
 アデル役が若い子ならきっと、もう少し、れいこも空回りせずに済んだんじゃ……?
 あんりちゃんと逆の役じゃあかんかったん……? あんりちゃんならまだ、れいこも「無理してるなあ」って感じにならなかったのかも?
 あゆみちゃんがれいこ相手にぷるぷると子鹿のように震えているのが、不思議で。いやあなた、すっげ強そうじゃないですか……自分で切り開いて人生渡って行けそうじゃないですか……むしろそっちの紺ブレ坊ちゃんの方が子鹿のようにおぼつかなく見えますよ……?
 れいこに腕を掴まれたあゆみちゃんが、逆にれいこの腕をねじり上げマウント取るんじゃないかと、ハラハラしました。腕力も運動神経も格闘技術も精神力もふつーにアデルの方がマクシミリアンより上だよね的な画面にクラクラ。

 あゆみちゃんをカノジョにして、見ているモノを納得させるくらいの貫禄を持て! という、試練なのかしら。
 若者には、あゆみちゃんをあてがう。さあ、おねえさまの胸を借りて、男を上げろ!!てな?

 ……難関だな……。

 「精神的上げ底」という言葉を思い出しました。「れいこ今回、精神的上げ底すごいね」という使い方をする。
 その昔、としこさんをカノジョにしてマフィアなボスをやるまっつさんに対して、友人が称した言葉です。
 まっつも晩年は登場するだけで「ラスボス来たーー!」てな貫禄の悪役まかせろ役者に成長したので、いつかきっとれいこちゃんも。もごもご。

 や、とりあえず、れいこさんにはがんばってほしいです。いろいろいろいろ、ハードル高すぎですが、がんばって悪役してください。

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