新人公演『星逢一夜』にて。

 キャラクタの印象の違いがツボだったのは、猪飼秋定@たっちー。

 うまい。

 台詞が、ちゃんと聞こえる、ナニ言ってるのかわかるー!!
 しっかりしていて、優秀な青年だってわかるー!!

 本役の翔くんとあまりに違って、ウケてしまった。
 そしてつくづく、翔くんってどんだけ経験積んでもうまくならないんだなと思った。

 だけど、本公演の翔くん猪飼さん、好きだな~~、と改めて思ったりもした。

 新公を観てわかる、わたし、本公演でけっこう翔くんのこと見てるんだなと。
 や、自分では意識してなかった。
 新公を観て、あ、ここがチガウ、ここもチガウ、と思うたびに、そうかわたし、ここで晴興さんじゃなくて猪飼さん見てたんだなと思い至る。

 猪飼さんは、晴興を中心に存在している。
 最初の場面では、晴興が言い出した月食の件で。
 晴興の弁を否定するために発言し、それが正しかったとわかったあとは責任を取ると言い出して、晴興に一喝されて。
 三日月藩での晴興との友人トーク、2度目の三日月藩では晴興のお付きとして、彼だけを見つめて。
 あくまでも、晴興ありき。

 その、「晴興ありき」の翔くんの居方が、わたし好みなんだ。なんかとてもセンシティヴに揺れ動いている気がして。
 や、幼いだけかもしんないね。

 たっちーは、論理的だなと思った。
 「猪飼秋定」という役割なら、こうだろうなという芝居。
 翔くんが呆然と晴興を見つめているところでたっちーは頭を垂れていたり、晴興より「自分自身」を見ている。
 必要以上に晴興には傾倒せず……依存せず? まともな距離感を持って仕事と友情を構築しているように見えた。

 滑舌いい声も、関係しているかもしれない。
 はきはきしっかり喋ってくれるから、気持ちいい。歌ウマさんは、台詞声でもしっかり音色を作ってくれるよな。
 技術だけなら、本役さんより上だよなあ……。
 それだけではないのが、舞台の不思議なところだ。

 こちらの猪飼も、一度本公演で見てみたいと思った。
 滑舌良く説明台詞を喋る猪飼秋定が見てみたい(笑)。


 うまいのがわかっているから、あまり新たな発見はなかった、吉宗@まからくん、鈴虫@翼くん。
 彼らはいつも同じような役……いやその、まからくんは前回美青年役で苦戦していたから、新公ではそーゆー役をやらせるべきなんじゃないかなと思ってみたり、でもへたっぴさんに重要な役をやられて作品ぶっ壊されるより、うまいとわかっている人にやってもらった方がいいのかと思ってみたり。


 そして、つくづく思う。

 役ないな、この作品。

 主人公の友人の村人役は、たくさんいる。
 ちょび康とか大ちゃんの役とか、話題になる役はある。
 が。

 それを含めても、役がない。
 ちょび康にしろ大ちゃんの役(氷太、という名だが、作中で個別認識される名前じゃない)にしろ、新公で下級生が演じると「モブ」になってしまう。
 ちょび康@陽向くんはうまいし、氷太@真地くんは大きいんだけど……。

 まなはるの役@おーじくんすら、モブ化してるもんなあ……。

 一斉に出て来て口々に喋るだけじゃあ、1回限りの新公ではキャラ立て難しいわ……。


 ありちゃんは相変わらず安定してうまいし、姫君@うきちゃんは美しい。
 叶くんは実力ゆえに代役を任されるのはわかるけど、目立つ人なので「あれ? さっきと同じ人??」と混乱する。
 細川慶勝役は、目が利く分、強くてこわいね。高温な感じ。


 真ん中もだけど、脇に至るまで「本公演と同じ」印象の役がほとんどでなあ……。
 ここまで同じことをさせるのなら、ほんと本公演だけで十分、って感じ。
 新公とはなんだろう……と、ここでも考え込んでしまう。


 本公演でも縣くんは目に付くし、芝居しているところを楽しみにしていたんだけど、うーん、ひとこの役って3回見るまでひとこだとわからなかったくらいのモブみたい役だし、演技力どうこうわかるほどでもなかったっす……。

 まち、叶、縣の3人でなんかやって欲しいと思ったわ。濃ゆいトリオで。

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